以前、当ブログにて
タワーレコード新宿店で
谷山浩子ニューアルバム
発売記念キャンペーンが
好評につき継続となったことを知り
四谷のオフィスでの採点の帰りに
寄ってきたことについて書き
アップしました。
発売記念キャンペーンに
最初に行ったときには
クラシックの売り場にも寄って
ヘンリー・パーセルのオペラ
《ディドとエネアス》の
新譜を見つけて買ったことも
すでにアップした通りです。
2度目に行った時にも
クラシックの売り場に寄ったら
またまたパーセル絡みの盤で
しかもエラート・レーベルの新譜を
見つけた次第。
それが以下に掲げる
《ソングズ・オヴ・パッション》です。
(ワーナーミュージック・ジャパン
2173.282845、2025.9.12)
リュート奏者の
トーマス・ダンフォードが率いる
ジュピテール(器楽アンサンブルおよび
ヴォーカル・アンサンブル)
そしてレア・デザンドレ
という組み合わせの1枚。
録音は
2024年9月23〜29日に
フランスはルーアンにある
コルネイユ礼拝堂で
行われました。
直輸入盤ですが
ジャケ裏面の全面を覆うキャップ
(オビ、タスキ)にもある通り
日本語解説付き。
原文ライナーの翻訳
(トーマス・ダンフォードの
両親によるエッセイ。江口理恵訳)と
歌詞訳(浜脇大訳)が付き
コントラバス&ヴィオローネ奏者
そして音楽批評家でもある
布施砂丘彦[ふせ さくひこ]が
短い解説を寄せています。
本盤はCD2枚組で
1枚がジョン・ダウランド
1枚がヘンリー・パーセル。
ちょうど今
この2人にハマっている自分に
あつらえたかのような
組み合わせなので
文句なく買いでした。
演奏は
当ブログでも2度ほど
取り上げたのことのある
デザンドレとダンフォード
そしてジュピテールですから
悪いはずもなく。
2枚のうちでは
特にダウランド盤がいいです。
トラック1で
有節歌曲形式のリュート歌曲
〈さあ、もう一度、恋が誘っている〉が
まず四重唱で歌われてから
ソプラノ独唱(もちろんデザンドレ)
↓
テノール独唱(ローレンス・キルスビー)
↓
カウンターテナー独唱(ジェス・ダンディ)
↓
バス独唱(アレックス・ローゼン)
と歌い継がれ
最後にまた四重唱になる
という流れが軽快で
聴いていて気持ちがいい。
その上
同じ旋律の器楽曲
〈エセックス伯のガイヤルド〉が
トラック9に収録されており
おおっ、という感じになるのも
いいのです。
同じように
器楽曲〈デンマーク王のガイヤルド〉演奏後
切れ目なく、似たような旋律の声楽曲
〈わが過ちを許してくれようか?〉が
四重唱で軽快に歌われていきます。
器楽曲〈蛙のガイヤルド〉に続けて
声楽曲〈今こそ、私は旅立たねばならぬ〉が
軽快さもありつつ、しっとりと
四重唱で歌われています。
〈今こそ、私は旅立たねばならぬ〉は
日本の抒情的な唱歌みたいで
ダウランド編の最後を
見事に締めくくっているのでした。
ダウランドの超有名曲として
欠かすことのできない
〈流れよ、わが涙〉は
デザンドレの独唱で
しっとりと聴かせており
ダウランド自身による器楽版
〈昔の涙〉も収録。
という具合に
ダウランド楽曲の
アンソロジーとして
まとまりが良く
ダウランド入門編として
これから聴くという人にも
おすすめの1枚といえます。
しっとりとした
でも時として
言葉は悪いですけど
ちょっと辛気臭い感じが
しないでもない
ダウランド楽曲を
軽快に颯爽と聴かせるあたり
さすがはジュピテール
という感じですね。
パーセル盤の方は
セミオペラ《妖精の女王》と
オペラ《ディドとエネアス》からの
アリアを中心に構成されており
単独でよく知られた声楽曲は
〈おお孤独よ〉と
〈夕べの賛歌〉くらい。
あと
メアリー女王の誕生日のためのオード
《来たれ、汝ら芸術の子》から
軽快な曲で自分も好きな
〈ヴァイオルを鳴らせ〉が
レザンドレの独唱で歌われています。
〈ディドのラメント〉
というタイトルでも知られる
〈私が土に横たえられるとき〉が
レチタティーヴォと共に
歌われていますし
名曲選であることは
間違いありません。
その一方で
パーセルの独唱歌曲なら
もっといいのがたくさんあるのに
と思わずにはいられないのも
確か。
もっとも
パーセルの歌曲で
いわゆる名曲というか
CDによく収録されるものには
〈しばしの音楽〉のように
セミ・オペラからのアリアが
多いのも事実。
以前こちらで取り上げた
(汝はどのような力を?)も
セミ・オペラ
《アーサー王》の1曲です。
その意味では
ソプラノ独唱を中心に据え
揃えるとすれば
こうならざるを得ないのかも。
そういう意味もあって
パーセル盤の方は
初めて聴く人向けというより
ある程度、聴いてきた上で
なるほど、こうきたか
と編纂の妙味を楽しむ1枚
という感じかなあ。
なお、パーセル盤の最後に
シークレット・トラックとして
Take Me Back to You
という曲が収録されています。
以前、こちらで取り上げた
デザンドレとジュピテールによる
ヴィヴァルディのアルバムの最後にも
We Are the Ocean
という謎曲が入ってましたけど
それと同じ趣向ですね。
古楽ではなく
モダンなフォークソングで
作詞作曲者は不詳。
(もしかしたら
ダンフォード自身)
原盤ライナーの
裏表紙はこんな感じで
ジャケット表側の続き
みたいな感じですけど
肩にもたれかかられて
ちょっと困り気味の
ダンフォードの表情が
愉しい。( ̄▽ ̄)
YouTube に
ワーナーの公式による
《妖精の女王》からの四重唱
〈今や夜は追い払われ〉と
〈ディドのラメント〉が
アップされていましたので
そちらを貼り付けておきます。
最初に貼り付けた
《妖精の女王》に基づく
〈今や夜は追い払われ〉の方は
ジュピテール・声楽アンサンブルの
メンバーの様子と演奏の楽しさが
よく感じられます。
デザンドレの左隣が
ジェス・ダンディ(CT)
右隣はすぐ横から順に
ローレンス・キルスビー(T)
アレックス・ローゼン(B)でしょう。
このメンバーで歌う
ダウランド曲の
プロモーション映像を
見てみたかったなあ。
あと、本盤は
Presto Music Awards 2025 で
トップ10に入ったらしく
レザンドレのコメントが
YouTube にアップされてました。
地声は意外と低めの声で
ちょっとびっくり。
Presto Music というのは
えなめるこぞうさんの
note の記事にによれば
イギリスのクラシック通販サイト
だそうです。
イギリス初なら
よく分かるというか
ダウランド、パーセルのご当地
イギリスで評価されたんであれば
これは本場のお墨付きを
得たようなものでしょう。
パーセル盤について
なんだかんだ書きましたが
最近、愛聴している
おすすめの1枚
もとい、2枚です。
以上、
久しぶりの長文乱文
深謝です。m(_ _)m




