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あっちこっち…より道したっていいじゃない

ミーハー万歳★
あれもこれも大好きってスバラシイ・・・



11月10日…俳優、高倉健さんが亡くなった。
特に思い入れがあったワケではないけれど、当たり前のようにいつでもそこに居てくれると思っていた人がいなくなってしまうというのは、寂しいことだ。
205本もの映画に出演していたそう。ワタシが観ているのはその内たった3本。
「南極物語」
「幸福の黄色いハンカチ」
そして 「ブラックレイン」
…きっと素人でも誰もが1度は観ているだろう、って定番の3本。


 

さすがは日本の映画界の頂点にいた方…多くの人がその死を悼み、悲しんでいる。追悼する特集があちらこちらで組まれ、数々の授賞式での様子やインタビューの映像が流れる。
中でも、かつて共演した人たちの語る「高倉健さん」がとても魅力的だと思った。誰もが口をそろえて、彼の真摯で驕らず、謙虚な姿を語り、優しい気配りに感謝の言葉を述べる。
容姿や学歴、経済能力ではなく、これこそが男の本当のカッコ良さなのだと、今更ながら気付かせられる。

人は2度死ぬという。
1度めは肉体の死。2度めは人々の記憶から消えてしまった時の死。
高倉健さんには2度めの死は永遠に訪れないだろうと確信した。
 
だから今日は、ワタシも高倉健さんの映画を観てみたいと思った…

 
「新幹線大爆破」



キアヌ&サンドラのあの「スピード」の原作になった作品だという。40年も前に、邦画でこんなパニック映画があったとは驚き。
東京発、博多行きの新幹線に仕掛けられた爆弾。時速80キロ以下まで速度が落ちると爆発するのだという。
1500人もの乗客を乗せた新幹線。最悪の事態を回避すべく全力を尽くす国鉄。 犯人グループと、彼らを逮捕しようと必死の警察。そして車内では乗客がパニック状態に陥っている。
次から次へとスリリングな展開なのに、ところどころ犯人たちの人生のドラマも描かれており、少々長いけれど博多到着までの限られた時間の中で、事件を解決しようと見事な連携プレーで奔走する国鉄と警察の様子はなかなか面白かった。
撮影をめぐり当時の国鉄とは一悶着あったようで、ツッコミどころは多々あるのだけれど…とにかくこの映画「大脱走」さながら、超豪華キャストのそろったオールスター娯楽アクション。ワタシでさえ知っている人が沢山!
主犯がもちろん高倉健さん。大勢の人の命を危険にさらし、大金をせしめようとするけれど…悪人にはなりきれず優しさがあちこちに垣間見えてしまう役どころであったのは思ったとおり。


 
「幸福の黄色いハンカチ」




何年ぶりか、もう忘れてしまったくらい久々の鑑賞。こんなに笑える映画だったっけ?
と、とても新鮮。
武田鉄矢はコントみたいだし、桃井かおりも倍賞千恵子も最高にかわいい。
そして、なんと言っても高倉健さん。真面目すぎて不器用なその姿が愛おしい。
初めて観たときは、ワタシこの魅力に気がついてなかったなあ。
感動のラストは誰もが知っているあの有名すぎるシーン。ハッピーエンドは分かっているけど、やっぱり涙が出た。


flower1
 

わりと長身でがたいが良く、寡黙。決して悪い人ではないけれど、どこか過去の傷を引きずっている…そんな雰囲気が、どこかしらワタシのイメージするジョン・ウェインっぽかったりもしてにゅ
次は…「遥かなる山の呼び声」にしようかな。馬に乗った高倉健さんのポスターが、まさにジョン・ウェインみたいだしw



高倉健さん…どうぞ安らかにお眠りください










ほんとだ…これは凄い!
「これを傑作といわずして何を…」キタコさんのこのひと言で、迷わずDVDをレンタル。

簡単なあらすじ以外はアタマに入れるべからず
鑑賞前のネタバレ記事も厳禁
なるべく、まっさらな状態で観るのが良し




…かと言ってワタシにはキタコさんのように、大切なところには触れずともモチベーションだけを高めるような文章力は持っていないので、恐らくところどころネタバレあり。悪しからず(笑)


アンドリュー、マット、スティーブの3人の高校生が、ハンディカメラで記録した日常生活のコラージュ。未編集の映像の断片が、無造作によせ集められているだけなのかと思いきや…フェイク・ドキュメンタリーと言えどそれは実に綿密に計算されており、スピード感と緊迫感を保ったまま疾走する90分。
ジョシュ・トランク監督…これがデビュー作だというから凄い。ブレア・ウィッチとか、同じような手法で撮られた作品は観たことあるけど、ここまで勢いあっておもしろかったかどうかは覚えてない。
一見、低予算風ではあるけれど…実はレベルの高いアクション映画であり、高校生たちの日常のなかに突如あらわれた非日常が与える驚きは大変ショッキングなものである。




病気で寝たきりの母と、酒浸りの父。暴言を吐かれては殴られる劣悪な家庭環境にあるアンドリューが、なぜ突然撮影を始めたのか…パーティ会場の庭にあった穴は何だったのか…その穴にいたアレは何なのか…映画を観おえたところで、何ひとつ解決はしないのに、不条理に感じないのは何故なんだろう。
3人は、自分たちに与えられた超能力をおもちゃのようにあやつり、遊ぶ。他愛ないイタズラをしたり子供じみた一面は微笑ましくもある。
ハンディカメラの目線だと、目の前に広がる光景は、いつの間にかワタシ自身が見ている光景になり、ワタシもその一部になっていくような感覚を味わえるから不思議。
べつに穴の中の生物がなんであったとしても、それはきっとどうでもいいことなのだ。

ところが後半になると、その能力をコントロールできずに暴走するアンドリューが…。
目線がアンドリューのカメラだけではなくて、監視カメラやクラスメイトのカメラ、テレビ中継のカメラへとテンポ良く切り替わっていき、迫力はさらに増し壮絶なアンドリューのラストを捉える。
力を手に入れたその瞬間から、悲運への道を辿り始めていたのかもしれないけれど、悲劇の全てはアンドリューが父親の愛に飢えていることにあるのだと思うと胸が締めつけられる。





知っている俳優はデイン・デハーンしかいなかった。しかも「アメイジング・スパイダーマン2」のハリー・オズボーンしか観ていない。
彼は前半の無邪気さと後半の狂気とのギャップをとても上手く演じていて、どこかもの悲しい雰囲気は、この映画にはぴったりだったように思う。 

ほんとに、凄かった。。。









この秋公開の新作は、ちょこちょこ気になるのがあって、週末なにか1本は観に行けそうだけど、どれにしよう…とこの数日ずっとアタマをずっと悩ませていた。
決めたのは、コレrrrr




いい歳してるけど、隠れたところでちょっぴり乙女なとこもあったりするワタシテレパンダ

妄想大好き…バンザイ現実逃避ハート
だから実は「アメリ」も大好きだったりするw  もともとジュネ&キャロの「デリカテッセン」や「ロスト・チルドレン」は好き。サーカスとか大道芸とか…共通して描かれるそのこだわりは、どことなくフェリーニっぽくもあり、人が抱える孤独がじわ~っと染み込んでくる感じがイイ。そして不思議なキャラクターや幻想的な映像でつづられる絵本の1ページのような世界に、どんどんと惹き込まれていくのだ。

新作「天才スピヴェット」にも当然、期待が高まるワケだけど…これはジュネの手がける初の3D 映画だという。アヴェンジャーズ系のお祭りアクション映画こそ3D で観るべきだと思っていたので、今回はさほど迷うことなく2D で鑑賞。
でもこれは大きな間違いだったかも!?
カラフルな小物が散りばめられたウェス・アンダーソンの世界をワタシは「絵本的」だとよく言っているけど、同じ絵本でもジュネの世界は飛び出す絵本! CGを自由自在に操ったシュールな立体絵本を体験できたのではないかとちょっと後悔。
緑の一面に広がる野山と赤い家とのコントラスト…その色使いにまず魅了された。
アンダーソン同様、こちらも監督のこだわりが隅々まで感じられる洒落た小道具が満載で、おもちゃ箱的な要素がたっぷりなのだ。





モンタナに暮らす10歳の少年 T.S スピヴェット。天才的な頭脳を持っているのに、誰からも理解してもらえない…。 T.S の双子の弟が死んでしまったことで、家族のココロにはぽっかり穴があいて、かまってもらえない T.S はますますひとりぼっち。
そんなある日…1本の電話で T.S は彼がスミソニアン学術協会から権威ある賞を受賞したことを知る。




授賞式に出席するため、モンタナの田舎町から貨物列車でアメリカを横断。目指すは遠くワシントンDC。家族に内緒で家出。数々の困難を乗り越えて、人とのふれ合いを通しながら少しずつ成長していく T.S 。




授賞式のスピーチで、彼はある重大な真実を明かすのだけど…
これには思わず涙がこぼれてしまった
泣 彼が小さなココロに抱えていた寂しさがこんなにも大きなものだったのかと思うと泣けて泣けて…。


jewel*


天才少年スピヴェットを演じたカイルくん。彼もまた天才。カワイイだけではなく何ヶ国ものしゃべれたり格闘技もすごかったり、本当に科学好きで自身でも何かスゴイのを作っていたりとか…。
彼の声の抑揚が耳にとても心地よくて、セリフもナレーションもすぅ~っと馴染む。
ポエティックな脚本も良く、笑いあり涙あり…これまたココロに残る1本となった。オトナ必見!



PS ジェイミー・フォックス & クワンベンジャネ・ウォレスの「アニー」が待ち遠しくてたまらない。
映画館で予告編を観るたびに涙…ワタシ「アニー」のこと好きすぎる!









とある三日月の晩…綺麗だなあとつぶやいていたら、アマルコルドさんに「ペーパームーン」のポスターを思い出しますね、と言われた。
オニール親子が作りもの三日月のはしっこに座ってこっちを見ているあの写真…ほんとだ。
あ~ワタシ絶対この映画、好きだろな。
ポスターは知っていたのに、映画はまだ観てなかったなあ。 




母親を事故で亡くしてしまった少女アディと、母の恋人だった詐欺師のモーゼ。聖書を売っては小金を稼ぐモーゼは、商売の傍らアディを親戚の家まで送り届けることになるのだけれど…ライアン&テイタム・オニール。実の親子が演じているからか、他愛ないおしゃべりでも喧嘩をしてても2人の粋な会話の息はぴったり。アタマの回転が速くて機転のきくアディはモーゼの良き相棒となって、やがて2人の間には友情とも親子愛とも言える感情が芽生えてく。
じんわりと心地の良い後味がのこり、思ったとおり大好きな映画の仲間入り。

「ペーパームーン」ってタイトルがまたステキ。
移動遊園地の一角にある記念写真のブースで、アディはモーゼと一緒に写真を撮りたがるのに、モーゼったら踊り子のトリクシーにくぎ付け。
ペーパームーンは、実際には紙よりも丈夫な板でできた月のようだけど、1900年代初頭の大不況の時代…その月を背景に写真を撮るということが、人生のささやかな幸せの記録として当時は人気があったそう。例えそれが紙の月であろうと、信じることができればそれは本物。
ワタシの大好きなウッディ・アレンの「ギター弾きの恋」にも、そういえばペーパームーンに座ってギターを弾くシーンがあったなあ…




アディとモーゼはもしかしたら本当の親子だったのかもしれないけれど…答えは分からないままでいい。2人の間に生まれた絆は確かなものだから。 
口が達者でおしゃまで小生意気で…それでもまだまだ甘えていたいお歳頃。もうアディが愛おしくって仕方ない。ちょっぴりザジを思い出したりもしてw




秋から冬にかけての空気の澄んだ夜空には、今晩も月がキラキラ











肩こりとか、今までワタシとは無縁と思っていた…整体やら整骨院やらに通院する話を耳にしても、大変だなあ…歳はとりたくないもんだ、と人ごと。
しかしワタシも、着々とオトナの仲間入りをしているのだと思い知らされたわぁ
ダメダメって分かっていても、ついホットカーペットでうたた寝…寝る 喉がカラッカラに渇いて身体がこわばって目が覚める…翌朝は案の定、首が痛い。 肩甲骨まわりのストレッチで今まではすぐに治っていたのに…今回のは手強く、うたた寝から2日目にして首、肩、背中に広がる激痛で金縛りにあったかのように身動きがとれない
がーん 鎮痛剤で痛みをごまかしながら会社には行ったけど…頭痛まで出現、これはもう笑いごとではない!! 寝ちがえてこんなに痛いなんて初めて。

会社は早退。
こうしてワタシもめでたく整骨院デビューを飾ることとなる。。。

初めてなんです…と、おどおどしているワタシに 「ここを一般的な整骨院と思わないでくださいね」 と、おにぎりみたいな先生がにっこり笑って言う。問診がとても丁寧。先生の、自然治癒力を高める治療法について話を聞いたあと、格子模様の入った鏡の前に座り、いかにワタシの身体が歪んでいるのかを目の当たりにすることに
いー 左右の肩の高さの差や両目の位置の差…ふだんも家で鏡は見てるのに、こんなにもワタシは歪んでいたのかと驚かされる。しかも、ちゃんと立っているつもりでも右肩よりも左肩の方が前に出ていることが判明。つまりは身体がねじれているのだ困った バンザイしても、まっすぐ両脚をのばしてるつもりでも歪みまくりで、そりゃ筋肉だってこわばるというワケだ。
抗重力筋を鍛え良い姿勢を保つことで、自然に深く正しい呼吸ができるようになれば、不要になった体内の酸を外に吐き出せるので、身体の酸化を防ぐ効果につながるらしい。つまりは緊張したまま酸化して錆びついてしまったワタシの身体…どうやら副交感神経の働きを整えてリラックスにつながる治療が必要なようだ。
ここで登場するのがおにぎり先生の「バイタル・リアクター」なる秘密兵器。
マッサージなどで、上辺の痛みや症状だけを拭うのではなく、不調の原因を突き止めて取り除く治療なので、先生が首や肩には触れることはない。ワタシの場合は副交感神経の集まる耳の後ろに、コンピュータにつながったそのリアクターを当て、ハンマーみたいなのでカーンカーンと叩いて振動を送る。カイロプラクティックのような人の手による施術にかわり、リアクターが神経の圧迫を緩和して脳からの先天的な治癒力を100%引き出すというのだ。
説明が難しく、分かったような分かってないような…でもびっくりするくらいに身体は軽い。あんなに痛かった首がまわり、肩が上がるようになった。そして格子模様の鏡の前へふたたび…うつってるのはワタシだけど、明らかに違う…これこそ、劇的ビフォーアフター
カオ

ただ、ちょっとショックだったのは…これまで何年もヨガを続けてきたのに、身体の歪みを矯正するという面では効果はなかったのだということ。いつまでたっても身体が柔らかくならないのはそうゆうことかあ。おにぎり先生いわく、正しい治療を行った上で、修正された歪みをヨガでキープするのが良いのだとか。なるほどね
電球

本日、劇的に改善された歪みは残念ながらずっと続くものではない。しばらく通院は必要とのこと。
帰りがけ、初めての施術のあとは気分が悪くなる人もいるようなので安静にしておくように、と言われた。ワタシが暗示にかかりやすいせいもあるのか、車に酔ったようなかるい吐き気は今もする
汗
今晩は、うたた寝ではなく、ちゃんとベッドで早く寝ようflower1







良い映画らしいよ…というウワサだけで、作品についてなんの予備知識もないのに、どうしても観たくなって居ても立ってもいられなくなってしまう…そんな映画がたまにある。
『マダム・マロリーと魔法のスパイス』もそんな1本だ。映画の日…「午前10時の映画祭」に行ったあとで、次は何にしようか思案しているとき、友人のそのひと言で気分はもうマダム・マロリー。
監督がハルストレムと分かれば何がなんでもこれを観なければ、と思ってしまう。




とっても暖かい物語…くすくす笑えて、ほろっと涙も出て、お腹もすいて。
人が生きていく上で欠かすことができない「食」…魔法のスパイスは身近なところにもきっとあるはず。
誰かのためを想って作られたひと皿ひと皿が、きっと絆を深めてくれる。
人と人が円満につながっていられる秘訣…それは食卓にあるのだと、ワタシはずっとそう信じてる。




南フランスにあるミシュランひとつ星星の老舗レストラン。
仕切っているのは、いつでもしかめっ面のマダム・マロリー。道を挟んだ向かいの空き家に、インドの料理人一家が越してきて、レストランを開業したことで、静かな田舎町には騒動が巻き起こる。
派手な音楽や、窓を開けていれば嫌でもただよってくるカレーの香り…ああ言えばこう言い返されて、こう言えばああ言い返されて…移民に対しての偏見も見え隠れし、たった100フィートの距離はなかなか縮まらない。
そこで、一家の次男ハッサンの魔法がかかる…彼の絶対的味覚のセンスはやがてマダム・マロリーの冷えたココロをもとかしてく。




マダム・マロリーの店で修行をすることになったハッサンは、その才能をどんどん開花させていく。
30年間ずっとひとつ星星だったレストランを、たった1年でふたつ星星星にしたシェフ…となれば瞬く間に話題の人となり、その腕を買われハッサンはパリへ行くことに。
都会の空気にさらされて、ハッサンは確かにイイ男になった…けれど笑顔は失ってしまう。
本当にこれでいいのかな…


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スウェーデン人監督による、インド料理vsフランス料理。良い映画にも、美味しい料理にも、誰かを大切に想う優しい気持ちにも…国境なんてないんだな。









珍しく熱などを出し…会社に行くこともできず2日間うとうと寝たり起きたりのくり返し。この歳になると、病院のクスリを飲んだって風邪もなかなか治ってくれない。時間はたっぷりあるというのに気力がなく、DVDはルイ・マルの「さよなら子供たち」1本しか観れなかった。




ただ…これがスバラシイ1本だった。熱で意識が朦朧としていたせいなのか、この悲しくも美しい映画の余韻のせいなのか…ジュリアンの、まっすぐカメラを見つめるあの切ない眼差しに胸がしめ付けられるような思いをし、暗くなった画面をしばらくぼ~っと眺めていた。




舞台はドイツ占領下にあるフランス。1944年1月。パリから遠く離れた寄宿学校へ疎開しているジュリアンは、まだまだ母親に甘えていたい12歳。クリスマス休暇から学校に戻ると、ジャンという転校生がいた。
優等生のジャンは、読書が好きでもの静か。どこか大人びた雰囲気をして周囲とはなかなか打ち解けられないような少年。ジュリアンは彼に興味を持ちはじめるがある日、ジャンが本名を偽って学校に匿われているユダヤ人であることを知ってしまう…。
灰色がかって寒々しい風景をバックに描かれる少年たちの日常。秘密を抱えた少年と、そんな彼に惹かれていく少年…。思春期にさしかかった彼らの友情とも恋ともいえる儚い想いがあふれてる…。
あ。この光景、ワタシ知ってる。萩尾望都の世界だ…くり返し何度読んでもワタシを唸らせる名作「トーマの心臓」とかさなるのだ。




この映画は監督自身の幼少時代を描いた自伝的作品であると言われている。「トーマの心臓」はここからの発想だったのかと思いきや、萩尾望都の連載の方が先だというから驚いた。
デビュー作「死刑台のエレベーター」から30年もの年月を経て、映画監督として腕をみがき、演出力もついたところで「生きているうちに絶対に撮らなければいけない作品」として、ようやくルイ・マルが自身の少年時代を描こうと決めたのだという。
「1944年の1月のあの朝のことを一生忘れないだろう」…このナレーションがルイ・マルに募っていた想いのすべてを語っているような気がする。戦争に対してのやり場のない怒りや不条理な結末…ユダヤ人というだけで友と引き裂かれたあまりにも辛く悲しい思い出を彼自身が客観的に見つめることができるようになるまで、これだけの時間を要したということだ。

無邪気な少年たちの目から見た戦争という現実が、直接的に誰かが殺されたり痛めつけられたりするシーンを見せられるよりも辛く残酷である。密告を受けてゲシュタポが学校に捜索に来る。教室でジャンの本名を呼び、返事をしなさいという。緊迫する空気のなかで、ジャンの本名を知っているジュリアンがつい彼の方を見てしまう。
もしもこの時のジュリアンの視線が、ジャンが連行される原因だったのだとしたら…
その後のジュリアン(すなわちルイ・マル自身)にどれだけの罪悪感を与えたことだろう。もしかしたら、ルイ・マルはこうして映画という形で許しを請いたかったのかもしれない。







ニトログリセリン爆弾
衝撃感度が高く、少しの衝撃や加熱、
摩擦によって爆発する
爆薬としてダイナマイトの原料になる




ワタシを映画好きにした、最も影響のある10本をもし挙げるなら、間違いなくその内の1本になるであろう「恐怖の報酬」…細かいところは忘れてしまっていても、あのハラハラ感だけは20年たってもちゃんと覚えてる。
「午前10時の映画祭」へ。今回は、お客さんは見事におっさんばかり!

次から次へと目の前に立ちはだかる問題と、それらをひとつずつ打破しながら前に進む男たち。
手に汗にぎる、とはまさにこうゆうこと。古い映画だからと侮ってはいけない。人間ドラマに於いても、サスペンスに於いてもやっぱりこれは極上の1本だったのだと改めて思う。



ホントかウソかは知らないけれど、あの「スーパーマリオ・ブラザーズ」のアイディアはこの映画から生まれたらしいって??
仲良しルイジとマリオ…どっちかというとマリオっぽい左がルイジ。渋いマリオはイヴ・モンタン。


爆発ドッカーン



町から500キロ離れた山の上の油田で大火災が発生し犠牲者が続出。一刻も早く消火しなければと、石油会社はその爆風で消火するためにニトログリセリンを使うことを決断。
そう決断したは良いが、いったい誰がそれを油田まで運ぶのか…。多額の賞金を約束され、マリオ、ジョー、ビンバ、ルイジの4人がその役に選ばれた。彼らは2台のトラックに乗り込み現場へ向かう。本当なら1台分で量は足りる…事故に備えて、2台。

前半でしっかり彼らの日々の生活の様子や人物像が描かれることによって、後半に始まるニトロ運搬劇はより深いものになる。命の危機にさらされた4人の男たちがとる行動のひとつひとつに、その性格や経験を垣間見ることができるからだ。2台のトラックの対比もおもしろい。




悪事をはたらき、その当然の報いとして命を落とすのならともかく、この映画にはそんな悪人はいない。これは、貧しい生活から抜け出したい一心で一攫千金を夢見る男たちが、自らの命を差し出す一世一代の賭けなのだ。

荷台に積まれた大量のニトログリセリンの恐怖が、まず土台としてある。
そこに、でこぼこ道やら急カーブやら岩やら腐った板やら…追い打ちをかけるかのようなひと息もつかせない緊迫感が続く。




この先にあるはずの未来に命を賭けて挑む彼らの姿は勇ましい。しかし、ひとつずつ恐怖の瞬間を乗り越えていくたびに、その恐怖感がマヒしてしまうことの方が実はもっと恐ろしい。これくらいなら大丈夫…まだ大丈夫…と、最強の敵を軽んじてしまうことで、最も恐れていた結果への扉は開かれてしまうからだ。
かつては裏社会の大物だったと強がっていたジョーは、ニトロの脅威にすっかり怖気づいて全く使い物にならず腑抜けてしまう。むしろその姿に人間らしさを感じることができた気がする。
ジョーが巻こうとしていた葉タバコが突如、吹き込んできた風に飛ばされたとき、未来を語っていたはずの
ルイジとビンバの乗ったトラックが爆発する。ジョーとマリオは遠くにその光景を見て唖然とするのだが、後に事故現場まで辿りついてみれば2人の仲間たちは跡形もなく消え散っている。ここでただならぬ恐怖と焦りと不安がまた蘇ることになる。観ているワタシたちも、いつしか恐怖に慣れつつあったことを気付かされる。




油田にニトログリセリンを届けることができたのはマリオ1人だけ。そのマリオも不条理な最期を迎える。
本当の悲劇は、慣れでちょこっと緩んだ緊迫感の隙間を突いて襲ってくるものなのかもしれない。彼らはいったい何のために命を落としたのか…。アメリカ映画では到底観ることのできないあのラストに、いろいろと考えがめぐる。






いなか娘が、憧れの舞妓さんになるまでの単なるサクセスストーリーかと思いきや…さすがは周防監督! 新たなジャンルへの挑戦で、アビリティの高さを見せためちゃくちゃにおもしろいミュージカルに仕上がってるコレ
ハート




「舞妓はレディ」だなんて、ちょっと変なタイトルだと思っていたけど、何度か声に出してみればそれは「マイ・フェア・レディ」…あ~なるほどね。 これは周防監督の舞妓版、ことば遊びのつまった「マイ・フェア・レディ」だったんだ!
鹿児島弁と津軽弁のバイリンガル春子。同じ日本人とて何を言っているのかほとんど分からない訛りっぷり。赤いほっぺに太めの眉毛…ザ・いも娘rrrr




舞妓さんになりたいという願いひとつでお茶屋さんを訪れる春子。ここで言語学者の京野先生とご対面。イライザとヒギンズ教授が目に浮かぶ。訛りの強い下品な言葉使いの花売り娘が果たして社交界の貴婦人になれるのか!?
「京都の雨は大概、盆地に降るんやろか?」…本当にそういう言葉遊びがあるのかどうかは知らないけれど、ESL クラスで発音練習をする時 「The rain in Spain stays mainly in the plain!」は絶対に欠かせないフレーズ。ワタシも、貴婦人にはなれなかったけど…これは相当練習させられたっけいー 京野先生の研究室や録音装置が、ヒギンズ教授の部屋の風景が重なる。
「マイ・フェア・レディ」を知らなくてもたっぷり楽しいのだけれど、先生に抱くあわ~い恋心だったり、ようやく身についてきた京ことばなのについ地が出てしまったり、クライマックスのお店出しだったり…ところどころイライザの姿を見つける楽しみがまた良い。 




春子を演じた子は、オーディションでこの役を勝ちとった、まだまだ新人の女優さんらしい。ホントにどうしようもないほどのいなか娘から変身していく姿を見ているとつい応援したくなってしまうし、彼女はとっても歌がうまい。
で、その新人さんのまわりに豪華スターが散りばめられているのがなんとも贅沢。草刈民代が美しい。富司純子が上品。長谷川博己は今までこんなイイ男だと思ってなかったカオ 他、ちょびっとだけの出番なのにあれだけ沢山の大物が集まるのは、やはり周防監督の作品のクオリティの高さが信じられているからこそ。竹中直人&渡辺えりコンビはラストで笑わせてくれるし、大好きな加瀬亮なんて写真だけの出演だったんだからw 

舞台で再現しているような女将さんの回想シーンが粋。着物の着付けや髪を結うなどの箸休め的なシーンがとても効果的に使われていたとも思う。
コメディからシリアスなもの、ドキュメンタリー調の作品、そして今回のミュージカルまで…気づけば周防監督は「ファンシイダンス」からずっと追っかけてる。多分、彼の力はまだまだこんなもんじゃないはず。リメイクやら小説やコミック原作の映画ばかりが目立つ今日、こうゆう作品に出逢えるのは本当に嬉しい。




映画の日だから…という訳ではないけど、今日は会社ズル休みして良かった
キャー








影ながら…ワタシはクリント・イーストウッドのファンである。これまでいろいろと観てきたし、好きな作品がいくつもある。なので新作の公開がどんなに待ち遠しかったか…って言ったらこれはウソ(笑)
イーストウッドがまた撮っていたことも、公開を控えていたことも、つい先日まで全く知らなかったからカオ


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Can't Take My Eyes Off You
…これは誰もが1度は耳にしたことがあるはず。多くの人にカヴァーされているし、CMでもお馴染み。ワタシは、椎名林檎バージョンが前々からお気に入り。
数々の名曲の、誕生秘話にまつわるドラマで、今もなお人気のブロードウェイ・ミュージカルの映画化だと言う。 映画が公開されることなんて何にも知らなかったくせに、いかにも待ってました!とばかりに初日に劇場へ。

ウッディ・アレンもそうだけど、イーストウッドも相当なおじいちゃん。
なのに、映画のセンスは全くブレてない。  




金もコネもない若者たちが、街を出るには軍隊に入るかマフィアになるか…それとも有名になるかしかない。まともな教育も受けられず、貧しい生活ではあったけれど、彼らには音楽の才能と大きな夢があった…
「ドリーム・ガールズ」でもそうだったように、ショービジネスの世界で華を咲かせるには、どのグループだってきっと、いくつもの壁を乗り越え、挫折し…泣いて笑って、裏切りと信頼の間を行き来する。そして、成功を掴んでからの道もまた険しく、それはこの作品で描かれているフォーシーズンズも同じ。
映画として、特にあっと驚く展開が待っている訳ではないけれど、フランキー・ヴァリとボブ・ゴーディオが創る歌というのはまさに彼らの人生そのものだったんだな…と、リアルタイムで彼らを知らないワタシの世代にでも親しまれているいくつもの楽曲のウラには、実にたくさんのドラマがあったということを初めて知った。 




フランキーの娘フランシーヌとの悲しい別れがあってこそ生まれた名曲Can't Take My Eyes Off You…この歌を聴いて涙がでることなんて今まではなかった。彼らがこの歌に込めた想いを知れば、ワタシの想いも変わってくる。
フランキーとフランシーヌは、映画で語られているよりもっと本当はつながっていたんだと思う。
2人のココロが、ね。


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当時の、レトロ感満載の映像もステキ。
ボウリング場のシーン。当然ワタシは、ピンが倒れたあとは機械がウィ~ンと作動するのが当たり前だと思ってた。昔は裏で人がそれを1回ずつ片付けていたなんて知らなかった~。表舞台の、ちょっとした知られざる裏方の世界。こんなところにも、光と影を感じたりして。

クリストファー・ウォーケン以外、知っている役者さんがひとりも出ていなかった…。フランキーを演じたのは、舞台でもフランキー役を務めたというジョン・ロイド・ヤング。彼はダスティン・ホフマンにちょっと似ている。フランキーのあの独特な高い声の特徴をうまく捉え、ものまねの域を完全に超えて見事な歌を聴かせてくれる…ただ、彼に16歳当時の青年を演じさせるのはちょっとムリだったかと。
どうオマケしても30歳…かなw


__.JPG音楽ってスバラシイな。

ありきたりな感想かもしれないけれど…素直にそう思う。
これから観る人にも、この映画はぜひ素直な気持ちで観てほしい。
 
劇場を出るとき「また聴いてみようかなあ」と夫婦の会話が聞こえた。公開初日、初回の上映…半分以上は席がうまってた。多分、フォーシーズンズを懐かしむくらいの年代の人がほとんど(笑)
ワタシも今、これ書きながらYouTubeでフォーシーズンズかけてるけどw