今年7月から、iPhoneやApple Watchで韓国のT-Moneyが使えるようになった。
ソウルに到着した翌日、さっそく地下鉄駅のT-Moneyチャージ機で現金1万ウォンをチャージし、利用を始めた。
いつもソウルでは、街の変化を感じるために地下鉄ではなくできるだけバスを乗り継ぐようにしている。iPhoneでバスの乗り継ぎを検索しながら、停留所の路線図やバスの経由表示を確認して移動する。そんな時、カードを出し入れなしにそのままiPhoneでタッチして乗り降りできるのはとても便利だ。
ところが3日間、バスと地下鉄を利用してみると、多い日には交通費だけで9,000ウォン以上かかっていた。iPhoneでは、支払いや乗り継ぎの履歴が場所と金額とともに表示される。30分以内の乗り換えは「支払いなし」なのだが、ちょっと用事を済ませてからまた移動となると、1,500〜1,550ウォンの支払いが生じる。
そうなると、1日定額5,000ウォンでバス・地下鉄が乗り放題になる「気候同行カード」の方が安上がりということになる。そこで、この「気候同行カード」を入手し、1日だけ試しに使ってみた。
この「気候同行カード」とは何なのか、どうやれば使えるのか。まとめてみた。
「無制限定期券カード」の導入
2023年9月、ソウル市は月額65,000ウォンで市内の公共交通機関を利用できる定期券カードを翌2024年上半期に導入すると発表した。対象は市内バスやマウルバス、地下鉄1~9号線や京義・中央線、盆唐線、新林線など、さらにレンタル自転車のタルンイ(따릉이)も利用できるというものだった。
当時、ソウルの市内バスや地下鉄の料金は8年ぶりに値上げされることになっていた。公共交通の利用者比率は2018年の65.1%から2021年には52.9%に減少。一方、乗用車の割合は24.5%から38%に増加した。そうした中での運賃値上げは、利用離れを招くだけでなく、赤字が続く地下鉄・バスの財政をさらに悪化させ、同時に自動車利用増加による炭素排出量の増大が懸念されていた。
そこでソウル市は、定額の乗り放題券を発行することで、平日の通勤通学だけでなく週末の利用も促し、年間13,000台分の乗用車利用を削減、温室効果ガスを年間32,000トン削減できると試算した。こうした「環境配慮」を前面に出すため、この定期券には「気候同行カード」という名称が付けられた。
2024年1月27日から、月額65,000ウォンでソウル地域の地下鉄・バス・タルンイが乗り放題となる気候同行カードの試行運用が始まった。当初は首都圏の隣接自治体との調整が不十分で、市境をまたぐ利用に制約があったが、3月には金浦市や高陽市などと協約を結び、使用範囲は徐々に拡大していった。
「短期券」の発行
ソウル市は7月1日からの本格運用開始に合わせ、外国人観光客など短期滞在者向けに、定額で公共交通機関が利用できる「短期券」を発売した。短期券は30日単位で販売される一般券とは異なり、1日券(5,000ウォン)・2日券(8,000ウォン)・3日券(10,000ウォン)・5日券(15,000ウォン)・7日券(20,000ウォン)といった短期間を選んで利用できる。ただし、レンタル自転車のタルンイは利用できない。
発売開始から1か月で、短期券は計43,454枚販売された。チャージの際の選択で最も多かったのは3日券で15,423枚、次いで5日券10,257枚、2日券6,483枚、7日券6,127枚、1日券5,164枚。購入時の言語選択では、日本語(30%)が最多で、中国語(22%)、英語(20%)、韓国語(28%)と続いた。韓国語での利用28%は、韓国人や韓国居住者の利用もかなり多いことを示している。利用機関別ではバス(32%)より地下鉄(68%)が多く、チャージ場所は地下鉄4号線明洞駅や2号線弘大入口駅・乙支路入口駅・東大門歴史文化公園駅・乙支路3街駅が多かった。(『京郷新聞』2024年8月5日)
9月末には、公共交通機関利用者の約12%が気候同行カードを利用し、そのうち、短期券の利用者も1万人を超えたと報じられた。(『中央日報』2024年10月10日)
気候同行カードの入手
これで気候同行カードでソウルの公共交通機関を心置きなく利用できる。ただし使い終わっても3,000ウォンは返金されない。だから、リピーター以外は必ずしもお得とは限らない。






