ヘンデルが作曲したとされる
独奏楽器と通奏低音のためのソナタは
イル・ロッシニョーロ盤によって
全曲HWV順に聴けるはずが
未収録曲が2曲あった
という話の続きです。

その2曲とは
オーボエ・ソナタ 作品1の6
HWV.364a(版元移調版)と
HWV358のヴァイオリン版でした。


作品1の6のオーボエ版は
ブリュッヘン盤やブリリアント盤にも
未収録なんですけど
幸いにもカメラータ・ケルンの
『木管のためのソナタ全集』に
収録されています。

カメラータ・ケルン『ヘンデル:木管のためのソナタ全集』
(BMG JAPAN BVCD-38207〜08、2008.6.25)

カメラータ・ケルンの
『木管のためのソナタ全集』は
ドイツ・ハルモニア・ムンディ名盤撰50
というシリーズのラインナップだけあって
また、タイトルが同じことでもあり
ブリュッヘン盤以降の定番だと
位置づけられるような感じがします。

そしてイル・ロッシニョーロ盤が
カメラータ・ケルン盤以降の
新時代の定盤かと思いきや
オーボエ・ソナタが欠けていたわけで。

それでもやっぱり
イル・ロッシニョーロ盤は
新たな定盤だと
見なすべきかもしれませんけど。


一方、HWV358の
ヴァイオリン版を聴くには
たとえば

寺神戸亮の演奏による
『ヴァイオリン・ソナタ集』があります。

寺神戸亮『ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ集』
(日本コロムビア COCO-73309、2012.6.20)

日本コロムビアは発売元で
レーベルはデンオン(DENON)。

ちなみに、本盤は
故・磯山雅が
『バロック音楽名曲鑑賞事典』
(講談社学術文庫、2007)で
推奨盤としてあげているものの
リマスター盤になります。


ちなみに
HWV358が
新全集に収められたのは
1982年になってからのこと。

したがって
1982年以前に録音された
ヴァイオリン・ソナタ全集には
基本的に収録されていないはずです。


かくもさように
全集というのは
成立させるのが難しい。

ヘンデルの場合
新全集の完結がつい最近
ということもあって
なおさらです。

イル・ロッシニョーロ盤で
今回ご案内の2曲がオミットされたのも
もしかしたら
研究の最新の成果を
反映させたものかもしれませんし。


そうはいっても今のところ
ヘンデルのソロ・ソナタを
まとめて聴こうとしたら
いちばんリーズナブルなのは
イル・ロッシニョーロ盤
ということになりそうです。

古楽器ではなく
モダン楽器による全集が
あるのかどうか
寡聞にしてしりませんけど
古楽演奏好きの自分としては
イル・ロッシニョーロ盤があって
良かった良かった
という気持ちだったりしています。