パリのお菓子屋さんガイド、すったもんだ事件!? | 大森 由紀子のブログ

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フランス菓子・料理研究家、大森由紀子が日常の美味しいを綴るブログです。

この本の出版には色々スッタモンダがありまして・・・。しかし最近、お気に入りの本を紹介するリレーなどが流行っていて、1996年出版のこの本をご紹介して下さっている方が何名かいらして、苦労して出版したかいがあり嬉しい限りです。ま
あ、当時インターネットなんてものがなかった時代で、私がこの本を出したかったのは自身の経験からでした。パリでお菓子屋さんを探すに情報がなくて一苦労していたんです。帰国してある雑誌に携わることになり、当時の編集長にパリのお菓子屋のガイドブックがあったら、とっても助かると思う、と申し上げたら、じゃ、大森さん作ってよ、ということに。でもお金ないから一人で取材して、誌面はモノクロ、写真は載せられないからね、文章でうまく表現してよ、と言われ、そうか、でも頑張ってみよう!ってんで、50店セレクトし全てのお店日本からファックスで、スペシャリテはなんですか?など事前アンケートを送ったんですよ。戻った返事たったの1枚。
こりゃやっぱり行くしかないわ、ということになり、50個小さなお土産買って渡仏。1日7軒は訪問する、という目標を定め携帯もなかったから、10時開店になったらホテルから一斉にアポ入れ開始。これがけっこうむずかしい。A店は3時に来い、え?B店は3時半?ムリムリ。アポ入れからしてめげました。でも、行くしかないわけで、カメラ下げて(外観とお菓子を撮る)メモ持っていくわけですよ。でも、そっけないんですよね、みんな。「あ、あんたねえ、ファックス送ったの。あれ、どこいっったっけ?」なんてね。で、カメラマンは?とか言われて、私が撮るんです、というと「ふん。(あやしいもんだわ、とは言わなかったけど、そんな感じ)。」と
言われ突き返される。7軒どころか1軒も取材できない日が続き泣く。そして考えたわけですよ。そーだ、ジャーナリストと名乗ろうと。フランス菓子研究しています、とか説明したって、意味不明のようでしたから。そしたら、なんと、みんな手の平返したように優しくなっちゃって、あれ食え、これ持ってけと。お菓子沢山持たされ、午前中ですでに両手いっぱい。仕方ないから電話ボックスの中で食べてから次行きま
した。道順も自分でちゃんと何回か歩いてメトロのX番出て、どういってこういって、とメモ。(これも私が知りたかったことですから)写真は外観とお菓子の写真を恐ろしい枚数撮りましたね。それをのちにイラストレーターさんがイラストにしてくれたわけなんですけど、原稿50店分仕上がった段階で、「ごめん、やっぱりお金なくて本出せない」と編集長に言われ、、、ガーン!頭真っ白。しかし、ちゃんと他の出版社を探してくださって、晴れて柴田書店さんから出せて皆さんに読まれるに至りました。本当によかったです。買って読んで下さった方、本当にありがとう❤️