アニマシオンに挑戦! | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

こんにちは!

東京のじゅんじゅんです~キョロキョロラブラブ

 

別れの3月、門出の3月ブーケ1


司書として勤務している学校図書館、木曜日は今年度の最後の開館でした。金曜日は卒業式、週明けの月曜日は修了式のため閉館です。年間報告書を纏め上がると、児童との1年間が走馬灯のように駆け巡ります・・・(1年間よく頑張ったぞ、私。)

 

6年生の図書委員さんは、3月に入ると、お当番でない日もほぼ毎日休み時間にやってきて、カウンター内でたわいもないお喋りをしたり、先輩風を吹かせて5年生に「来年もちゃんと仕事しろよー」とハッパをかけたり。「中学生になったら読まないから」とランドセルいっぱいに『かいけつゾロリ』を寄贈してくれた子もいました。

最終日。お当番を終えて図書館を出るとき、ドアの所で立ち止まって振り返り、ペコリとお辞儀・・・

「さよなら」を言うと泣いてしまいそうだったので、代わりに大きく手を振りながら、いつも通り「お疲れさま。今日もありがとう!」と背中を見送りました笑い泣きパーキラキラ

 

私は、昨年4月にこちらの学校へ着任しました。

1年生の図書の授業で、「はじめまして。私も〇〇小学校の1年生です。一緒にたくさん本を読みましょう。」と挨拶をしたのですが、その時キャーキャー笑っていた子達がもうすぐ2年生。

 

そこで、担任の先生にご相談して、1年生最後の図書の授業では、読書のアニマシオンに挑戦することにしました。先輩司書からアドバイスをいただき、こちらの本を参考に準備をしました。

 

 

アニマシオンとは?

アニマ(anima)は魂・命です。アニマシオン(animacion)はその魂・命に息を吹き込み、生き生きと躍動させることです。

日本と同じようにヨーロッパでも青少年の読書離れが深刻で、「読書へのアニマシオン」はその解決策としてスペインなどで研究され、実践されてきたそうです。そして、日本でも、本との出会い、授業の切り口として、子どもたちに有効なあり方が工夫されてきました。

(『はじめてのアニマシオン』岩辺泰史/著 柏書房 8・9p)

 

今回初めて実践した私の個人的な解釈ですが、アニマシオンは、子どもと本を繋ぐこと読書へと誘うこと、読書が苦手の子どもでも「読書ってこんなにも楽しいんだよ!」と、読書の喜びを味わうきっかけを与えることができるのではないかと考えています。

 

今回私が用いたのはこちらの絵本です。

 

『ちょっとまって』

岸田今日子/作 佐野洋子/絵

福音館書店 1998年5月

(福音館書店のHPでは見つからなかったため、絵本ナビさんのリンクを付けました)

 

シムくんはお母さんのおつかいで、仲良しのまゆさんのところへ行きます。シムくんがおつかいを忘れないように、お母さんはオレンジ色のリボンを首に結びました。「オレンジの”お”はお誕生日の”お”」、忘れないためのおまじないです。まゆさんの家へ行く途中、友達に会い、次々とおつかいを頼まれます。体中にたくさんの色とりどりのリボン。シムくんは、リボンのおまじないでまゆさんにすべて伝えられたでしょうか?

 

こちらは、岸田今日子さんがご自身のお子さんのために語ったお話だそうです。まさに語りかけるような口調でストーリーが展開していき、佐野洋子さんの優しい絵を見ているとほんわかとした心地良い気分になります。残念ながら現在は購入できない本のようで、学校に2冊あるのはとても貴重です。

 

いよいよ当日!

 

1クラス24名の予定が、急遽2クラス計48名にあせる

グループワークを計画していたのですが、収拾つかなくなる予感がしたので、挙手して当てる形式に変更することに・・・

 

まず、今日のルールをイラストを使って説明しました。

1年生は集中力がまだ長く続かず耳からの注意は流れてしまいがちなので、ピクトグラム風の絵を使って、視覚的にも伝えることにしました。

 

その名も「みんなでたのしむためのおやくそく」

⒈ 答えるのは当てられた人だけ(他の人は答えない)

⒉ 静かに座っていること(立ち歩かない)

3.正解したら「いいね」と拍手!

  まちがっていたら「おしい!」(違うと否定しない)

「これを破ったらゲームはおしまいです。」

 

いよいよ、『ちょっとまって』の読み聞かせです。

「あとでこのお話のゲームをするので、しっかりと聴いてお話を覚えていてね」と伝えると興味津々の子ども達。

 

「みんなもおつかい行ったことがあるかな?こんなにたくさん頼まれたら大変だよね。みんなでシムくんを助けてあげよう!」

 

箱の中に入っているリボンを順番に引いてもらいます。

引いたリボンは、ホワイトボードに貼ります。

次に当てられた子はリボンの色を見て、何のおまじないだったかを答えます。

 

「緑のリボンの”み”は、みみずの”み”」

 

ところが、ハズレくじ(リボン)も入っていて・・・

「ピンクの”ぴ”・・・なんだっけ?」

「いや、ないよ、ないない!」

と大盛り上がり音譜

 

盛り上がりすぎて、横から答えてしまう子や、興奮のあまりに立ち上がる子が出てきました。そこで「おやくそく」のイラストを指さすと、口を押さえて慌てて座る子ども達。(かわいいです・・・)

 

次は、おつかいカードの登場です。裏返したカードを1枚引いて読み上げてもらいます。次に当てられた子は、このおつかいのおまじないが何色のリボンだったか答えます。リボンとカードはペアにしてホワイトボードに貼りました。

 

「チョコレートをたべすぎると むしばになるよ」

「チョコレートの”ち”は茶色の”ち”」

 

ここでもハズレカードを忍ばせておいて、

「宿題が終わったら一緒に遊ぼう」

「今日の給食はカレーライスですか?」にクスクス笑い爆  笑

 

絵本は1回しか読んでいないのに、子ども達はよく覚えていて、スラスラと答えるのです。集中力に驚きました。一方で、覚えるのが苦手な子もいることは想定していて、だからこそグループワークにしたかったのです。なので、「リボンを引く」「カードを引く」といったお役目を用意し、私は子ども達の個性や特性を全て把握できていないので、指名するお役目は担任の先生にお願いしました。

 

私がこだわったのは、

 

全員が参加できる環境にすること

みんなで協力すること

読書がおもしろい!楽しい!と体感もらうこと

 

です。

 

さらに、「ちがう」をNGワードにしてどんな答えも否定しないこと、「「いいね!」と拍手してと声を掛け合うことにもこだわりました。少々オーバーアクションで褒める!励ます!ことで、場がホカホカ温かくなっていくのを感じました。お話の世界をみんなで共有して楽しむことができていたら良いのですが・・・

子どもの得意そうな顔、満足そうな顔、ちょっと悔しそうな顔、いろんな表情が見ることができたことは、私にとって何よりのご褒美かもしれませんね。

 

そして最後は、みんなで手遊び「ちゅうりっぷ」を歌いました。

 

こちらは第113回にじのひろばで、ちえこさんが演じてくださった手遊びです。1年越しで手袋人形完成です!

 

「いないいないばあ、なんて赤ちゃんっぽーーい」

なんて嫌がってた子も、ちゃんとやっていましたよ。

アンコール2回もね口笛

 

来年度は何のアニマシオンしようかな??