花衣と母 | ただ、過ぎに過ぐるもの

花衣ぬぐやまつはる紐いろいろ

杉田久女 1890-1946

 

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子供のころ

桜の季節になると、家族揃って

お花見に行ったものです

母の花衣はいつも和服

嬉しそうに花見に合う着物を選んで

手際よく着たり脱いだりする母の姿を

今でも覚えています

 

腰紐を次々に結び

帯をきりりと締めて姿見で眺め

花見のあとは

さっさと解いて衣紋掛けにかける

 

何本もの紐に縛られて窮屈じゃない?

と、尋ねたら

慣れてるから着物の方が楽なの

と、母

 

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着物と無縁の暮らしをしている私ですが

日本の素晴らしい伝統衣装として

廃れないで欲しいと思います

 

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月百姿 94

月岡芳年 1839-1892

*所有の浮世絵を写真に収めたもの

 

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