クリストフ・ルセ指揮

《スターバト・マーテル》の

新録盤のカップリング曲である

レオナルド・レーオの曲を聴いて

当ブログで取り上げてから

レーオのディスコグラフィを

タワーレコード・オンラインで

確認していたら

見覚えのあるジャケ写が

目にとまりました。

 

これ、持ってたかも

と思って

CDを仕舞っている

棚を探してみたら

やっぱり持ってました。

 

それが以下に掲げる

『ミゼレーレ

 〜レオ:宗教音楽集』です。

 

『ミゼレーレ 〜レオ:宗教音楽集』

(ユニバーサル クラシックス&ジャズ

 UCCD-1087、2003.5.21)

 

原盤は

イギリスのデッカから

2002年7月25日にリリース。

 

録音は

1997年4月に

フォントヴロー王立修道院

Abbaye Royale de Fontevraud で

行なわれました。

 

 

器楽演奏は

クリストフ・ルセの

チェンバロとオルガンの弾き振りで

レ・タラン・リリク。

 

声楽演奏は

サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)

アン=リーゼ・ソリード(ソプラノ)

ヒラリー・サマース(アルト)

ジャン=フランソワ・ノヴェッリ(テノール)

ルノー・ドレーグ(バス)の

5人となります。

 

 

楽曲は

多声部楽曲として

灰の水曜日のミサのための

 固有文楽曲から3曲(4声)

四旬節第2主日のミサのための

 固有文楽曲から3曲(4声)

受難の主日のミサのための

 固有文楽曲から3曲(4声)

そして独唱曲として

《サルヴェ・レジーナ》ヘ長調と

聖金曜日のための《エレミアの哀歌》

(第1〜第3ルソン)が

収められています。

 

4声、5声の声楽曲は

声楽に通奏低音がつくだけで

解説で今谷和徳が書いているように

「伝統的なア・カペラの要素の

流れを踏襲している」ため

まるでルネサンス時代に作られた

ポリフォニックな楽曲のようです。

 

ときどきソロ・パートの

技巧的な演奏が

見られたりするあたり

いかにもオペラを経由した後に

作られた楽曲

という感じですね。

 

 

《サルヴェ・レジーナ》と

《エレミアの哀歌》の第3ルソンが

ピオーの独唱で演奏されます。

 

このうち

《サルヴェ・レジーナ》には

「ルドルフ・エヴァーハルト版」

という但し書きが

ついてますけど

解説にはこれについて

何も書かれていません。

 

原盤のライナーでも

言及がないのかもしれませんが

おそらく Wikipedia にも立項されている

1950〜60年代に古楽演奏で活躍した

ドイツ人鍵盤奏者かと思われます。

 

「Rudolf Ewerhart Leonard Leo」

で検索してみると

1960年にリリースされた

「ソプラノ、2つのヴァイオリン、

通奏低音のための」という副題がつく

校訂譜がヒットしましたが

おそらくそれでしょう。

 

なぜエヴァーハルト版を使ったのか

ということが気になりますが

解説には何も書かれていません。

 

筆写譜などは

残っていないということなのか。

 

レーオの

《スターバト・マーテル》ヘ長調は

割と録音の数が多いんですけど

これ以降の各録音では

(1960年以降の録音はどれも)

エヴァーハルト版に拠っている

ということなのかどうか。

 

うーん、

気になることが

増えてしまいました。

 

 

なお、

「2つのヴァイオリンと

通奏低音のために」

とあることから想像される通り

《サルヴェ・レジーナ》のみ

2挺のヴァイオリンが加わります。

 

そのヴァイオリン奏者が

赤津まことと佐藤泉という

共に日本人である点は

皆川達夫の紹介であれば

特記したところですね。

 

 

ついでながら

ライナーではチェロ奏者が

オフェリー・ガイラール

という表記になってますけど

現在は「ガイヤール」と

表記されます。

 

以前、当ブログで

ヴィヴァルディのチェロ協奏曲集

取り上げたことがありますけど

その時のソリストが

ガイヤールでした。

 

 

演奏は全体的に

耽美的な印象を受ける

といった体のものではないか

という気がします。

 

Wikipedia の

レーオの項目では

その作風について

ペルゴレージのような

「感傷性からは解き放たれている」

と書かれていますけど

本盤を聞いた限りだと

宗教曲ということも与ってか

感傷的なところも

あると思いますけどね。

 

《サルヴェ・レジーナ》や

《エレミアの哀歌》などは

ことさらに耽美的という気がします。

 

耽美的だから感傷的だとは

いえないのかもしれませんけど。

 

 

ちなみに、ディスクの

レーベル面のデザインは

非常におしゃれ。

 

『ミゼレーレ 〜レオ:宗教音楽集』レーベル面

 

中央から四方八方に

流星が飛んでいるかのよう。

 

 

最後に補足しておくと

総タイトルとなっている

ミゼレーレ Miserere は

「憐れみたまえ」という意味です。

 

邦盤のタイトルは

カタカナそのままより

「憐れみたまえ」とした方が

良かった気がしますね。

 

 

それにしても

いくらポリフォニーに

関心があったとはいえ

こんなに渋いCDを

よくもまあ

買ったものです。

 

ガイド本か何かで

推薦されていたのかしらん。

 

いちど聴いただけで

ほったらかしに

しといたのではないか

と思いますけど。( ̄▽ ̄)

 

こうして

ペルゴレージつながりで

聴きたくなった時に

役に立ったわけですから

買っておいた昔の自分を

褒めてあげたいくらいです。