『背骨作り』
大久保長安登場回。
大賀弥四郎とか懐かしい名前が出てきた。のこぎり引きの刑にされたヤツ。
『桜の乱行』
秀頼の教育問題。秀頼に誰か教育係を付けるべき、という話。心配する伊達政宗からの手紙を、高台院の所で読む今井宗薫と光悦。光悦、大坂城へ行き淀君に会うが大野修理と酒を飲みながらイチャイチャしていてアカンかった。
『江戸の抱負』
家康、真意を語る。跡継ぎたる秀忠にポリシーを叩き込む。
『於大の生涯』
この小説の初期主人公ともいうべき、家康の生母・於大、いまは伝通院と名乗り、75歳。まだ生きてたのか。その於大の死の様子。
この章で、茶屋四郎次郎の次男・又四郎清次、登場。於大のお気に入りで話し相手になっていたらしい。
『出ずる日落つる日』
於大の死から約半年後、慶長8年2月12日、家康が征夷大将軍に。
於大に続いて、納屋蕉庵の最期。茶屋又四郎と於みつ(「木の実」の従妹)が看取る。納屋蕉庵も、物語初期からの登場人物。信長の頃は熊の若宮と名乗っていたキャラ。同時刻、曾呂利新左衛門こと坂田宗拾も死亡。
『人質草』
於みつと又四郎の恋のやりとり。なかなか読ませる感じ。於みつ、千姫のお付きとして大坂城へ行く決意。
『桐の片桐』
秀頼と千姫の婚礼が近付き、片桐且元の視線で見る淀君、千姫、長安。秀頼はまだ11歳なのに、良くない腰元がセッ……を教えてしまったらしい。千姫は7歳。色々な心配があるもんだなぁ。
千姫はこの作品でも天真爛漫、ヒロインなスタンスなのか。今のところは誰からも愛される天性のオーラを発している。秀頼なんかにはもったいないな。
『婚礼の夢』
千姫、大坂へ輿入れの日。千姫がかわいくて仕方のない家康、姫の乗った船を見送り、いつもと違っていろいろおかしくなっている。老いた秀吉の奇行と同じようなことをやっている自分に気付いてゾッとしたり。こんな家康の描写はあまり見られない。
『秀頼の城』
大坂城へ来た大久保長安。彼の妄想が描かれる。太閤の黄金を目にする機会があり、目をくらませる。長安、黄金に憑りつかれたか。
秀頼、千姫お付きの於みつこと、栄の局が気に入ったようす。発情したガキ、嫌な感じ。
『江戸開府』
家康、伏見から江戸へ。長安の整備した東海道を行き、ご満悦。
かつて関ケ原の戦の折、「勝って兜の緒を締めよ」と家康が言った言葉は家中に広まっていたらしい。
駿府で藤堂高虎と話していると様々な提案がなされる。江戸開府の構想は高虎に伝わり、柳生宗矩も助力の申し出。
鈴ヶ森八幡で庄司甚右衛門と話し、柳館の許可を出す。
『百花萌ゆ』
江戸へ来てからの長安の生活。要領よく目まぐるしい感じ。今まで家康の配下にいなかったタイプ。次から次へアイデアを出し、それが当たる。家康の六男・忠輝(12歳)に附けられる。長安のアドバイスで忠輝の生母・茶阿の局、大奥へ復帰。
長安みたいな調子いいのは好きじゃない。
『春色秋色』
秀頼にやられちゃった栄の局、部屋から出てくるとこを片桐且元に見つかって問いただされる。男女のことに疎い且元、まさか11歳の秀頼が局を襲うとは考えもよらず、見当はずれな詰問ばかりするので局、変な汗をかかされる。ギャグか。秀頼が迫る回想シーンがエロ。読者が勝手に想像を逞しくして興奮するので、こういうのはあんまり詳しく描写しない方がいいんだよね。19、20の処女に11歳の性欲猿が抱き着いてきて二刻(4時間)あまりも……って、ああ、イヤラシイ。結局、且元は思い違いをしたままで、秀頼と栄の局が致しちゃったことはバレなかった。
『静かな暴風』
淀君の元に挨拶に来た今井宗薫、世間話をしているうちに力が入り、源頼朝を例えに大名であるなら征夷大将軍の下につかねばならぬと解説。淀君、ショックを受ける。
言いすぎちゃったかなと反省した宗薫、家康が引退した後は秀忠が継ぐだろうしそうなったら秀頼はその娘婿なんだから、仲良くしとけば万々歳と説明。
秀吉と家康は義理の兄弟、秀忠の嫁と淀君は実の姉妹、秀頼と千姫は従兄妹だし。家康が引退したら秀忠が継ぐだろうが、その子供は女ばかり、すると三代将軍は千姫の婿である秀頼だ、と空想した淀君、ご機嫌をとっておかねばと、千姫の御殿口へ直行。
千姫は「おちょぼ」と、すごろくで遊んでいたとある。
いきなり淀君がやってきたもんだから、みな固まって警戒。淀君、カチンときて、
「普段、姫に何を言い聞かせておるのじゃ、わらわを怖いものと教えているのか」
と侍女に当たる。そこではじめて、秀頼に何度も手籠めにされていた栄の局が懐妊したことを知らされる。淀君、ショックでポカン。そのころ、阿江与の方(淀君の妹で千姫の生母、秀忠の妻)がついに男の子を生んだ、後の家光である、と書いてあって追い打ちをかける。
淀君、踏んだり蹴ったり。