先日
Amazon で買った
こちらの中古CD。
Purcell: Te Deum & Jubilate
Funeral Music • Anthems
(英Decca: 430 263-2、1991)
Amazon では、なぜか
ケース裏の写真が
アップされていたんですけど
Funeral Music とは別に
March & Canzona
Thou knowest, Lord
というトラックが目にとまり。
葬送式文や葬送式用の音楽で
パーセルにハマり出したこともあって
さらに価格も妥当だったこともあり
ポチリと購入した次第です。
演奏は
ジョージ・ゲスト指揮
ケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジ合唱団
となってますけど
各曲ごとにソリストがいて
その名前がライナー小冊子に
細かく記載されています。
そのソリストも
セント・ジョンズ・カレッジ合唱団の
メンバーということになるんでしょう。
カウンターテナーの
ジェイムズ・ボウマンとか
テノールのイアン・パートリッジなど
聞き覚えがある名前の中に
トレブル(ボーイソプラノ)の1人として
ロバート・キングの名前を
見つけました。
このロバート・キング少年は
後年、キングズ・コンソートを結成する
あのロバート・キングではないですか。
トレブルのソロがあっても
それがキングの声かどうか
聴き分けることはできませんけど
ちょっと琴線にふれるものが
ありました。
のちに
キングズ・コンソートの録音に参加する
ジェイムズ・ボウマンとは
この時からの知り合い
だったんですねえ。
録音は
トラック1から8までが1972年
トラック9から11までが
1975年となります。
1972年録音のものは
Argo レーベルから
同年にリリースされたLP
Ceremonial Music を
丸ごと収めているようです。
1975年録音のものは
Argo レーベルから
1976年にリリースされた
Verse Anthems:
For Choir, Soloists and Strings
というLPのB面に
収録されていたものです。
ちなみに、A面には
Behold I Bring You Glad Tidings と
In Thee, O Lord, Do I Put My Trust の
2曲が収録されていました。
2枚のLPに基づく
コンピレーション・アルバム
というわけですけど
こうなると未収録曲も
聴きたくなってくるのが
人情というもの。
そちらは
The Complete Argo Recordings
という42枚組(!)のボックスに
入っているようですけど
ちょっとお高くて
手が出ません。( ̄▽ ̄)
ところで
ライナー小冊子の
演奏者が載っているページを
つらつらと眺めていると
トラック1〜7の器楽奏者が
スティーヴン・クレオベリー(org)
ジェーン・リアン(viol)
シンフォニエ・サクレから
サックバット・コンソート
Consort of Sackbuts from Symphoniae Sacrae
と書かれているのに気づきました。
サックバットというのは
聞き覚えがあるんだけど
何だっけ、と思い
さっそく検索してみると
バロック時代のトロンボーン
だと分かりました。
上に貼り付けた
サックバット奏者
宮下宣子の記事には
スライド・トランペットと
テナー・サックバットを
モダン・トロンボーンと一緒に
撮った写真が載ってます。
その写真を見て
以前、当ブログで
スライド・トランペットによる
葬送行進曲の動画を
紹介したことを思い出し
あれはスライド・トランペットではなく
サックバットによるものではないか
と思い至りました。
武蔵野音楽大学の
WEB楽器ミュージアムの記事に
「サックバットは
声楽の伴奏に適す楽器として、
もっぱら教会で用いられた」
と書かれているのとも
符合します。
上記・宮下の記事に掲載された写真の
スライド・トランペットは
ヴォクス・ルミニス盤に載っていた
フラット・トランペットと
同じ形をしていますので
スライド・トランペットこそ
フラット・トランペットである
ともいえそうです。
記事によれば
スライド・トランペットは
ベルごと動くとのことですが
どのような動きなのか
見てみたいものですね。
……と思っていたら
宮下宣子の記事の第5回
「古楽の歴史とサクバット①」に
動画が貼り付けてありました。
便利な時代になったものだ(しみじみ)
美しく、聴き応えのある曲だったので
こちらにも貼り付けておきます。
ネオメニア Neomenia
(「新月」という意味のスペイン語)
というアンサンブル? の演奏で
ヴィーカルがドイツ生まれのソプラノ
カトリン・ローレンツェン Kathrin Lorenzen
ポルタティフ・オルガンが
ベンクト・トリブカイト Bengt Tribukait
そしてスライド・トランペットは
ニルス・カールソン Nils Carlsson
トリブカイトとカールソンは
スウェーデン出身で
読み方が合っているかどうか
ちょっと自信がありませんけど
とりあえず。
動画がアップされたのが
2022年10月4日とありますから
収録はそれより前としても
いずれにせよ2022年
ということになりましょうか。
カールソンは
ベルを下に向けて
スライドさせてますが
パーセルの当時
実際はどうだったのか。
また
これも以前ご案内の
ヴォクス・ルミニス盤で
ジャン=フランソワ・マドゥーフは
どのように演奏していたのか。
いろいろとまだ
気になることはありますが
とりあえず以前ご案内した動画は
スライド・トランペットではなかった
ということだけは確かなようです。
謹んで訂正しておきます。m(_ _)m
ちなみに
ジョージ・ゲスト指揮
ケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジ合唱団盤の
サックバット・コンソートによる
行進曲とカンツォーナの演奏は
太鼓の音がほとんど聞こえず
良質のものとはいいかねます。
その意味では
同じケンブリッジの
クレア・カレッジ合唱団の演奏の方が
優れているといえるのかも。
演奏した時期が違いますし
その間に研究も
進んでいたことでしょうから
しょうがないですけどね。
こういうところが
最新の演奏で古楽を聴く
楽しみのひとつでもあります。
というわけで
スライド・トランペット改め
サックバットによる
パーセルの葬送行進曲の動画を
再掲しておくことにします。
記事の下書きの際
「動画を再生できません」
と出ますので
念のためアドレスでも
貼り付けておきます。
サックバットの演奏はどうやら
バロック・ブラス・オブ・ロンドン
というユニットによるもののようですね。
それなりにCDも出ているようで
うちには1枚もありませんけど
それについてはいずれまた
機会がありましたら。
例によって長文深謝です。m(_ _)m