オノマトペ絵本で ががががーん! | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

こんにちは 東京下町在住のあいりーんです

 

立春を過ぎて、東京でも雪が降りました雪雪の結晶

みなさんの雪はどのように降りましたか?


しんしん

ふわりふわり

ちらちら

はらはら

ぼたぼた

 

それぞれの表現(オノマトペ)にそれぞれの情景が浮かびますね!

オノマトペの豊富な日本語、絵本の中にもたくさん登場します。

 

あいりーんが地元で所属している子どもの読書推進団体では、昨年「オノマトペ絵本の魅力を探る」というテーマで、読み聞かせボランティア対象の研修会を行いました。

参加者は、「ほぼオノマトペで構成されている絵本」の読み聞かせの実演をして、自分の現場での子どもや赤ちゃんの反応、読み方の工夫などを発表しました。

読んでもらうと、改めてオノマトペ絵本のそれぞれの面白さが分かりました。

 

ほぼオノマトペで構成されている絵本

 

意外にたくさんあるのです!

 

代表作は、『もこ もこもこ』でしょうか

 

『もこ もこもこ』

谷川俊太郎/作 元永定正/絵

文研出版

1977年4月

 

 

初めて読んだり、聞いたりしたときの衝撃が忘れられません。

昨年、立川PLAYミュージアムでの「谷川俊太郎 絵本★百貨展」では、大型スクリーンに投影された『もこ もこもこ』と俊太郎さんご自身の朗読が心地よい空間を生み出していて、堪能しました。

 

 

 

↑出版社のサイトでは、のびやかに読まれる谷川俊太郎さん(絵本ナビ動画)に会えます飛び出すハート

 

 

 

さて、あいりーんが研修会で紹介したのは

 

『おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました』

渡辺朋/作 高畠那生/絵  

童心社 2023年5月

 

 

この絵本、長いタイトルに反して?、

本文はすべてオノマトペで進みますびっくり

 

 

(まっしろいワンピースを着た女の子が)

 

あっ!

 

ぽとっ

 

・・・ページをめくると・・・

 

ががががーん!

 

・・・ページをめくると・・・

 

げげげげーん!

 

・・・ページをめくると・・・

 

ぞぞぞぞーん!

 

 

一体なにが起こったのでしょう?!
そう、大変なことが起こり、まちじゅうが・・・・!!

 

ある意味規則性を感じるオノマトペたちのみで話は進み、

 

見開きによっては、そんなオノマトペがいっきに16種類も登場します!

さて、どう読みましょうか?

 

 

    

月2回出かけている小規模こどもクラブで読んだのですが、その日は1年から3年でのびのびした雰囲気でのおはなし会でした。

 

題名を読んだだけで「長くて変な題名」との声があがり、「さぁ、この女の子はどうするのかな」と伝えると、「あ、なにかで汚しちゃう?」と勘のいい3年生が答えたところでお話が始まり、思い通りの展開ににんまりするのも束の間、「ががががーん」のページの女の子の絵(顔が文字通り青ざめています)にいっきに引きこまれ、おかしな展開を楽しみました。

 

有名なベートーベンの「運命」のメロディを借りて読んだところ、本家ベートーベン登場のところでは「じゃじゃじゃじゃーん!」の大合唱になりました。

字が小さいところは近づいてきたので、読みたい子に順番に一緒に読んでもらったのですが、こういった言葉遊びの絵本は一緒に読みたくなるようで、こちらも声を合わせて楽しい時間でした。

 

 

 

お話の途中、たくさんの登場人物の賑やかさに消されてしまいそうになる、主人公の「ががががーん」な気持ちに今一度クローズアップしたあと、お話自体は裏表紙で洗濯して汚れが落ちた白いワンピースをきちんと見せて終わります。

しかも女の子が自分で洗って干しているところから、

「ショックな出来事にも自ら対処する逞しさ」が伝わり何とも嬉しくなる結末です。

(終盤のががががーんのときには、顔色も通常に戻っていました。)

 

タイポグラフィーも特徴的で、音や感情に合わせた字体や大きさで表現しています。
読み手もそれに合わせて自然に強弱やリズムがつくのではないでしょうか。
登場するオノマトペたちは、実際なじみのあるオノマトペに加えて、明らかに造語のオノマトペもあり、「ことば遊び」の要素も感じられました。

 

練りに練られた「ことばと絵」にすっかり夢中になったのですが、それもそのはず。

渡辺朋さんの文章は、童心社主催の絵本テキストのコンクール「第10回絵本テキスト大賞 大賞受賞作」(2017年)なのだそうです。そこから6年後の2023年、高畠那生さんの絵をつけて発行されたのです。テキスト大賞の講評に「うまくいくと画期的な絵本になりそう」とありましたが、まさに画家の特性が見事にマッチして、難しい実験作を見事に仕上げたと感じます。

童心社のnoteの記事【史上もっとも『ががががーん!』な絵本はこうして生まれた!】担当編集者に聞く、新刊『おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました』 では、シンプルな元の原稿から絵本が生まれるまでの過程を読めます。

 

 

 

あまりに特殊な絵本なので、ついつい大人にも紹介したくなりますが、見事昨年9月のリブロ絵本大賞入賞作となっています。

見かけたらぜひ手に取って、そして声に出して楽しんでくださいね。できれば大きな声を出せる場所で、たまには思いっきりの

 

ががががーん!

 

を、叫んでみるのも楽しいですねてへぺろ

 

以上、あいりーんでした♪