前回の記事の最後で

皆川達夫の最初のガイド本

『バロック名曲名盤100』(1977)では

ペルゴレージ《奥様になった女中》の

項目であげられている

ブルスカンティーニ盤が

ファザーノ指揮盤なのに

同書の第14刷だと

ゼッダ指揮盤となっている

ということを書きました。

 

ところが手元にある

《奥様になった女中》を

掘り出してきたら

ゼッダ指揮盤とは違う

ブルスカンティーニ盤が

出てきました(おいおい)

 

シモネット指揮『奥様女中』CD

(伊 Warner Fonit:

 5050467-6755-2-0、2005)

 

Fonit は

1911年にミラノで創業された

イタリアのレーベルらしく

今ではワーナー傘下に

入ったようです。

 

 

ウベルトはもちろん

ブルスカンティーニで

セルピーナは

アンジェリカ・トゥッカーリ

という人が演じてます。

 

演奏は

アルフレード・シモネット指揮

RAIミラノ歌劇場管弦楽団で

録音は1950年(!)

 

楽団名は

Orchestra Lirico di Milano della RAI

とあったのを

DeepL で訳したものですが

リリコはミラノにある

テアトロ・リリコに由来するので

歌劇場管弦楽団

という訳になったかと思われます。

 

RAI はイタリア放送協会の略称。

 

 

Wikipedia によれば

指揮者のシモネットは

イタリア放送教会が

オペラのテレビ放送を始めた時に

音楽監督に指名されたのだとか。

 

それもあって

シモネット指揮のオペラ録音が

イタリア放送協会に

多く残されたのだそうで

今回の録音はそれを基に

したものかもしれません。

 

 

ジャケ表の右下に

CETRA OPERA COLLECTION

というロゴが確認できます。

 

CETRA[チェトラ]というのは

1970年代から80年代にかけて

パブリック・ドメインとなった

ライブ録音をリリースしたことで

知られているレーベルですから

イタリア放送協会の音源というのも

案外、的を射てるのかもしれません。

 

 

録音はもちろんモノラルで

それなりの状態なのはいいとして

個人的には

緩徐楽曲というか

ゆっくりめのフレーズが

テンポが遅めのように思いました。

 

レチタティーヴォの

通奏低音楽器は

チェンバロというより

ギターやマンドリンを連想させる

弦楽器のように聴こえます。

 

あるいは

モダンチェンバロでしょうか。

 

歌い方も、うーん

特にソプラノが

自分のイメージする

オペラっぽい感じ

ということはつまり

あまり好みではない歌い方

ということになりますけど(苦笑)

そんな感じがします。

 

 

カップリングは

ブルスカンティーニの名唱集で

以下の5曲(5トラック)が

収録されています。

 

1. モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》から

 〈カタログの歌〉

2. ベッリーニ《夢遊病の女》から

 〈ロドルフォのカヴァティーナ〉

3. ロッシーニ《イタリアのトルコ人》から

 〈信じているのか〉

 (ソプラノ重唱:アルダ・ノーニ)

4. ベルリオーズ《ファウストの劫罰》から

 〈ここで何をしているの?〉

 〈ここにバラありて、今宵花ひらく〉

 〈昔、トゥーレに王がいて〉のメドレー

5. ドニゼッティ《愛の妙薬》から

 〈なんという愛情!〉

 (ソプラノ重唱:アルダ・ノーニ)

 

《ファウストの劫罰》のうち

〈ここで何をしているの?〉と

〈昔、トゥーレに王がいて〉は

RAIトリノ合唱団が合唱で加わってます。

 

 

各曲のタイトルは

いちおう検索して調べましたが

《ファウストの劫罰》の

〈ここで何をしているの?〉のみ

DeepL による訳のままです。

 

その他のタイトルについても

オペラは食わず嫌いなので

合っているかどうか

保証の限りではありません(笑)
 

演奏は

ニーノ・サンツォーニョ指揮

RAIトリノ交響楽団で

録音は1951年12月3日です。

 

1曲歌うごとに

拍手の音が入ってますけど

これがSEでなければ

コンサートの

ライブ録音だと思われます。

 

 

ちなみに

今回の《奥様になった女中》の録音は

NAXOS CLASSICAL ARCHIVES からも

CD化されていますけど

NAXOS Music Library だと

指揮者のファースト・ネームが

「アレッサンドロ」となっています。

 

ジャケ写ではちゃんと

Alfredo Simonetto

と表記されているのが

確認できるんですけどね。

 

 

さらにちなみに

本盤は古い方のノートパソコンでは

外付けのディスクドライブを介して

読み取ることができませんでした。

 

普段使いのノートでも

ディスクを再生することはできず

それでも読み取りはできたので

パソコンに取り込み

ようやく聴くことができた次第。

 

MONODEAL の

やっすいCDプレーヤーでは

文句なく再生できたんですけど。

 

直輸入盤を買うと

時折こういうディスクが

あったりしますけど

なんなんでしょうね。