こんにちは、
パーソナルスタイリストの中原聖子です。
皆さんの親御さんが
もし入院されたとしたら
何を着て病院へ行かれますか？
病院だから
目立たない地味な格好でしょうか？
病院だから洗濯機で
すぐ洗える洋服でしょうか？
コロナの時は当然そうかもしれませんね。
現在、私の母は転院を2回経たのち 療養型の病院に入院しています。
3番目の病院では
介護士さんや看護師さんに
「お母さんは何がお好きなんですか？」
そう聞かれることがよくありました。
母が最後に入った病院は
寝たきりの方も多く先が長くない方が
入院する所です。
スタッフの方々は少しでも
母との会話のきっかけを作るために
好きなものを尋ねてくださったのでしょう。
その質問に、はじめ私は
答えられなかったんです。
でもよく考えてみたらありました！
母の唯一の反応
入院してから母は食欲もなく
気力を失いがちでした。
そんな中、母が唯一大きな反応を
見せていたのが私のファッションでした。
「この色、好きだわ！」
「これ着なくなったらちょうだい！」
「これ私の服じゃない？」
「この指輪、いいね～！」
「これとこれの色を合わせてるのね！いいわね！」
今ではあまり話せなくなった母ですが
この時の反応は忘れられません。
実は私、お見舞いに行く際
あえて明るい色の洋服を着たり
アクセサリーも「病院だから…」と
控えるのではなく
しっかり身に着けるようにしていました。
なぜなら、認知症がひどかった時でさえ
私の指輪を触りながら
「これ、私好きだわ」と
興味を示していたからです。
このコーデも母からは
好評でした。
父との思い出が教えてくれた「気遣い」
これにはもう一つ理由があります。
それは、大学1年の秋に癌で亡くなった
父との思い出です。
父は５０歳の時
癌で３回の手術を受け
医師の予告通り７ヵ月でこの世を去りました。
入院中のある日、私を見て
父が涙ながらにこう言ったのです。
「同じ服ばかり着て…かわいそうに！」
父のその言葉を聞いて
私は衝撃を受けました！
当時の私は特に意識せず
「コーデを考えなくて楽だから」
そんな理由だけでよくワンピースを
着て病院に通っていたのですが
父に言われるまで
そんなに何回も着ていたことに
全く気が付いてなかったんです！（笑）
父とのこの一件以来
私は服装について
考えるようになりました。
おしゃれをすることが
病気の父への「気遣い」でもあると
気づいたからです。
病院でも「輝く娘」でいること
一般的に病院にお見舞いに行くときは
華美な格好をさけ
地味な服装を選びがちです。
関係性が深いほど
心もつらいですからね。
でも私は、父の経験を通して
「両親の前ではそうしてはいけない」
と学びました。
青春真っ盛りの娘が
地味な姿でいるのは、きっと父には
心苦しかったのでしょう。
決して地味なワンピースを着ていたわけではないと自分では思うのですが（笑）
可哀想な娘に見えたのでしょうね（笑）
母もまた、美しいものや
ファッションが大好きな人でしたから
母に会うときは
特におしゃれを心がけていきました。
でもね、心がつらい時に
オシャレまで考えるのは
きついことも十分わかりますよ。
「おしゃれ」は心の支え
母が入院した最初の病院では
「履きやすい靴を持ってきてください」と言われ
母が以前から愛用していた
スニーカーを持って行きました。
チャックで軽いし
気分も少し明るくなるかなと
紐は少し伸びるものに変えました。
ダイソーで売ってます。
看護師さんたちからも
「おしゃれ～！」と口々に褒められ
母もとても嬉しそうに
「みんなに褒められるのよ」
と私に教えてくれました（笑）
こうして少しでも声をかけてもらえたら
母も少しは気が紛れるかなと思ったからです。
一回目の転院時は
きれいなパジャマを着せましたが
２回目は洋服やベレー帽を持っていきました。
「もう洋服を着て病院を出ることはないかもしれない…」
という思いがよぎったからです。
やせた母・・・・
何枚も連写したので
プリクラみたいに加工して
母に見せました（笑）
結果的に
本当に着せてよかったと思います。
この時も看護士さん達にかわいい～と
声をかけてもらい嬉しそうでした。
実はこのニット
母も似合うかな～と思って購入し
まずは私が着ていったんです。
そしたら案の定
「これ、私も欲しい！」と言われて
「実はお母さんに買ったんだよ！」と
着せたのでした＾＾
私の原点
こうして振り返ると
ファッションの仕事をしているのは
この両親がいたからだと感じています。
ファッションは単に
「着るもの」だけではなく
母と私をつなぐ大切な
コミュニケーションツールでした。
そしてきっと相手が誰であっても
「思いやり」であり
「自分を大切にすること」
母の入院生活を通して
私は改めてその大切さに
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