三鷹市芸術文化センター
「風のホール」で開催された
ハインリヒ・シュッツ合唱団・東京と
メンデルスゾーン・コーアによる
〈レクイエムの集い〉という公演の
レポートの続きです。
前回の記事にも書いた通り
15分の休憩をはさんで
20:00くらいから
後半の公演が始まりました。
時間が来て
合唱団のメンバーがステージに並び
指揮の淡野弓子氏が登場。
前半で指揮者だった淡野太郎氏は
バリトン・ソロおよび
合唱団に加わるかたちでの
参加となります。
またポジティフ・オルガンは
ステージの中央に移動、設置され
オルガン奏者・椎名雄一郎氏が
全曲の伴奏を務めました。
後半パートの演目は以下の通り。
ハインリヒ・シュッツ
《小宗教コンツェルト集 Ⅰ/Ⅱ》より
なにゆえ嘆くや、わが魂よ SWV335(Ⅱ)
われは復活なり、生命なり SWV324(Ⅱ)
天地は滅びるも SWV300(Ⅰ)
われ膝を屈し SWV319(Ⅱ)
誰ぞ我らを引き離すや SWV330(Ⅱ)
主の御声は水面を往く SWV331(Ⅱ)
計りなき怒りを除き給え、神よ SWV337(Ⅱ)
《ダヴィデの詩篇曲集》より
詩篇84〈いかに慕わしきは御身が住処〉SWV29
SWV はシュッツ作品番号の略号です。
《小宗教コンツェルト集》は
ドイツ30年戦争が起きている中
書かれた曲で
戦争のために音楽家が減ったため
少人数でも演奏できるようにと
作曲されたものだそうです。
したがって本来なら
各声部1人で歌われるのだと思いますし
事前に予習で聴いた盤も
各声部1人で歌われていました。
ですから
公演ではどうなるのかと
興味津々だったんですけど
SWV335、331、337の3曲は
ソリストと合唱で演奏され
(SWV331はソリスト4人
SWV337はソリスト5人)
残りはそれぞれ本来の編成で
演奏されました。
SWV342はテノール2、バス1
SWV300はバス3
SWV319はバス2
SWV330はソプラノ、アルト、
テノール、バスが各1といった具合。
合唱が入る時だけ指揮者が立ち
その他の時は
指揮者は上手側の椅子に座り
ソリスト同士と伴奏のオルガンが
息を合わせて歌うスタイル。
前半パートでは
立ちっぱなしだった合奏者たちも
後半パートになると
出番がなければ
ステージ壁ぎわの椅子に
腰かけてました。
今回、予習で聴いた盤は
ブリリアント・クラシックスの
『ハインリヒ・シュッツ・エディション』
という19枚組のBOXに
収められているものです。
(和 Brilliant Classics: 94361、2012)
演奏は全曲
マッテオ・メッソーリ指揮
カペラ・アウグスターナで
(曲によってゲスト奏者あり)
2003年から2010年にかけて
ブリリアントに録音したものを
集成したBOXです。
《小宗教コンツェルト集》は
CD8~9とCD15~17の
5枚に分かれており
今回の演奏の曲目を探すとなると
ちょっと面倒かもしれません。
また、指揮者が
イタリア人の鍵盤奏者なので
ドイツの楽曲にはどうかな
とも思わなくもないんですけど
聴いてみたら
意外と良かったですね。
ドイツ的厳粛さより
イタリア的歌心が
優っているからかも
しれませんけれど。
公演の最後に歌われた
《ダヴィデの詩篇曲集》は
残念ながらブリリアントのBOXに
収録されておりません。
そちらは
マウエルスベルガー指揮
ドレスデン十字架合唱団の演奏で
予習していきました。
(徳間ジャパンコミュニケーションズ
TKCC-15118、1998.4.22)
原盤レーベルは
ドイツ・シャルプラッテンで
録音はちょっと古くて
1965年です。
マルティン・フレーミヒが
1970年代前半に録音した
2枚とのカップリングです。
マウエルスベルガーが
1965年に録音しなかったものを
フレーミヒが補った形に
なるんでしょうけど
原本の順序通りではなく
再構成されています。
ですから
オリジナル楽譜本の
収録通りに聴こうとすると
ちょっと面倒かもしれません。
そんなんばっかやな。( ̄▽ ̄)
公演では詩篇84の演奏の際
バス・パートのソリスト4人が
ステージ上手側に並び
残りの合唱メンバーを
下手側にまとめてました。
おそらく
合唱隊を左右ふたつに分ける
分割合唱(複合唱)スタイルを
意図したものだと思いますが
片方がバスのソリストだけというのは
CDでは聴き分けにくいだけに
面白いし、勉強になりますね。
《小宗教コンチェルト集》の
ソロと合唱の組み合わせも
分割合唱的なものを
意図しているのかもしれません。
その《小宗教コンチェルト集》の
バスのソリストによる重唱でも
詩篇84のバスのソリストもそうですが
実によく響いていて聴き取りやすく
ソプラノやテノールのパートを
食っていました。
今回の公演は
バスが大活躍というのが
全体的な印象です。
こちら↓がパンフレット。
今回の曲目の場合
日本語の歌詞対訳が付いたCDが
ほとんどなくて
(手元にあるものでいえば
前回のメンデルスゾーン盤と
今回の《ダヴィデの詩篇曲集》だけ)
プログラムの歌詞対訳は
いつもながら、ありがたいです。
また、今回のパンフにも前回同様
レクイエムの集いということで
追悼して偲びたい人々の名前が
掲げられています。
先般亡くなったコルボの他に
ピアニストの神谷郁代の名前があって
ちょっとびっくり。
(いずれも今年)
謹んで冥福を祈ります。
以上、乱文長文深謝。
演奏者のみなさん
スタッフのみなさん
お疲れさまでした。
ちなみに
パンフのサブタイトルと
チケットのサブタイトルが
異なっていますけど
(チケットのサブタイトルは
「危機を超えて放たれる魂の響き」)
当ブログではパンフのサブタイトルを
ブログのタイトルに採用しました。
パンフのタイトルと同じ
サブタイトルですし。