パリに本気で挑んでごらん!その厚い歴史と寛容。 | 大森 由紀子のブログ

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フランス菓子・料理研究家、大森由紀子が日常の美味しいを綴るブログです。

パリの憂鬱?
うーむ、マドレーヌ広場の変貌には戸惑ったが、まあ、切り取ったあの部分だけを見てパリがどうなったかなんてわからない。すでに聖火リレーは始まっているし、オリンピックに沸く7月のパリも見てみたい。

考えてみれば、革命後の19世紀のパリはすごい熱量で沸いた。イギリスに遅れを取っていたといっても、自由になった空気の中でロマン派が生まれ、外国から芸術家がパリ目指してやってきた。

ショパンは病と闘いながらも、その情緒的な曲、そして聞こえるか聞こえないかわからないくらいのピアノの弾き方がウケタ。リストは派手なパフォーマンス(髪をかき上がる笑)で、パリの上層階級女子を失神させたし、ヴェルディ―、ワグナーもやってきてオペラに開眼させた。作家の世界では、ゾラはドレフュス事件糾弾で社会にコミット、バルザックは1日30杯コーヒー飲んで小説を書きまくった。フロベールはボヴァリー夫人不倫小説でリアリスムを追求。

そんなかたわらに、われらがアントナン・カレームもいた。リストは、富豪に演奏会を頼まれても、カレームが一緒に来なければいかないとまで言ったそう。今、伝統菓子と呼ばれるものは、ほとんどが19世紀に作られている。

エクレア、ミルフィーユ、サントノレ、サヴァラン、ポルカ、ポロネーズ。。。19世紀に生み出された楽曲やお菓子を今も私達は真似していると言うのがすごい。
そして20世紀は、パリ成熟の時代とでも言おうかな。今は、プルーストじゃないけど、紅茶を飲みながらマドレーヌを食べて、ひたすらノスタルジーに浸る?と思っていたら、見知らぬパティシエから、インスタメッセ。パリで働きたいがどこか紹介してくださいと!おお、ここに1人海外に飛び出そうとしている若いエネルギーがいるという現実にハッとする。パリはやっぱり夢の都市。死ぬ気で挑んでごらん。何かを実現させてくれる厚い歴史と寛容がそこにあるから。