昔話
1960年代前後から1970年代にかけの高度成長期、百貨店の紳士服売り場はボリュームゾーンと言って、
スーツ売り場、ジャケット売り場、スラックス売り場とカテゴリ―別の大きな売り場がありました。
もちろんブランドごとのコーナーショップもありましたが、売れに売れた時代、売上の中心はこのボリュームゾーン。
この当時お客様はまず僕たちが派遣社員とは思わず、ほとんどの方が百貨店の社員だと思っていました。
僕が配属された百貨店では、スーツ売り場は二社が占有。お互いに4人から5人いるので、
スーツ売り場だけで繁忙期は約10人が立っていました。
この時あったのが順番性というルール。当時はエスカレーターを上がって来られた正面にこのボリュームゾーンがあり、
売り場に入る前に、お客様につくか否かを判断します。
二社ですので、別の社の派遣店員が行くと判断したらその方が、パスという合図があればウチの社員が・・・
これを繰り返すのです。もちろん正面だけでなくサイドも、そして後ろ側も・・・
最初はなかなか判断つきにくいのですが、半年から一年ぐらいたつと買う客、買わない客というのが、
売り場に入る前に判断できるようになります。但し、難しいのがお客様が他社のスーツを気に入ったのを
自社商品に切り替えさせるテクニック。
お客様にしてみれば迷惑な話ですが、これが出来ないと売上にならないから必死です。
でもその焦りをお客様に見せるとお客様は帰って行かれます。
(今ではこんなことしたら即刻出禁だと思いますが)
実は当時からアオキ、青山という量販店がありましたが、
ランク下の店ということで、圧倒的に百貨店の勝ちでした・・・・
しかし栄枯盛衰はこの業界にも存在し、今や紳士服量販店は一流企業に・・・
百貨店は量よりも個に重きを置くようになって、紳士服売り場からボリュームゾーンは消えていきます。
さてこれから先はどうなっていくのでしょう・・・口にだせないことが色々ありますが、
百貨店はストアロイヤリティーがあるのが強みだと思っているけど、
実は売り場に立つ派遣社員の持つパーソナルロイヤリティーがあってのことを忘れないでほしい。
また派遣社員の方には担当ブランドの持つロイヤリティーも忘れないでほしい。
今大切なのは、店の大小にかかわらずストア、パーソナル、ブランドの三つ揃ったロイヤリティーを
いかにお客様に感じていただけるかです。ウチの店にもネットで、あるいは大規模商業施設で買える商品がいっぱいあります。
でもどうせ買うならワンオーバーエフでと言ってくださるように頑張らねば・・・・