キングズ・コンソートの

ヴィヴァルディ宗教音楽全集

未収録となっている

ヴィヴァルディのモテット

残り3曲を聴くためには

CDをあと3枚買わねばならない

という話題の続きです。

 

 

前回、マリア・ザードリが歌う

ヴィヴァルディのモテット集を紹介した際

 

 イタリア流のケレン味ばかりが

 いいというわけでもありますまい。

 

と書きましたけど

そうはいっても

今回ご紹介の盤を聴いたりすると

イタリア系の演奏の迫力に

圧倒されざるを得ないわけでして

それがこちら↓になります。

 

Vivaldi: Mottetti.

ヘルマン&ボルヴァレッリ『ヴィヴァルディ:モテット集』

(仏 Naïve [OPUS111] OP-30340、2003)

【収録】RV629、631、633、623、628、630

【演奏】アンケ・ヘルマン(ソプラノ)

    ラウラ・ポルヴェレッリ(メゾ-ソプラノ)

    アレッサンドロ・デ・マルキ(指揮)

    アカデミア・モンティス・レガリス

【録音】2001年10月

 

マルPが2001年になっていますので

2001年にリリースされた原盤

(オーパス111の旧盤?)が

あるのかもしれません。

 

ナイーヴ・レーベルの

ヴィヴァルディ・コレクションの1枚で

宗教音楽 Musica Sacra VOL.3

ピエモンテの宝 Tesori del Piemonte

VOL.17 となります。

 

 

RV629、633、628がコントラルト

RV631、623、630がソプラノによる演奏。

 

編成は

第1ヴァイオリン4、第2ヴァイオリン4

ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス

チェンバロ、テオルボですが

ライナーには出てませんけど

オルガンも使われてますね。

 

前回ご紹介の

カペラ・サヴァリアよりも編成が大きく

テオルボを加えているのが特徴

といえるでしょうか。

 

 

全体的に

コンチェルト・グロッソ

(合奏協奏曲)のスタイルを

強く感じさせる演奏になっています。

 

コンチェルト・グロッソというのは

独奏楽器群(コンチェルタート)と

合奏楽器群(リピエーノ)とが

交互に、競い合うように演奏する

というスタイルです。

 

今回の場合

ソロ歌手と通奏低音が

コンチェルタートに相当するわけで

ソロの技巧の冴えが際立つため

コロラトゥーラ風のパッセージになると

オペラのような印象も受けますね。

 

《四季》を思わせるような箇所も

散見(散聴?)されますし

宗教曲なのに

こんなに盛り上がっていいのか

と思ってしまうくらい。

 

 

また、曲によって

鍵盤楽器を変えたり

楽章によって通奏低音楽器が

入れ替わったり加わったりして

インヴェルニッツィ盤

彷彿させるようなところは

いかにもイタリア系の

最近の演奏スタイルという感じ。

 

テオルボが加わっているのも

イタリア系によく見られる編成かと。

 

 

もっとも

ソプラノのアンケ・ヘルマンは

ウクライナに生まれて

ドイツで学んだ歌手だとか。

 

そのヘルマンの歌う

《おお、天にても地にても清きもの》RV631 の

第2アリアのタメがすごくて

まるでオペラのように聴こえます。

 

 

キングズ・コンソートの全集に

未収録だったモテット

《汝ら不屈に戦うべし》RV628 は

弦楽合奏による重低音の圧が強く

変ないい方ですけど

ドスの利いた演奏という感じ。

 

RV628 の競合盤として

自分の管見に入った限りでは

1971年にリリースされた

ジャーヌ・ベルビエによる録音があります。

 

もちろんモダン楽器による演奏ですが

それを抜きにしても

演奏の質は段違いかと。

 

楽譜の解釈も

かなり違っているようで

同じ曲とは思えないくらいです。

 

それはそれで

ヴィヴァルディ演奏史的に

あるいはバロック音楽演奏史的に

というべきかもしれませんが

とても興味深いんですけど。

 

 

イタリア系のアクの強さに

時として辟易させられはするものの

やっぱりナイーヴ盤は

おススメせざるを得ない

といった感じ。

 

ヴィヴァルディが

器楽の感覚で

声楽曲を作っていることを

よく分からせてくれる演奏です。

 

ヴィヴァルディ演奏の

トレンドを知りたい方は

お聴き逃しなさいませんよう。

 

 

ペタしてね