『ロビン・フッド物語』岩波新書

(岩波新書、1998年6月22日発行)

 

少し前に

映画《ロビンとマリアン》に絡めて

デイヴィッド・マンロウ指揮

ロンドン古楽コンソートによる

『十字軍の音楽』というCDを

ご紹介しました。

 

実は手元には

ロビン・フッドがらみのCDが

あと2枚、あるんですけど

それらを紹介する前に

ロビン・フッド伝説について

ある程度、基本的なことを

知っておいた方がいいかと思い

古本で購入した1冊です。

 

昨日から塾の直前講習が始まり

通勤電車の中で読み始めたら

読みやすくて面白く

帰宅してからも読み続けて

結局、読了しちゃいました。

 

 

Wikipedia の

ロビン・フッドの項目には

14世紀の宗教寓意詩

『農夫ピアスの夢』に

「まとまった物語として

 (初めて)登場する」

と書かれていますが

これがどういう意味か

本書22ページの記述を読んで

ようやく腑に落ちた次第。

 

14世紀ころ知られていたバラッド

『ロビン・フッドの武勲』の

内容が分かるのもありがたく

(なんといっても大もとの原作ですからね)

その後、どのように変容していき

どのように受容されてきたか

ということが辿られるのも興味深い。

 

中世からルネサンスを経て

近代に至るまでの

伝承の受容史は

メディア史(出版史)とも

関係してくるので

チャップブックやバラッド写本など

近代以前の向こうの古本ネタに

興味関心がある人なら

その方面でも楽しめるかと思います。

 

 

活字だけではなく

映像メディアにも言及されており

《ロビンとマリアン》についての言及も

ありました。(pp.203-205)

 

ちなみにマリアンは

『ロビン・フッドの武勲』には登場せず

原作として定番になっている児童文学

『ロビン・フッドの愉快な冒険』

(1883)にも登場しない

というのは驚きでした。

 

 

映画を観る前に読んどけば

キャラクターの人間関係が

よく分かったかもと思う一方

結末まで書かれているので

読まなくて幸いだった

とも思ったり。

 

ちなみに

Wikipedia

《ロビンとマリアン》の項目でも

ストーリーが最後まで

事細かに書かれています。

 

執筆者としては

有名な伝説を

下敷きにしているんだから

いいだろうと

思ったのかもしれませんけど

閲覧注意!

といいたくなりますね。

 

 

いずれにせよ

新書という容れ物に

さまざまな情報を

手際よく盛り込み

珍しい図版も多く

おすすめです。

 

ロビン・フッド伝承について

基本的なことを知るには

簡にして要を得た

便利な一冊だと思いますね。