昨日、大学図書館からの帰り

通りかかった沿道に

変わったシルエットの木を

見かけました。

 

木五倍子(2024.3.28. 夕方)

(2024年3月28日、夕方撮影)

 

木自体のシルエットが

変わっているというより

木の枝から何やら

変わったものがぶら下がっていて

とにかく写真を撮りましたけど

さすがにこれでは

何の木やら分からず。

 

木五倍子(2024.3.28. 夕方)アップ

 

本日も

雨風が収まった午後

大学図書館に行くことにして

ついでに

前日の奇妙な木のあたりを通り

確認してきました。

 

木五倍子(2024.3.29)

(2024年3月29日撮影。以下同じ)

 

ぶら下がっていたものを

近づいて確認してみると

シルエットからは

想像もつかないような形状でした。

 

木五倍子(2024.3.29)アップ1

 

シルエットだと

蛤のような二枚貝が

いくつも連なっている

というふうにも見えたので

花なのか果実なのかも

分からなかったんですけど

陽の光の下で見てみれば

花の集まりだと分かります。

 

木五倍子(2024.3.29)アップ2

 

写真を撮ったはいいんですけど

花まで距離がありますし

調べても分かるまいと思い

いつものハナノナで

調べることもせず。

 

ただし

昨日から今日の昼にかけての

風雨のせいなのか

花柄から外れた房の一部が

落っこちてましたので

それを拾って

 

木五倍子(2024.3.29)落花

 

少し歩いた先の石垣に置き

あとで調べがつきやすいように

花びらの内部をパチリ。

 

木五倍子(2024.3.29)落花アップ

 

緑色の玉のようなもの

(後で雌蕊だと分かります)が

まるで宝石のように

綺麗でした。
 

 

帰ってから調べよう

と思っていたところ

図書館を出た後

お金を下ろすため

キャッシュディスペンサーに

並んでいるとき

試しにスマートフォンで

「木 花 垂れ下がる」

と入力して検索してみたら

何枚か写真がヒットして

一発で分かったという(苦笑)

 

夕暮れのシルエットだと

胡桃の木かとも思われましたが

花の房だと分かってみれば

神奈川県のHP内にある

神奈川県自然環境保全センター

生き物情報「春の植物【木本】」掲載の

「キブシ」であることは

明らかでした。

 

胡桃の木との違いは

花が房状ということもありますけど

葉っぱも何もない枝から

ぶらさがっているというのが

ポイントになりました。

 

 

キブシの漢字表記は

ブログのタイトルにした通り

「木五倍子」です。

 

「五倍子」で

「ぶし」と読ませるんですが

これは、当ブログで以前取り上げた

白膠木[ヌルデ]の葉にできる

虫瘤のことを指します。

 

昔は

五倍子を粉にしたものを

お歯黒の材料として

使っていたそうですけど

ニッセイ緑の財団の記事によれば

高価なものだったので

庶民はその代用品である

今回の木の果実を使ったことから

「木五倍子」という名が

ついたのだとか。

 

 

こういう説明を読むと

白膠木も木なのに

五倍子の頭にさらに「木」の字を

重ねるのは、なぜなのか

気になるんですけど

そこまで説明している記事が

見つけられず。

 

別名に豆五倍子[マメブシ]

というのがあって

それなら

今回の木の場合

果実(種)を使うわけですので

まだ想像がつくんですけどね。

 

もうひとつの別名に

「黄藤」というのがあり

(漢字表記は「無明子のよしなしごと

 というブログで目にしました)

これは藤の花に似ていて

花の色が藤色ではなく

黄色だということから

つけられたのではないか

と想像されますね。

 

この想像が当たっていれば

木五倍子の「木」は

「黄」が転訛? したものかも

とも推理されるわけですが

さて。

 

 

Wikipedia にあがっている

「コメブシ」というのは

花あるいは実の形に由来して

「米五倍子」と書くんでしょう。

 

「木倍子」というように

「五」の字が落ちたものは

「ブシ」という発音が

「倍子」という文字を

連想させるため

いつのまにか落ちた

ということなんでしょうか。

 

ちなみに

日本固有種だそうなので

英名はないようです。

 

 

木五倍子は雌株と雄株がある

と説明されることが多いようですが

山田隆彦監修の『樹木図鑑』には

「雌雄同株または雌雄異株」

と書いてあります。

 

雌雄異株の見分け方として

雌花はやや緑色を帯び

雄花は淡黄色

雌花の雄蕊は退化して小さい

と Wikipedia では説明してますが

この説明に従うなら

今回のは雌株ということに

なりましょうか。

 

雌株であれば

実がなるでしょうし

次は実がなった時にでも

見ることができれば

と思っていますが

さて、どうなりますやら。