「とびだせ!長谷川義史展」へ行ってきました | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

こんにちは。

今月の”絵本めぐり旅”は、京都のくぼちゃんです。

奈良県立万葉文化館で開催中の「とびだせ!長谷川義史展」へ行ってきました。

 

 

長谷川義史さんは、大阪府藤井寺市出身の絵本作家です。長谷川さんの絵はダイナミックで、手描きの印象が強くユニークな登場人物が特徴です。2000年に絵本デビューを果たし、それ以来、150冊以上の絵本を手がけ、イラスト付きエッセイや翻訳絵本も制作しています。

作品は多岐にわたります。大阪や家族を題材にしたユーモラスな物語から、戦争や震災を真摯に描いた作品まで、幅広いテーマを扱っています。長谷川さんの絵本には、オチのある展開や感動的なストーリーがあり、読者を笑顔や涙へと誘います。

長谷川さんは、紙の上だけでなく、全国各地での絵本ライブやテレビ番組のコーナーなど、幅広い活動を展開しています。

会場では、絵本の原画を中心にイラストやスケッチ、立体作品など約230点を展示。

 

長谷川さんのイラストが数多く描かれ、温かみのある案内図を参考にして会場を巡りました。

 

第1章 絵本作家へ

長谷川さんは小さい頃から絵を描くことが好きで、グラフィックデザイナーとして働いていた時、手がけた劇団のポスターが編集者の目に留まり、絵本作家への道を拓きます。

 

『おじいちゃんのおじいちゃんの おじいちゃんのおじいちゃん』
作・絵: 長谷川 義史
出版社: BL出版 

発行日: 2000年7月

おじいちゃんのお父さんは、どんな人?5歳の男の子の問いかけから始まり、時が次々にさかのぼっていく展開です。おじいちゃんのおじいちゃんが次々に登場します。子どもの視点で描かれたストーリーは心温まります。「ひい」は計算して描かれており、出版まで3年を費やしたデビュー作です。

 

第2章 家族

長谷川さんの作品には、自身の経験や日常を元に描かれたものが多くあります。登場するのは、お父さん、お母さん、奥さん、子どもたち、愛犬、そして恩師など、彼の人生に大きな影響を与えた人々や動物です。特に、お父さんが早世し、お母さんが女手一つで家族を支えた経験は、彼の作品に反映されています。1990年には絵本作家のあおきひろえさんと結婚し、彼女も彼の作品や生活に大きな影響を与えています。

 

『おへそのあな』

作: 長谷川 義史
出版社: BL出版

発行日: 2006年9月

3人の息子さんの出産に立ち会い、赤ちゃんの意志やエネルギーを感じた経験をもとに作られました。実際の赤ちゃんさながらに、逆さに描かれた大胆な構図が印象的です。

 

第3章 絵本作家のよこがお

長谷川さんは、絵本作家としてだけでなく、作画、コラム、翻訳、挿絵など多岐にわたる活動を行っています。独特で味のある「描き文字」や、絵と言葉で綴るコラムなどが魅力の一端です。また、テレビ出演や絵本ライブなど、幅広い活動を通じて長谷川さんの人柄も感じさせます。絵を描くことが本当に好きなのだと思わせる、日常から旅先まで様々な場面で描かれる作品は、長谷川さんの多面的な才能と人間性を表しています。

 

『しげちゃん』
作: 室井 滋
絵: 長谷川 義史
出版社: 金の星社

発行日: 2011年5月

「しげちゃん」は、作者で女優の室井滋さんご本人。実体験をもとに描かれた長谷川さんとの初の共著作品。どんな名前も愛情をこめて付けられたものだと知ります。自分の名前を少し誇らしく感じられる物語。シリーズになります。

 

第4章 未来の子どもたちへ

長谷川さんは、東日本大震災をきっかけに「平和」の大切さを感じ、その思いを作品に表現します。長谷川さんの絵本は震災や戦争に真摯に向き合い、子どもたちへのメッセージを込めています。被災地を取材した『ぼんやきゅう』(文:指田 和/絵:長谷川 義史/出版社:ポプラ社/発行日:2018年7月4日)など、彼の苦悩と真摯な取り組みが込められた絵本が生まれました。

 

『へいわってすてきだね』
詩: 安里 有生
画: 長谷川 義史
出版社: ブロンズ新社 

発行日: 2014年6月

沖縄の6歳の少年、安里有生君の平和への願いの詩に作画の依頼を受けます。長谷川さんは嬉しく思うと同時に、戦争という事実に正面から向き合う怖さを感じますが、実際に少年に会い、沖縄の空気に触れ、 平和への願いをしっかりと描かなければという思いを強くします。描き直した絵は100枚にものぼったそうです。

 

第5章 幸せのあいことば

長谷川さんは、ユニークで愛らしい登場人物と、笑いや言葉遊びを通じて親しみやすさを追求し、子どもたちの笑顔を大切にしています。同時に、絵本作家としての責任を強く感じ、エンターテイメント性と教訓をバランスよく盛り込みながら、子どもたちへの影響を考え抜いています。

 

『いいから いいから』
作: 長谷川 義史
出版社: 絵本館

発行日: 2006年10月

世界を平和にする本気の合言葉「いいからいいから」

絵本ライブを3回連続で見に来てくれた少年から、「面白いから絵本にして家で見られるようにしてほしい」と言われたことが、きっかけで書籍化。

 

カラーパレットアトリエからの動画でおっしゃっていたことが響きました。

1.絵は塗ったらあかん。描かないといけない。

2.筆の腹、先、根元で描くも良し、お尻も使う。一定ではない線がおもしろい。やりにくいをチャンスと思おう。

3.迷わないこと。迷うんだったら、間違ってでも線を引いた方がええ。

4.見たとおり描く。絵に失敗はない。正解したと思う方が、絵は失敗。生き生きした線にならない。一発で描いた方がええ。

 

カメラフォトスポット(長谷川さんの絵の前で自由に写真が撮れる)

『いいから いいから』(作:長谷川 義史/出版社:絵本館/発行日:2006年10月)より

 

3月17日、長谷川さん絵本ライブより

(向かって①左上、②右上、➂左下)

絵を描きながら展開するライブ紙芝居の作品。長谷川さん風にアレンジした落語『無精猫』

(向かって右下)

「奈良のうまいもん」手遊び歌

 

フロップスを手に持って写真を撮れるようになっている。

 

長谷川さんの作品には、さまざまな感情が満ちていました。どの作品や取り組みにも「世界中のみんなが笑っていてほしい、幸せであってほしい」という願いが込められていました。

 

「とびだせ!長谷川義史展」

会期:令和6年3月16日(土)~5月6日(月・休)
会場:奈良県立万葉文化館 日本画展示室