前回の記事でもふれた皆川達夫の

『ルネサンス・バロック名曲名盤100』では

トマス・ルイス・デ・ビクトリアの曲が

ふたつ取り上げられています。

 

ひとつは

聖週間のための

レスポンソリウム Responsorium で

もうひとつが、前回ふれた

6声のレクイエムです。

 

その2曲の推薦盤として

ピックアップされていたのが

タリス・スコラーズによる演奏で

その2曲を1枚に収めたのが本盤なのでした。

 

タリス・スコラーズ『ビクトリア:レクイエム』

(ミュージック東京 NSC-32、1987)

 

1枚で推薦曲の2曲を聴けるので

お得だと思い

買った記憶があります。

 

たぶん中古で買ったのだと思いますが

どこで買ったのかについては

まったく覚えていません。

 

 

録音は1987年で

原盤レーベルのギメル Gimell は

声楽アンサンブル

タリス・スコラーズの指揮者

ピーター・フィリップスと

プロデューサーの

スティーヴ・スミスが設立した

自主レーベルです。

 

輸入・発売元のミュージック東京は

その後、東京エムプラスと改名して(?)

ギメル盤を取り扱っています。

 

 

タリス・スコラーズは

アカペラで歌う声楽アンサンブルで

ルネサンス時代の宗教合唱曲を

レパートリーとしています。

 

本盤におけるメンバーは

ソプラノ4人、アルト2人

テノール4人、バス2人の総勢12人で

アルトは男女各1の組み合わせ。

 

前回ご案内の

ケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジ

合唱団盤とは異なる少人数編成で

端正で美しい合唱は完成度が高く

ポリフォニックな旋律美を楽しむなら

最適ではないかと思いますけど

エモさという点では

今ひとつかも。

 

皆川達夫も前掲書で

 

少人数で歌ってやや訴えがよわいところはありますものの、おさえるべきところはおさえた、このアンサンブルならではの演奏です。これでもうひとつドラマを作りだせたら文句はありません。(pp.80-81)

 

と書いています。

 

それでも

いっときは本盤を

よく聴いていたものでした。

 

 

うちにある

ビクトリア単体でのCDは

長いあいだ

タリス・スコラーズ盤だけでした。

 

もっとも同盤には

ビクトリアと同時代の作曲家で

Wikipedia によれば

ビクトリアも才能を認めていた

アロンソ・ロボの

モテトゥス(モテットに同じ)も

併録されているので

正確にはビクトリア単体盤と

いえませんけど。

 

ケンブリッジ・セント・ジョンズ・カレッジ

合唱団盤を聴いたことに触発され

タリス・スコラーズ盤を久々に聴き

ビクトリアの他の楽曲や

他の声楽グループの演奏にも

興味が湧いてきた次第です。

 

こうして沼にハマっていく。( ̄▽ ̄)