ペルゴレージの

《スターバト・マーテル》を

聴いてきた中で

エメーケ・バラート

ユリア・レージネヴァという

二人のソプラノ歌手を知り

それぞれの他の演奏はないか

検索してみました。

 

すると

バラートの方は

ソロの演奏の日本流通盤が

出ていないようでしたけど

レージネヴァの方は出てました。

 

それが今回紹介する盤です。

 

レージネヴァ『アレルヤ!』

(ユニバーサル ミュージック

 UCCD-52030、2019.10.23)

 

原盤は

イギリスのレーベル、デッカ

(ユニバーサル傘下)で

2013年にリリースされました。

 

邦盤は2015年にリリースされており

今回ご案内の盤は再リリース盤で

DECCA 定盤 PREMIUM

というシリーズの

第1回発売分の1枚です。

 

 

録音は2012年10月12~17日。

 

器楽演奏は

ジョヴァンニ・アントニーニ指揮

イル・ジャルディーノ・アルモニコ。

 

このアンサンブル

古楽ファンにとっては

お馴染みの存在ということもあって

おおっ! と思ったことでした。

 

 

収録曲は以下の4曲。

 

ヴィヴァルディ《いと公正なる怒りの激しさに》RV626

ヘンデル《苦難の中で地が荒れ狂おうとも》HWV240

ポルポラ《天で明るい星々が輝き》

モーツァルト《エクスルターテ・ユビラーテ》K.165

 

ポルポラは世界初録音だそうですが

邦盤が出たのはそれが売りというより

モーツァルトが歌われているから

ではないかと疑っています。

 

疑うというのも変ですけど。(^^ゞ

 

 

それにしても

モーツァルトって

聴いた途端に

いかにも、モーツァルトだなあ

と思わせる曲が多いですね。

 

ピアノ曲はそれが顕著ですけど

《エクスルターテ・ユビラーテ》

(踊れ、喜べ、幸なる魂よ)のような

教会音楽でもそうだったのには

今さらですが、びっくりでした。

 

 

本盤はレージネヴァが

デッカ・レーベルと専属契約後の

初録音にあたるそうです。

 

デッカの社長が上記

《エクスルターテ・ユビラーテ》の

ライブ演奏を聴いて

録音を勧めたのがきっかけで

企画が立ち上がったのだとか。

 

モーツァルトの楽曲を最後に据えて

バロックからモーツァルトに至る

モテットの流れを鳥瞰する構成にしたのは

レージネヴァのアイデア。

(とライナーに書いてあります)

 

モーツァルトには興味がないけど

ヴィヴァルディの声楽作品や

ヘンデルのラテン語と

イタリア語の教会音楽を

まとめて聴いてきた小生のために

組まれたかのようなプログラム(笑)

 

再販で安くなっていることでもあり

これを聴き逃す手はない

というわけで

購入した次第です。

 

 

本盤を聴くと

コロラトゥーラとしての

レージネヴァの歌いっぷりが

たいへんよく分かるというか

堪能できます。

 

ヴィヴァルディのモテットは

冒頭のアリアでヴァイオリンが

雷鳴を模倣することもあって

例えば、あるCDのタスキだと

「まるでソプラノのための《四季》!」

という惹句で煽ってたりします。

 

最後のアレルヤでも

《四季》っぽい旋律を

聴くことができると思いますが

そうしたことから想像されるように

たいへんエモーショナルで

スピーディーであるため

かなりの技巧を要するんですけど

レージネヴァは軽々とこなしており

これには脱帽でした。

 

ソプラノ歌手が唄うと

高音部が聴いている耳に

キーンとくる感じですけど

メゾ・ソプラノだけあって

ということなのか

そういうこともなく。

 

ヘンデルのモテットも同様。

 

《スターバト・マーテル》の記事

「農家の娘然とした」

なんて書いちゃって

ごめんなさいです。

 

(とはいえ、本盤のジャケットは

 若さを強調する意図が

 あるのかもしれませんけど

 いかがなものかと思います)

 

 

モーツァルトのモテットは

最後のアレルヤで一箇所

高音が苦しそうでしたけど

もともとカストラート向けに

作曲されたものだそうで

さもありなん、と思ったり。

 

カストラート向け

ということを知ってみれば

やはりカストラート向けといわれる

ヴィヴァルディの

ソプラノのためのカンタータ

《天に紅の光立ち》RV667

レージネヴァで

聴いてみたい気もしますね。

 

 

ライナーによると

レージネヴァは

チェチーリア・バルトリの

ヴィヴァルディ歌曲集を聴いて

感銘を受けたそうです。

 

ネット上には

バルトリの後継者的存在として

位置づけている記事もありましたので

(「声楽特化の音楽評論」の

 2019年3月および4月の記事)

そのうち録音してくれるかも。

 

期待したいところです。

 

 

本盤によって

日本の声楽ファン、オペラ・ファンに

レージネヴァがどう評価されたのか

ちょっと気になるところです。

 

本盤以降、日本流通盤が

出ていないようであることから

推して知るべし

なんでしょうけど。