オリジナルドメインの個人HP閉鎖に備え、過去に個人HPなどで発表した各年ごとのアルバム「マイベスト」情報を一括でまとめて、ここに再録しました。2013年以降は当Amebaブログのテーマ別リスト「マイベスト」に掲載済みなので、初めてマイベストを選出した2005年から2012年までの情報になります。
●2005年●
2005年は日記のコーナーにマイベストを掲載。最初の年は邦楽も含めたベストを作成していました。
1位 Boom Boom Satellites「フル・オブ・エレベーティング・プレジャーズ」
2位 コールドプレイ「X&Y」
3位 シガー・ロス「Takk…」
4位 ブッダヘッド「クロッシング・ジ・インヴィジブル・ライン」
5位 ケミカル・ブラザーズ「プッシュ・ザ・ボタン」
次点 ナイン・インチ・ネイルズ「ウィズ・ティース」
4位は知っている人がほとんどいないでしょう。哀愁感のあるソフトロックのバンドで、大して話題にもならず消えていきました。最後にsがついたBuddaheadsとは異なります。Amazonでは辛うじて販売しているよう。YouTubeには残ってます。聴いてみますか(苦笑)?
●2006年●
2006年は「オンフィールド音楽研究所」というコーナーに掲載。「裏ベスト」と「表ベスト」に分けた、ややおふざけ気味のマイベストでした。なぜ表と裏に分けたのかは覚えていませんが、どちらかというと世間の評判におもねったのが表、という感じでしょうか。
〈裏ベスト5〉
1位 フーバスタンク「欲望」
2位 フライリーフ「フライリーフ」
3位 ジャックス・マネキン「エヴリシング・イン・トランジット」
4位 ポーキュパイン・ツリー「デッドウイング」
5位 ディクシー・チックス「テイキング・ザ・ロング・ウェイ 」
次点 キーン「深海」
次々点 エディターズ「ザ・バック・ルーム」
〈表ベスト5〉
1位 ミューズ「ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ」
2位 アークティック・モンキーズ「ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット」
3位 シャルロット・ゲンズブール「5:55」
4位 ストロークス「ファースト・インプレッションズ・オブ・アース」
5位 マリーザ・モンチ「私の中の無限 」 「私のまわりの宇宙」
次点 ニール・ヤング「リヴィング・ウィズ・ウォー」
次々点 マデリン・ペルー「ハーフ・ザ・パーフェクト〜幸せになる12の方法」
●2007年●
2007年も「オンフィールド音楽研究所」というコーナーに掲載。「ミュージック・マガジン」の編集方法に倣ったのだったかな、全米編と全英編に分けてまとめていました。
〈全米編〉
1位 フー・ファイターズ「エコーズ、サイレンス、ペイシェンス・アンド・グレイス」
2位 ナイン・インチ・ネイルズ「イヤー・ゼロ〜零原点…」
3位 ジョニ・ミッチェル「ファイン」
4位 メイヴィス・ステイプルズ「ネヴァー・ターン・バック」
5位 ブルース・スプリングスティーン「マジック」
次点 ヴェルヴェット・リヴォルヴァー「リベルタド」
〈全英編〉
1位 ザ・ビュー「ハッツ・オフ・トゥ・ザ・バスカーズ」
2位 レディオヘッド「イン・レインボウズ」
3位 エイミー・ワインハウス「バック・トゥ・ブラック」
4位 ポーキュパイン・ツリー「フィアー・オブ・ア・ブランク・プラネット」
5位 スーパー・ファーリー・アニマルズ「ヘイ! ヴィーナス」
次点 アークティック・モンキーズ「フェイヴァリット・ワースト・ナイトメアー」
●2008年●
1位 アーケイド・ファイア「ザ・サバーブス」
2位 フォールズ「トータル・ライフ・フォエヴァー」
3位 ディアハンター「ハルシオン・ダイジェスト」
4位 ヨンシー「GO」
5位 フライトゥンド・ラビット「ザ・ウィンター・オブ・ミックスド・ドリンクス」
6位 ジョン・メイヤー「バトル・スタディーズ」
7位 ジャガ・ジャジスト「ワン・アームド・バンディッド」
8位 ハーツ「ハピネス」
9位 ローカル・ネイティヴス「ゴリラ・マナー」
10位 MGMT「コングラチュレイションズ」
次点 ジーズ・ニュー・ピューリタンズ「ヒドゥン」、キングス・オブ・レオン「カム・アラウンド・サンダウン」、ヘイルストーム「ヘイルストーム」
上位3作品は、秋の段階でほぼ固まっていた。とくにアーケイド・ファイアの1位は文句なしの1位。グラミー賞の後に発表することになったのが悔やまれる。今年あたり来日をしてほしいと切望しているのだが。2010年の洋楽シーンは、UK勢の沈滞と、US勢とくにUSインディーズの隆盛ぶりが顕著だった一年だったと、各誌で総括されている。そのなかでUKのフォールズ「トータル・ライフ・フォエバー」は一筋の光明だった。
そして、どの音楽誌でも年間アルバムランキング下位にすら入っていないが、5位のフライトゥンド・ラビット「ザ・ウィンター・オブ・ミックスド・ドリンクス」は、UKにもUSインディーズの風が吹いていることが感じられた作品だった。7位に入れたフュージョン系のジャガ・ジャジスト「ワン・アームド・バンディッド」は、ロックファンには馴染みが薄いかもしれない。結果的に、アイスランドやノルウェーを含む欧州勢と、カナダを含む全米勢が5枚ずつ、というランキングになった。
1位 ウィルコ(Zepp Tokyo、4月23日)
2位 ゼム・クルックド・ヴァルチャーズ(フジロック、7月30日)
3位 アトム・フォー・ピース(フジロック、8月1日)
4位 ユーライア・ヒープ(CLUB CITTA'、10月24日)
5位 ミューズ(日本武道館、1月12日)
6位 ダーティー・プロジェクターズ(渋谷クアトロ、3月16日)
7位 ジョン・フォガティー(フジロック、7月31日)
とくにウィルコの感激は忘れがたい。今年、苗場でもう一度観れると思うと、嬉しくてたまらない。
1位 フー・ファイターズ「ウェスティング・ライト」
フー・ファイターズ「ウェスティング・ライト」は王道のロックアルバムだった。彼らのキャリアのなかで最高傑作であり、中心人物で元ニルヴァーナのデイブ・グローブが自身の音楽生活を総仕上げしたような入魂の一作である。グランジの匂いを受け継いだザラザラした部分と、今ふうの産業ロック的な完成度、両方のバランスは絶妙だと思う。
2位 ウィルコ「ザ・ホール・ラヴ」
ウィルコ「ザ・ホール・ラヴ」は、リードギターにニルス・クラインが加入した後の、実験性の高い現在のバンドサウンドを象徴するにふさわしい出来映えだった。とくに1曲目の、レディオヘッドかと見間違うアグレッシブな楽曲にはノックアウト。かと思えばラストでローファイなバラードもあったりして、このレンジの広さがたまらない。一般的な評価はともかく、スタジオアルバムでは彼らの代表作だと思う。
3位 ボン・イヴェール「ボン・イヴェール」
ボン・イヴェール「ボン・イヴェール」は静謐な美しさに目を奪われがちだけど、サウンドの厚みと奥深さ、つまりはサウンドプロダクションの巧妙さが絶品だ。比較的、同類扱いされるジェームス・ブレイクも良かったが、ポップネスを携えたメロディラインでは、こっちが魅力的に感じられた。ちらっとスタジオライブの映像を観たのだけど、ライヴは溜息が出るほどいいと思う。2012年の初来日を嘱望したい。
4位 アークティック・モンキーズ「サック・イット・アンド・シー」
アークティック・モンキーズ「サック・イット・アンド・シー」は、今では中堅バンドとなった彼らが切り拓いた新しいステージだった。デビュー当時の若い血潮に任せたような荒々しい魅力は薄れたが、その分、アッと驚くメロウでアダルトな仕上がり。しかもアークティック・モンキーズのザラつき感はしっかり残っていて、一つ前に駒を進めたな、という実感がした。これでまだ20代半ばのバンドなんだから、恐るべしである。
5位 モグワイ「ハードコア・ウィル・ネヴァー・ダイ・バット・ユー・ウィル」
モグワイ「ハードコア・ウィル・ネヴァー・ダイ・バット・ユー・ウィル」もまた、ノイジーな轟音サウンドが持ち味の彼らが到達した新境地だった。ハッキリ言って、これほどポップな新作を持って来るとは思わなかった。しかも、ジャジーな匂いのする楽曲もあるのだからビックリである。デビュー当時からのコアなファンから見れば「さようなら」の一作かもしれないが、僕にとっては「こんにちは、新しい世界へ」と迎え入れたくなる愛しい作品だった。
6位 ヤック「ヤック」
ヤック「ヤック」は、このベスト10をいったんは作成したあとに飛び込んできた、まさかまさかの秀作だった。2008年に彗星の如く現れた若き新星、ケイジャン・ダンス・パーティがあっけなく1作で解散し、そのメンバー2人が中心になっているのだけど、以前よりもすごく実体的なサウンドを作っているというのかな、若手ならではの「何するか分からん」みたいな破天荒なところ、サイケで、掴みきれない内なるマグマみたいなものを、巧く作品として昇華させていて、クセになる面白さだった。ベース担当のマリコが日本語で歌う、はっぴいえんどのカバー(ボートラ)も聴きどころ。ベストヒットUSAにインタビューで登場したときの、ふてぶてしさが頼もしい。
7位 ビーディ・アイ「ディファンレト・ギア、スティル・スピーディング」
8位 ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ」
ビーディ・アイ「ディファンレト・ギア、スティル・スピーディング」と、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ」は、ともに甲乙つけがたかったが、次男の僕はついつい、弟のリアムに思い入れを抱いてしまうので、このような順位になった。一般的には後者の評価が高くて、とても頷けるのだけど、オアシスの名ソングライターである兄貴抜きに、ここまで仕上げてきたところを、素直に賞賛したい。オアシスについては、元の鞘に収まることを望む声が多いけれど、もうちょっと別々にやってみて、満を持しての再稼働、というのもいいかも、と思う。そう言いながら、2012年に突如の和解、という可能性は十分にあるのだけどね。これほど才能が涸れない兄弟、まだまだ楽しみだ。
9位 アソビセクス「フローレサンス」
アソビセクス「フローレサンス」は、ドリーミーなポップロックという彼らの持ち味が十分に生かされた、心地よい作品だ。キュートで、夢見がちな、浮遊感のあるサウンドで、今回もトリップを楽しむことができた。築達友紀のボーカルを聴いていると、ほとんどJポップみたいな匂いもぷんぷん漂ってくるのだけれど、邦楽大全盛のいま、アソビセクスに関心が向けられないのは残念でならない。
10位 ザ・ホラーズ「スカイング」
ザ・ホラーズ「スカイング」は、1st、2ndともに全然いいとは思わなかったのだけど、この3rdでは魔界めいたサイケ世界を描いてきた彼らがグッとポップな存在になった、いわば「化け」の記念作。上記と同じくドリーミーな心地よさがあって、まだまだ化けていきそうな感じがする。何度でも聴ける、心地よさだ。
次点 ハード・ファイ「キラー・サウンズ」、リアーナ「ラウド」、ザ・ドラムス「ポルタメント」、フォスター・ザ・ピープル「トーチズ」
ベスト10にギリギリ入れられなかった次点作品も愛おしい作品たちだった。ハード・ファイ「キラー・サウンズ」は野武士のような荒々しさを堅持しつつ幅広い音楽性を試した点に好感を持った。リアーナ「ラウド」は、昨今の女声ボーカル全盛のなかでアルバムとしての存在感がもっとも際立っていた気がする。セールスではアデルに、話題性ではレディ・ガガの後塵を拝したが、アルバムの完成度ではリアーナの勝利だと思う。ザ・ドラムス「ポルタメント」と、フォスター・ザ・ピープル「トーチズ」はエレクトロの陰と陽という好対照ぶりが面白かった。ザ・ドラムスのサマソニ2010でのライブが、どうしてあんなに重苦しかったのか、初めて合点がいった気がする。
〈部門賞〉
ベストライブアルバム賞……パール・ジャム「ライヴ・オン・テン・レッグス」
ほとばしるような臨場感に、もう圧倒されてしまって、文句なしの名盤だと感じた。すぐ後に「パール・ジャム20」のサントラが出たので存在が薄まってしまったのは残念。
ベテラン賞……ホワイトスネイク「フォーエヴァーモア」、スーパー・ヘヴィ「スーパー・ヘヴィ」
ホワイトスネイク「フォーエヴァーモア」は、クラシックロックの範疇に押し込むにはあまりに勿体ないブルージーでハードな秀作だった。全盛期と言われる時期の過去作品よりも、個人的にはお気に入りである。スーパー・ヘヴィ「スーパー・ヘヴィ」はお見事すぎて、ベテラン賞という枠を設けずにはいられなくなった作品。普段は接点のない個性がセッションしながら短期間でこれだけ仕上げられるものかと舌を巻いてしまう。ミック・ジャガーのお元気ぶりはもちろん、ジョス・ストーンの自由奔放なエンジン全開ボーカルに思わずニヤリの作品だった。
ベストトラック賞……アデル「Rolling in the Deep」
アデル「Rolling in the Deep」はソウルディーバを思わせる豪快な歌唱っぷりが印象的な楽曲だった。確か一昨年の暮れ、今世紀最大のセールスを記録するアルバム「21」がリリースされるずっと前に、この楽曲だけがリードトラックとしてYou Tubeにアップされたことがあったのだけど(その時のビデオクリップは結局お蔵入りか?)、その時には鳥肌が立ったのを覚えている。何度聴いても痛快だ。
J-Rockベストアルバム賞……ストレイテナー「ストレイテナー」
これは文句なし。和洋あわせてのランキングならベスト5に入れたいくらい、秀作だと思う。何よりも、一人一人のプレイがしっかりツブツブになって縦横無尽に踊り立っていて、それでいて楽曲としてのアンサンブルがガッチリまとまっている。洋楽フリークが聴くに堪える名盤として是非お薦めしたい。
●2012年●
2012年の年末は多忙だったようで、翌年1月中旬にTwitterで呟いただけでした。それなりに簡潔に感想をまとめているので、当時の呟きをそのままコピペします。
1位は、ビーチハウスの「ブルーム」です。エレクトロポップ最盛期の今、ムダをすべてそぎ落としつつも、TheXXほどはストイックにならず、少ない音数で美メロ旋律を奏で、独特の高揚感あふれる世界観を構築した名作でした。ツブツブが立体的な紙ジャケットのアートワークもお見事。間もなく来日。
2位は、日本では2012年に発売されたフローレンス&ザ・マシーンの「セレモニアルズ」です。前作に続いて、壮大で絢爛豪華なフローレンス節が炸裂していて、リスナーの感性を揺さぶってくれる刺激的な作品。赤坂ブリッツでの意外な親しみやすさも印象的。最後の最後まで1位候補でした。
3位は、御大ブルース・スプリングスティーンの「レッキング・ボール」です。怒りを携えた強いメッセージ性がありながら、メロディそのもののポップネスには磨きがかかっていて、サウンドクリエーションも実に多様で奥深い。とても誠意あふれる作品でした。それにしても来日してほしい。
4位は、The Maccabeesの「Given to the Wild」です。ベスト10もほぼ固まった12月に聞き始め、すぐに虜になりました。Foalsの2ndにも似たパノラマ感と浮遊感があり、フュージョンの匂いもするところがお気に入りです。日本盤が未発売とは、信じがたい。
5位は、ダーティー・プロジェクターズの「スウィング・ロー・マゼラン」 です。頭が良くて理数系なエキセントリックさ、形容しがたい混沌としたジャンルの音楽性、ひねくり回したインディーズ感はクセになり、聴けば聴くほどハマってしまった麻薬のような作品でした。
6位は、シャロン・ヴァン・エッテンの「トランプ」です。昨今の女性ロックのなかでは、セイント・ヴィンセントにも近しい存在感。実力は未知数の印象ですが、ぜひ、生で観てみたいですね。ジョニ・ミッチェルの歌声と、パティ・スミスの深遠さ、両方をあわせもつ才能を感じ、期待も込めた6位です。
7位は、ジャック・ホワイトの「ブランダーバス」です。これまでJホワイトの関連作品は、どうにも毛嫌い感が強かったのですが、今回は武者震いするような生々しいバラッドに魅せられつつ、心に刺さりました。苗場での見事な演奏ぶりも若干影響して、彼の関連作品としては初のベスト10です。
8位は、シャインダウンの「アマリリス」です。ハーロドック勢としては、今回、唯一のランクイン。一見、ニッケルバックを思わせますが、メロディの良さでは明らかにシャインダウンに軍配があがりますね。王道のハードロックが避けられる時勢ですが、文句なしのベスト10入りです。
9位は、ザ・ビューの「チーキィ・フォー・ア・リーズン」です。鳴り物入りでデビューした当時に比べて話題の中心からは外れた気がしますが、デビュー盤に次ぐ名作でしょう。余計なプレッシャーを排し、ロック小僧たちが自由開放にロックンロールをかき鳴らしている点が青臭くて好感をもちました。
10位は、シガー・ロスの「ヴァルタリ」です。僕の年間ベストではお馴染みの彼ら。前作から一転、原点回帰しつつ、さらに崇高なステージに昇華した感じがします。目からウロコを落とした果てにたどり着いた、彼らなりの第二の故郷ではないでしょうか。
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以上、2005年から2012年までのマイベストをまとめて再録してみました。出所元がバラバラだったので改めて見返す機会も少なかったのですが、10年以上ぶりに自分のマイベストを振り返ってみると「こんなのを選んでいたのか」と、あちこちに驚きがありました。とくに初期はロック雑誌の評価に影響されていたなーと思います。さて、皆さんも過去のマイベスト、振り返ってみませんか?