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あっちこっち…より道したっていいじゃない

ミーハー万歳★
あれもこれも大好きってスバラシイ・・・





前作「猿の惑星:創世記-ジェネシス-」では、ウィルスに感染した隣人のパイロットがそうとは知らずに、飛び立つところで物語が終わる。当然ウィルスは感染を広げたワケで…10年後の地球には、免疫を持つ少数の人間だけが生き残っていた…
一方シーザーたちは、森の奥ふかくで自分たちだけの世界を築いている。 

またしても人間のエゴが、平穏だった猿たちの生活を危険にさらし、暴力的なものに変える。
猿は、戦いなんて望んではいない、のに…。 


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なぜだか、公開が楽しみでならなかった本作。ジェネシスの伝えようとしていたメッセージが、予想以上にココロに残るものだったからかもしれない。
一体あの後、ウィル (フランコ) の身になにがあったのか…本作での彼の不在がちょっぴり悲しい。
シーザーをこれだけの統率力あるリーダーに育てたのはウィル。人間への理解、信頼を教えたのもウィル。この現実は、ウィルの研究がもたらした結果とも言えるけど…瀕死の状態になったシーザーが帰りたいと思った場所、それもウィル。
あの窓が見えたときにはワタシの胸にも熱いものがこみ上げてきた。 




猿にだって人間にだって、それぞれ守らなければならないものがある。共存できれば本当はそれが理想ではあるけれど…相手を敵視しちょっとでも優位につこうとすれば、せっかく歩みよって縮まった距離はまた遠ざかり、埋まりかけていた溝だってさらに深まってしまう。
そして信頼関係はいとも簡単に崩壊する。
人間だけが悪いとは思わない…けれど結局、原因をたどれば、それはやっぱり人間。
追求するのは良いけれど、得るものの代償が大きすぎる。
そしてこれはなにも、映画の中だけの話ではない。世界中の、くり返される過ちに、早く終止符を打たなければならないところまできてしまっているのだというメッセージも見え隠れする。




ウィルに育てられたことで人間に信頼を寄せるシーザーに対し、実験動物として身体を傷つけられてきたコバ。人間への不信感が、やがて人間への復讐心へと変わっていく。コバにだって守りたいものがあった訳で、忠誠を誓ったシーザーへの想いとの間で苦悩する。
人間だって同じ。猿との共存の可能性を信じる者もあれば、ふたたび人間だけの世界を取り戻そうとする者もいる。苦悩…これはまさにそれぞれが抱える苦悩と、それぞれの正義と葛藤の物語。

猿と人間との戦いの火蓋は切って落とされた。もう、あと戻りすることはできない。




ひねりのない予想通りの展開ではあるけれど、それでいい。次回作への期待が高まる。  




映像の凄さは言うまでもない。これがCGであることなどすっかり忘れ、完全にこの世界に惹き込まれていく。モーションキャプチャーというのは本当になんという技術なのか!
チラッとメイキングの動画を観たけれど、こんなにも表情のひとつひとつが、動きのひとつひとつがリアルに再現されているのにはただただびっくり。第1作目の特殊メイクも当時はそれなりに斬新だったのだろうけれど、今や技術の進歩にはamazing!のひと言。





flower1 お ま け flower1


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阪本順治の「ビリケン」がとにかくおもしろくって、大好き。。。
だから、福岡に帰る前にどうしても新世界をのぞいてみたかった。 新幹線まで全然時間ないし、新大阪とは方向ちがうし、通天閣にも登れなかったけど…雰囲気だけはちょっぴり味わってきた。

そこは…新世界というか、別世界w
なんか不思議な空気のただよう街だ。うん、こうゆうの好き。


新世界には、いろんなところにビリケンさんがキャー


通天閣にしかいないと思ってたので、これは嬉しい。怒っているのか笑っているのか…にんまりした顔がとにかくチャーミング。このビリケンさんに杉本哲太をキャスティングする阪本監督のセンスってすごいw
新世界のみんなにこんなに愛されて、ビリケンさんはきっと笑っているに違いない。 

前の日の勝利はビリケンさんのおかげかも??


超豪華w…スワロフスキのビリケンさん!
これはさすがにショーケースの中に入ってた。


串かつを食べたお店のテーブルにもビリケンさん


白いのや…


こんなのまで…shoko



今度また大阪に来たときには、この新世界で思いっきり飲んだくれてみたいと思う。
そして通天閣にも登ってみよう。
だって、ビリケンさんがてっぺんから下界を見渡すあのシーンは圧巻でしたからね! 




しばらくブロクを放置している間に、またひとつ歳をとったカオ
いよいよ30代も末期…新たな節目が目前まで迫ってきているワケだけど、いくつになっても誕生日というのは嬉しいもので、今年もまたこの日を迎えられたことに感謝。
さて…雨続きの8月を終えたとたんに、気持ちの良い晴ればかりの9月。日中はまだまだ暑いけれど、明らかに秋の空気も感じる。
秋といえば…芸術の秋。ワタシもひとつ大人になったワケだし…先日、先行予約で当選した「大人の新感線  ラストフラワーズ」の観劇を兼ねてこの連休は大阪・神戸旅行でたっぷり芸術的な時間を堪能。

メイン・イベントを目前に、思いがけず大阪ではまずシルク・ドゥ・ソレイユの「OVO」を観ることになった。福岡公演は2月からなので、先取り感&贅沢感いっぱいはーと。



シルクはKOOZAに続いて2回目。あの世界観は…言葉で表すとちょっと陳腐になってしまうのだけど…とにかく凄い。童心に帰れるだけではなくて、きっと体感した人にしか分からない興奮と感動とが詰まってるから。
「OVO」のポスターは、ちょっと「こびとづかん」っぽいw 
実は…このこびと達が醸しだすあのなんとも言えない不思議な感じがワタシは好きで、わが家ではなんとなく集まったこびと達が、玄関で出迎えてくれる。

 そんなワケで、こびとづかんを連想させる虫たちの世界と、そこにに迷い込んできたタマゴ(OVO)のファンタジックな本作は福岡公演がずっと待ち遠しかったのだ。
セリフらしいセリフはなくて、パフォーマー達の演技と、舞台のセットやカラフルな衣装や音楽だけで伝えられる物語には実は奥深い背景があり、パンフレットを読んでおくとより楽しむことができる。
虫たちの森にタマゴを運んでくるのはよそ者のフォーリナー。彼がどう虫たちの世界に馴染んでいくか…一目惚れしたレディバグとの恋の行方はどうなるのか…と、話は彼を中心にすすむ。



実はこのフォーリナーを演じているのは日本人だという。
シルクのメインをはるのが日本人というのは何だかとても誇らしく思えて、より親近感がわく。
どの演目も見どころ満載で、目を離すことは出来ない。パフォーマー達があまりにも簡単そうに、身体をそらせたり宙を舞ったりロープの上を歩いたり…もしかしてワタシにもできるんじゃないかって錯覚してしまう。ろくに開脚もできないくせに、ねw 


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夜は神戸を散策しようと阪神電車に乗った…途中ものすごい人だかりの駅に停まる。なんだなんだ、と思ったらそれは甲子園球場。 阪神 vs カープ戦がちょうど終わったところらしく、しかも阪神勝利とあってこれまた熱気が凄い。酔っぱらって気分上々、歓声を上げて大盛り上がりにゅ
そして、彼らのファッションがなんというか、とても芸術的だった…ぜひ写真を撮らせてもらいたかったけれど、声をかけるのはちょっと怖い。家の近所で見かけるソフトバンクのファンとはひと味もふた味も違う。刺繍に込められた想いがめちゃくちゃに、熱い(笑) 

神戸の夜景もまたアート!



あ~これこれ。 ワタシ、この夜景がずっと見たかったんだってば。
ポートタワーの上まで行くには時間が遅すぎたのだけれど、海からの風が心地よくて、1日の疲れが癒される。本当はこの景色をバックに洒落たカクテルなど飲んでみたかったけど、また大阪まで戻らなければいけなかったので断念。
 


jewel*

さて2日目。。。いよいよ待ちに待った「ラストフラワーズ」
「大人計画」松尾スズキと「劇団☆新感線」いのうえひでのり…
夢のコラボレーション、演劇界の大事件
わぁ あれだけの豪華キャストが揃えばおもしろくないワケない。期待度はかなり高い。



松尾スズキの笑いについて行けなかったらどうしよ、と事前に「恋の門」でおさらいはしてる。
いのうえひでのりの演出に間違いがないことは、これまでのゲキ×シネ体験で立証済み。
うん、悪くない。 悪くない。

公式サイトはこちら
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オープニングから笑わせてくれるのは橋本じゅん。本当に彼はいろんな役をこなす。
…で、笑いもしっかりとる。彼が舞台に登場したその一瞬で、あ~はるばる大阪まで来て良かった、とココロの底からそう思えた。
 


第1幕…とにかく、いろんなことが起こる怒涛の展開。スピーディに切り替わる場面に振り落とされないよう必死について行くワタシ。さあ、これから一体どうなる?どうなる?
第2幕…始めから終わりまで、とことんお祭り騒ぎのコメディかと思いきや…予想外の方向に話はすすむ。とある国の将軍様を、こんなにいじっていいのかしら?オチも結構シリアスだったりして、ちょっとほろりとくる場面もある。 
それぞれ個性の強いキャラがぶつかることなくうま~く混ざり合えてるのはさすが名演出家の手腕!


ところで、好きなカレーの具と言えば…ナス・えのき・タマネギ・ひき肉。
これ、わが家の定番。これだけでも美味しいのは分かってる。でもそこに、トマトとかぼちゃも入れてみる。 うん、イケる。 更には赤パプリカと豆とレンコン。 これもなかなかイケる。 そしてお皿に盛ってからは茹でたオクラと温泉たまごとチーズをトッピング。
豪華だ…豪華になっても庶民の味方、誰からも愛されるカレーであることは変わらない。
「大人の新感線」はまさに、こんな冒険的な一皿のカレー。
 

エロかっこいい小池栄子、必見
ファットダディ古田新太一家、必見
宙を舞うマッド・サイエンティスト粟根まこと、必見
ラストフラワー星野源にほろり…必見!

書いても書いても、書ききれないので、今からじっくり、パンフレットを見ながら余韻に浸ることにしよう。このパンフレット、ゴムで新聞紙をとめてあるだけみたいな作りで、すぐバラける。というか、バラして読むようになってる。レトロな感じで、ひとりひとりの紹介は映画をパロッたポスターになってておもしろい。
なかなか洒落ている。
 とりあえず、半分くらい広げてみたw

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かなり贅沢で、芸術的な2日間。ココロも少し豊かになったような気がするべー

新たなこの1年は、どうか穏やかに…そして和やかに…過ごすことができますように。。。









なんとなく観た映画が思いのほか面白いと、得をした気分になる。
忙しい日が続いたのに加えて、イライラともやもやで心身ともにちょっと疲れていたワタシ。
特に予定があったワケではないけれど、ご褒美の有休でHulu三昧(笑)
テキトーに選んで観た4本のうち、「その土曜日、7時58分」というなんともセンスあふれるステキなタイトルに惹かれて観たコレだけが、アタリ映画だった。




なにも知らずに観た。フタを開けてみれば…今は亡きフィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークにアルバート・フィニー。キャストもなかなか豪華。ひとつの強盗計画を軸に描かれたシドニー・ルメットのお見事なサスペンスドラマだった!
フィリップ・シーモア・ホフマン…飛び込んできた衝撃ニュース、まだついこの間のことのように覚えている。ワタシ達は本当に惜しい役者を亡くしてしまった。 


金がない。
これが引金となって、彼らは過去の、そして未来の、全ての悲劇をあらわにすることになってしまった…。
離婚され娘の養育費も学校の授業料も払えずにいるハンク。一見、優雅な生活をしているように見える兄アンディもまた、金に困っている。実は会社から金を横領しドラッグに溺れていたアンディ。財務監査が入ることを知って、なんとか資金繰りをして隠ぺいしなくてはならないからだ…。
そして夫婦生活に不満のあるアンディの妻はハンクと不倫。
金がなくても、ココロまで貧しくなってはいけない…つくづくそう思う。 隠しごとがひとつ増えるたびに、嘘がひとつ増えるたびに、幸せだった元どおりの生活は遠のいて行く。




少しずつ…少しずつ…歯ぐるまは狂い始める。
困り果てたアンディはとうとう、ハンクに「誰も傷つかない強盗」を持ちかけた。
襲うのは、両親が営む宝石店。
店は保険に入っているし、開店時に店にいるのは年老いた店番のドリスだけ。おもちゃの銃をチラつかせて売上げと商品の総額12万ドルを頂こう、という。
全ては楽勝…のはずだった。

しかし…へっぴり腰のハンクが怖気づいて友人を雇って犯行を依頼したことで、悲劇が更なる悲劇を呼び、ダメ男たちは底なしの泥沼にはまって行くかの如く転落していく。
 




この、観せ方が実にうまいと思った。
犯行があったのがまさに、とある土曜日の7時58分。
その前後をハンク、アンディ、そして父チャールズのそれぞれの視点から、時系列を崩して描いているのだけれど、これまでの兄弟、親子間にあった愛憎やわだかまりが垣間見えるにつれ、彼らがココロに抱えた空虚感というのが浮き彫りになっていくのだ。




独自に事件の真相を暴こうとした父が、息子たちの関与を知った時のあの表情が忘れられない。
家族…というのは一見、丈夫そうでいてきっと、もろいガラス細工のようなものなのだ。チャールズのあの顔を見たとき、それはワタシの中で音をたてて砕けて割れた。もう、修復はできない。 

3人の視点が交差しても、決してくどくなることはない。むしろ、そうすることでより物語が立体的になり深みがでてきたように思う。  


行きついたところは家族の崩壊…こんなはずじゃ、なかったのに。


原題は「Before the Devil Knows You're Dead」 これまた皮肉なタイトルがついたものだ…
改めて、フィリップ・シーモア・ホフマンの冥福を祈りたいと思う。









公開前はあんなに話題になっていたのに…そういえばこの映画の評価は、あまり耳にしていなかったことに気付く。ブログのレビューもいくつか読んだ程度で、見逃してしまったのも多かったのかも。 
「思い出のマーニー」…公開から1ヶ月以上たってしまったけれど、たまたま無料で観ることができるとあって、劇場へ。 




病気の療養のため、北海道の田舎を訪れた少女・杏奈とマーニーのひと夏の思い出…実は、本当にただそれだけの話だと思っていたので、予想以上の意外な展開が待っていてくれたのは嬉しい。 




わりと早い段階で、マーニーが現実ではないことは分かる。12歳という多感な歳ごろの杏奈が空想の中で、自分の理想を形にしたマーニーと時間を重ねていくんだろうな…このまま夢オチ? なんて思いつつ、劣等感や孤独感を乗り越えて成長していく姿や…自分を嫌いだと言うココロの傷が少しづつ癒えていく様子は涙を誘う。
愛される人になる為にはまず自分自身のことを好きになれなくちゃ…と常日頃よりそう思っているワタシは、つい杏奈のことも支えてあげたい優しい気持ちになる。




そこに…マーニーをめぐる、ちょっとしたミステリー風の味つけが加わってくる。
古い日記帳や、サイロ、杏奈の記憶。。。
予想外の展開、ではあったけれど想定内のオチ…といったところw

杏奈とマーニーは、違和感を感じてしまうほどお互いを大好き大好きと言いあっていた。
けれど「大好き」という言葉がいかにこの作品で大切な言葉なのかは、いずれ分かってくる。
大切な人に、きちんと伝えなくてはならない大切な言葉。  




夕暮れの湿地や月明かりの夜の、風景がとにかく美しくてうっとり。
杏奈の部屋から見える景色や洋館のたたずまい、食卓に並ぶ料理も、畑に育つ野菜も、その美味しさが伝わってくるようで、アニメーションのクオリティの高さはさすがジブリ。 作品もおもしろかった。




しかし…
何が違うのか、っ言われるとハッキリとは分からない…この作品は紛れもなくジブリなんだけれど、明らかに宮崎駿ではないからだ。 帰宅し、なんとなくジブリ・モードが続いていたので「風の谷のナウシカ」を観た…米林監督には申し訳なかった。宮崎駿の凄さが際立ってしまったからw


ふくろう


杏奈はきっと、もう大丈夫。 
少しずつ、自分のことを好きになれるはずだから。






「午前10時の映画祭」で上映している市川崑監督の「細雪」がおもしろいと聞いた。
今年の映画祭は、なかなか観る機会のない邦画が加わってラインナップが豪華だ。




ようやく福岡にもやってきた「細雪」…。 楽しみにしていたくせに、この映画のことは、原作が谷崎潤一郎の小説であることも…これが3度目の映画化であることも…テレビドラマや舞台でも上演されるほど親しまれた作品であることも…そして恥ずかしいことに「細雪」を「ささめゆき」と読むことも…全くなにも知らなかった
え゛!
そんな、まっさらな状態で映画館に足を運んだものだから…美しい四季の移り変わりや艶やかな着物、古い日本家屋の雰囲気や耳に心地よい船場言葉にすっかり魅了され、繊細な日本文学のひと欠片をココロに刻むことができ、なんとも尊いひとときで…ぜひ原作の谷崎文学にも触れてみたいとも思った (いつになるかは分からないけどw)。 

迫りつつある開戦の不安と、移り行く時代を背景に描かれる蒔岡家の4姉妹の物語。
くり返される三女・雪子の縁談と、蒔岡家の本家と分家の確執を軸に、入り乱れる4姉妹の想いが、巡る季節の美しさに彩られ、時にはぶつかり合い…時には涙を流し…そして時には笑いながら交差する。 




長女の鶴子。 両親を早くに亡くし、本家を守るという責任を果たしつつ母親に代わって皆を見守っているけれど、夫の東京転勤の話に気持ちが大きく揺れてしまう。 気品あって美しい岸恵子。当時いくつくらいだったのかは知らないけれど、ワタシにも、歳をとった時にあんな美しさがあればいいなあと思う。
市川崑と岸恵子のコンビは、そう言えば「黒い十人の女」でも観ていたっけ。 
 



次女の幸子、なかあんちゃん。 夫と妹の雪子が浮気してるんじゃないか、ってやきもき。早く縁談をまとめてホッとしたいのに…次から次へと問題が湧くものだから、あっちこっち奔走する。姉を支え、妹たちへの心配りも怠らないしっかり者だけど、ふとしたときに流す涙には色気あってちょっとドキッとする。 




三女の雪子、きあんちゃん。 何度もお見合いをくり返すのに、なんだかんだと理由をつけていつも話はまとまらない。誰かココロに決めた人があるのかな?…もしかして義兄さん? 寡黙で何を考えているのかよく分からない不思議ちゃんだ(笑)
姉たちを振り回しはしたけれど、最後には「雪子ちゃん、粘らはっただけのことはあったなあ」と言わせるくらいだから、かなりしたたかな一面があったんだろうと思う。 




四女の妙子、こいさん。 自由奔放ゆえに、彼女が一番傷つきやすい。この時代に人形づくりという仕事で自立しようとする姿はたくましいし、確執やしがらみから逃れたい一心で巻き起こす騒動がおもしろい。ロクでもない男につきまとわれて、姉たちには心配かけてばかり。末っ子特有なのか、本当は彼女は誰よりも寂しがりやなのだ。 




こんな4姉妹の間で、あっちを取り持ちこっちも取り持ち…養子という立場上、致し方ないのだろうけど、気遣いばかりで胃が痛くなりそうなのが次女・幸子の夫。 石坂浩二、いいなあ。
雪子の結婚がようやく決まったとき…「あれが嫁に行くんや」と、涙を流しながらやけ酒をあおるのは、やはり義妹をただ可愛がっていたのとはワケが違うよう。



それぞれが自らの新しい道を選んで、新しい一歩を踏み出そうとしている時に
「いろいろあったけど、結局なんも変わってへんな」と幸子がつぶやくシーンがとても印象的。
どんなに美しく良きものであっても、巡る季節同様、いつかは終わり、新しいものへと変わっていく。終わりがあるからこそ、それは美しいとも言える。
この後、本格的に戦争を迎えようとしている時代なのだから、なにも変わらない訳はないのだけれど…この美しい姉妹愛だけは変わってほしくないと思う。 


「細雪」とはまったく関係ないのだけれど、北野武の「Dolls」も、巡る日本の四季が美しい映画だ。 


電球おまけ
姉妹の会話の中で、料亭の「吉兆」というのが何度かでてくる。
つい船場吉兆の、あのとんでも事件と会見を思い出してしまった(笑)
情緒ある美しい日本の歴史のひと幕を飾った吉兆。 三女によって黒い印を残すことになって
しまったっけねえ…。








昨年の感動が忘れられず、もう一度あの久住の大自然の中に鳴りひびく和太鼓を感じたくて…
また行って来ました…『TAO の夏フェス』




8月に入ってから、どうもすっきりしない天気の続く九州。 これぞ、夏! って日があまりない。
あ~、あの赤兜には突き抜けるような青空が似合うのになあ…

フェス前日の15日…福岡は朝からありえない程の大雨で愕然ガーン
「今日のうちに降るだけ降ってしまえばいい。そしたらきっと、明日は晴れる!」と、天気予報そっちのけの都合の良い望みが少しは叶ったのか…当日はくもり空。
日焼け対策か雨対策か…なかなか準備も大変だ苦笑


山の天気はすぐ変わる。
途中、阿蘇の雄大な景色…



あ~晴れてきた!
帽子、やっぱ持ってくれば良かった、と思いきや…


こちらは今にも雨が降り出しそうな、どんよりした空…


福岡から2時間半のドライブは交通渋滞なく順調。
そして目の前に広がるTAO の里…しっとり雨に濡れた感じもまた風情あって良し。


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懐かしいメンバーの笑顔にまた会えることが嬉しい。
メインライブ開始前の時間をそれぞれが楽しんでいるアットホームな雰囲気が好き。


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TAO のメンバーは皆、ここで生活をしている訳だから、このフェスは言わば彼らの家に遊びに来ているようなもの。草とりから屋台の組み立てからイベントの企画から…彼らはまさに、全部をこなすスーパーおもてなし軍団だ(笑)

気さくな人たちばかりで、写真もサインも握手もおしゃべりも快くOK してくれる。




今年イチオシだというカクテル「道草」
ライムとミントがとても爽やか。 太郎さん作rrrr




新たに9人ものメンバーが加わったとのことで、まずは新人ライブを堪能。
このTAO の里で、先輩たちと衣食住をともにしながら練習をつんでいるせいか、新人とはいえ演奏は力強い。ご家族やら高校時代の同級生やらが応援に来てくれている光景が微笑ましい。
しばらくするとメンバーが皆、メインライブの準備に入る。屋台がし~んとなるので、こちらのわくわく感も増すのだけれど…空が、なんとなく怪しい汗

ステージ前の芝生にシートを敷いて、いよいよ!
彼らは本当に、本当に、カッコいい。 鍛え上げられたその肉体にまずは魅了され、彼らの持つ体力と精神力のすべてがそそがれた和太鼓の演奏が、大地を伝ってワタシにも届く。これまで欠けていた何かが満たされていくような、そんな感動。
音響設備の整ったホールでの公演ももちろん素晴らしいけれど、ワタシが求めているのはこの大自然の中にあったのだと実感。 ますます彼らのファンになる。 

時おり太鼓の音に、カミナリがまじる…山の天気は気まぐれだ。

もう少しだけ…もう少しだけ…願いも虚しく、あっという間に滝のような雨が降りはじめライブは中断。
彼らの命である和太鼓を雨に濡らすわけにはいかない。
天候回復の見込みはなく中止の決断がなされ、そのまま雨は夜まで降り続いた。
これもまた、大自然の中ならではの貴重な体験。

びしょびしょになったワタシ達を気遣い、最後までおもてなしの精神を忘れない彼らの姿にもまた感動。多分、お客さん全員が同じ気持ちだったはず。こんな事態でも、不機嫌そうな人もなければ文句を言う人もない。
また来年 必ず来よう、って誰もがきっとそう思ったに違いない。



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つい買ってしまったトマトや…
ヨーグルトリキュール。
身体に良さそうなのがいっぱい入ったお茶と
バター香るクグロフ。

大分には美味しいものが沢山だカオ












踏み出せそうで、なかなか踏み出せないあと1歩、というのがある。
これは、全ての女性…全ての母親…全ての妻
そして、全ての頑張る人と頑張ろうとしている人たちの、背中をぽんっと押してその1歩を助けてくれる…そんな映画。 




姪の結婚式のため、はるばるインドからニューヨークに行くことになったシャシ。
とても美人で、お菓子作りが上手で、家族想いで…。でも困ったことに英語がちょっと苦手。事あるごとに家族にからかわれ、ちょっぴり傷ついて不満も募り気味な彼女。

夫や子供たちから離れて、ひと足先にやってきた異国の地は心細くて不安がいっぱい。カフェでコーヒー1杯飲もうとするのも大変で、大騒動を巻き起こしてしまう。
自信を持って、胸を張っていられるように…と、シャシが飛び込んだのは英会話教室。 




これまでも何作かインドの映画は観てきたけれど、普段の会話の中に、かなりの頻度で英語の単語やフレーズが使われているのは感じてた。この作品でも、シャシの夫はエリートサラリーマンで流暢な英語を話すし、娘やまだ幼い息子も英語まじりで会話をする。
シャシの育ってきた背景までは描かれていないけれど、普段からサリーを着ていることや英語ができないことから、もしかしたら彼女は世間を知らないまま、社会に出ることもなく結婚し家庭に入った、ちょっぴり古風な人なのかもしれないな、とも思う。

__.JPGついでに…彼女が作るお菓子、ラドゥーも伝統的なもので、あのガネーシャが持ってる器に山盛りになっているのがそれなんだとか。 



ワタシもかつて、父の転勤で海外にいたので、全く言葉の通じないところで同じような思いをしたことがある。ESLのクラスに通いながら、伝わらない伝えられないもどかしい日々。外国人に優しい人ばかりではないし、独りぼっちの寂しい思いもした。自信をまた取り戻すまでは自分との戦い。
シャシも言っていたように、つまづいた時はどうしたらもっともっと自分のことを好きになれるのか、って考える日々。今思えば、あの頃はワタシだけじゃなくてきっと母の方がもっと、シャシに近い思いをしていたかもしれないな…。




新しい世界に飛び込んだシャシの、奮闘する姿に勇気をもらって、いつの間にか、彼女にガンバレ!ってエールを送る自分がいる。
今まで夫に頼ってばかりいたシャシがひとりの人間として自信を取り戻していく…。忘れかけていた恋心に戸惑い、悔しくって時には涙を流し、挫折しそうになったり、自分を責めたりしながら。
それでもあきらめない彼女はキラキラ美しい。




シャシのファッションがとても素敵。彼女が身に纏うサリーはどれも繊細でカラフルでニューヨークの街をバックにとても映える。彼女に好意を抱くロランとの会話のシーンも好き。お互いフランス語とヒンディ語で語りかけ、すれ違っているようでいながらちゃんと伝わっているところが胸にきゅんとひびく。恋愛にオープンなフランス人とのギャップも微笑ましい。
音楽もまたイイ。おそらくこの映画のために作られたものだとは思うが、マンハッタンが実によく伝わってくる(笑) シャシと一緒になって、観光気分を満喫。
ウッディの描くニューヨークに流れるのはジャズ。全く違う雰囲気を味わうことができるのも良いものだ。


自信をもって、すべての人にオススメできる映画。上映館が少ないのは残念泣







ワタシは子供の頃から「オズの魔法使い」の話が大好きだ。
映画だけでなく、絵本であったり演劇であったり、これまで何度となく触れあってきたけれど…スクリーンで本作を観るのは初めて。ワタシにとっては今回の「午前10時の映画祭」の目玉のひとつ。ようやく福岡でも上映、待ち遠しかった~

昨夜は飲み会。お酒の誘惑に負けずにいられたとは、オズの魔法の力は偉大だ(笑) 




のどかなカンザスの農場を、大きな竜巻が襲う…。
逃げ遅れたドロシーと犬のトトは家ごと吹き飛ばされて…落っこちたのは遠い遠いオズの国。

カンザスに帰りたいドロシーと、
知恵がほしいカカシ
ココロがほしいブリキの木こり
勇気がほしいライオン

オズの魔法使いに願いを叶えてもらうため、力を合わせて西の魔女とたたかうことに…。 

大切なものは…持っていないんじゃなくて、そこにあるってことに気づいてないだけ。




これまでは、夢の冒険ものがたりとして大好きだったオズが、今日は何でだか涙ぽろぽろ
泣
シンプルだけど、とっても大切なメッセージがズキュンズッキューンとハートに突きささってしまった…
スクリーンからまっすぐに見つめてくるドロシーの瞳にすっかり魅了されて、ワタシの大切なものや人たちがぐるぐるとアタマを巡る。
Over the Rainbow を始めとした名曲の数々に彩られ、改めて大好きな映画であることを実感。
モノクロの映像と、オズの国のカラーの映像とのコントラストも良い。小学生の工作のようなカラフルなオズのセットも、CGに慣れきってしまった目には逆に新鮮。




ドロシーを演じたジュディ・ガーランドは当時16歳。透きとおる歌声とまっすぐな瞳は、間違いなく彼女をスターにしたけれど…実はその裏に隠されていた壮絶な彼女の人生を、いったいどれだけの人が知っているんだろう。
今回、涙なくしてこの映画を観ることができなかったのは、そんな生き急いだ彼女のことを考えて、少し悲しくなってしまったからなのかもしれないな。。。


 






あれ? これはウッディが監督したんだっけ?
と…ちょっとした錯覚を起こしてしまうオープニング、選曲、セリフ…そしてニューヨークの街。





ジョン・タトゥーロはよっぽどウッディを崇拝していたんだろうな…と思いきや、意外にも2人はほとんど面識はなかったのだとか。たまたまジョンの企画を耳にしたウッディが、乗り気になったのがきっかけで、脚本やら演出やらいろいろ口を出したということらしい。作品を観るかぎり、2人の息がぴったり合っていたことは伺えるし、ウッディ色が濃いのも納得(笑)
ウッディのファンとしては、これまでの彼の作品のサイドストーリーを観ているような感覚で安心感がある。 不器用なんだけど、一生懸命な人たちの姿。 劇場にはくすくす笑いが散りばめられて、気持ちよく映画館をあとにすることができた。

image-4.jpegジョン・タトゥーロと言えば
まずアタマに浮かぶのはコーエン兄弟の「ビッグ・リボウスキ」 
…あの強烈なジーザズは一度みたら忘れられない(笑)  自身でも映画を撮っていたということは知らなかったな。




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ニューヨークはブルックリンにある小さな本屋…代々続くこの店を、とうとうたたむことになったマレー。
かかりつけの医師から、とある相談をもちかけられた彼は、ジゴロビジネスを思いつき、花屋でバイトを始めたばかりの友人フィオラヴァンテを、おだてて持ち上げてジゴロデビューさせる。歴史ある本屋はつぶしてしまったけれど、調子の良いおしゃべりを武器にマレーは、新しいビジネスを成功させるため営業トークに精を出す。





決して美男子ではないところが良いのか、女性の気持ちをちゃんと理解してあげられるところが良いのか…フィオラヴァンテは才能を開花させ、ビジネスも軌道にのってくる。




一方マレーは、まだ若いというのに夫の死後ずっと喪に服してい未亡人アヴィガルに「人はふれ合いが必要だ」と説得し、フィオラヴァンテの「ヒーリングセラピー」を受けさせようと必死。 
厳格なユダヤの戒律の壁があるものの、次第にフィオラヴァンテとアヴィガルの間には恋が芽生えていく…。
恋。。。これはジゴロにとってご法度。 さあマレー、どうする??




大好きなウッディの映画のひとつに「ブロードウェイのダニー・ローズ」という作品がある。マレーの姿は、ときおりダニー・ローズを思い出させるところがあったけれど…ウッディの映画を観るように観てしまうと、どうしても違和感はある。比べてしまうとちょっと物足らない感が残るけれどそれは仕方ないか…。

ところで、久しぶりにスクリーンでヴァネッサ・パラディをみた。
魅力的な人だと思うし、とても40には見えず若さの秘訣を聞き出したい衝動にはかられたけれど…ワタシはどうも彼女のすきっ歯が昔から気になって仕方がない(笑) 今回も、彼女が細身もネイビーのコートを着て颯爽と歩く姿なんて、セクシーでつい目を奪われてしまうのに…口をあけると興醒め。
不完全なところがまた良いというのか、彼女がジョニー・デップの愛をつかんでいたことは確かだけど。なんでもフランスでは、すきっ歯は幸運の入り口、と言われているようらしいけど…治した方が絶対カワイイって! ワタシだったら、余裕(経済的なw)があれば今からだってちょっと大きめの前歯を治したいと思うのになあ。


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そして…今回、劇場で観た予告で気になったのが「マダム・イン・ニューヨーク」
早くも絶賛の声を多く耳にするので、こちらも楽しみ。
ジゴロにマダムに…ニューヨークは大賑わいだカオ