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ニートの恋

ニートの恋 7

私は面食らって、渡された「最旬ヘアカタログ」をとりあえず、なんとかく開きながら、あの店員の女の子を盗み見た。
白を基調とした落ち着いた店内で、ハサミやシャンプー台の準備をしている。

『キレイになりたいってオーラ出てるもん』

彼女、千里眼でも持っているのかしら。その割には普通の人間っぽいわ、あ、今つまずいた。

ふむ。どうやら彼女は何か千里眼以外に特別な力があって、それが私の心を見透かしたんだ。

私はそう思い、渡されたヘアカタログを見て、目星をつけた。無難そうな、前髪の長いミディアムロング。

「あの…」

蚊の泣くような声を絞り出し、黙々と準備を続ける女の子に、先ほどのカタログのある部分を指差し、『決まった』と意思表示をする。

女の子はすぐに来て、私の座る席の鏡の前に立ちカタログと私の顔をしげしげと交互に見やった。

「…あの、あんまり前髪は切らないで下さい。」
私は鏡越しに唯一の希望を伝える。

「うん、これでいい…と思うけどさ。でも!!も少し前髪短くしてみない?あなた、目大きいし、きっとキレイで可愛いと思うよぉ。」

「前髪…もっとですか。」

私の前髪は伸びきっており、人からの視線を受け流すのにも顔を隠すのにも丁度いい長さだった。

「うん、絶対可愛い!!美容師歴8年目のベテランの私の目に狂いはないっ!あ、自己紹介遅れました!私本日あなた様を担当させて頂きます美園さくらです!」

…8年?この、キラキラふわふわしたどうみても20代前半の女の子が?

「じゃあ、それでお願いします…さくらさん」

久々に、人に興味が湧いた。

さくらさんは私にあの髪を切るときに巻く風呂敷みたいな布を私にくくりつけ、準備を整えた。
私は渡された雑誌には手をつけず、今日初めて合ったばかりの、この少し強引な美容師と話をしてみようと思い、顔を上げた。

鏡の中の自分は、頭以外長い布で足元まで隠れていて、ちょっと滑稽だった。
なんだかてるてるぼうずみたいだな、そう思ったら、思わず吹き出してしまった。


★解説★
美容師さん、さくらさんって言うのね!さて、ニートの彼女は何を話すのか!

都立駄菓子菓子高校1年Z組日誌より抜粋

「はっ、はぁ!?なんだよ金時フェチって!!てかそんな事大声で喋るなよ!!朝のこの健全な澄み渡った空気に失礼だろーが!!」

金時は再び顔を赤鬼のごとく真っ赤にして意味不明な事を叫んだ。

「ふん、金時もうるさいわよバーカ。やぁね、真っ赤になって…この純情少年。朝の澄んだ空気の中じゃあんたの声もよく通るわよ。金時フェチって言うのはね、あんたの事なら何でも知ってるししりたいと常に思っている事よ。時雨金時15才身長169センチ54キロ足のサイズは28センチ、誕生日は7月7日好きな食べ物は駄菓子全般その理由は安いから。趣味は週刊少年チャンプを読むこと特にチャンプ黄金期作品がお好みで家には漫画専用の部屋がある。お金に執着心を持っていて『プライドで飯は食えない』が持論。特技は土下座で金…」

団子は無表情で叫び続けた。

「やめろやめてくれ団子!!!!何故俺は入学式を控えた朝っぱらから己のプロフィールを叫ばれなけりゃならないんだ!!自己紹介は入学式あとのホームルームでってのがお約束だろ!!」


「やめろ、じゃない。やめて下さい、でしょ。金時。」

「…やめて下さい。」

「よろしい。まぁ少しは気が晴れたわ。私の幼少期の醜態をネチネチ言われて、私のガラスの心は崩壊寸前だったのよ。」
およよ、と袖を濡らす仕草をしながら団子は白々しく言った。

ネチネチ言ったのはお前だろ、団子。
そう言いたいのをぐぐっとこらえて金時は立ち上がった。

「そろそろ入学式の受付も始まるし、俺行くわ。ホログラム切るぞ。」

「はいはい、行ってらっしゃい。ちゃんと私の分まで新入生総代としてご立派なスピーチぶちかましてくるのよ~。」

「わかってるよ。IQ200のお嬢様」

そう言って、学生バックを確認する。

「…ない」
金時はポツリと言った。

「は?」

「…スピーチの紙…無い…」

「はぁぁあぁあ!?」


★解説★
さぁどうなるのでしょうか。波乱の入学式、スタート!!

駄菓子菓子高校ビジュアル

イイ・チコの裏の顔。
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彼は何者何でしょうか~。