アルトのためのカンタータを

すべて聴くためには

曲数が少ないにも拘わらず

CDだと3枚買う必要があると

前に書きました。

 

その内の1枚が前回紹介した

黒人のカウンターテナー

デレク・リー・レイギンの

『室内カンタータ集』です。

 

もう1枚が今回紹介する

ルネ・ヤーコプスの

『ヴィヴァルディ/ボノンチーニ:

 カンタータ集』になります。

 

Vivaldi • Bomoncini: Cantate.

ヤーコブス『ヴィヴァルディ、ボノンチーニ:カンタータ集』

(独 Archiv: 437 082-2、1992)

【収録】RV684、685、683

【録音】1977年10月

 

リオム番号の683〜686は

アルトと器楽合奏のためのカンタータで

本盤にはその4曲中3曲を収録。

 

伴奏はコンプレッソ・バロッコ

(ヴァイオリン4、ヴィオラ、チェロ、

コントラバス、チェンバロ各1という編成)で

指揮は、チェンバリストにして

バロック・オペラ復興の

立役者の一人として知られている

故アラン・カーティス。

 

ヴァイオリン演奏者には

ルシー・ファン・ダールの他

木村美穂子と渡邊慶子という

二人の日本人演奏家が参加しています。

 

 

ルネ・ヤーコブスといえば

お馴染み、皆川達夫の

『ルネサンス・バロック名曲名盤100』

(音楽之友社 ON BOOKS、1992)でも

「現在カウンターテナーの第一人者」

といわれていた歌い手です。

 

また、皆川の本と同様に

よく繙いて参考にした一冊

『クラシック音楽の20世紀 第四巻/

 古楽演奏の現在』

『クラシック音楽の20世紀』第4巻

(音楽之友社、1993.5.20)でも

「バロックの音響理念にかなった

 カウンターテノールが

 いかなるものかを示してみせた」存在

というふうに評されています。

(引用は瀬高道助の文章から)

 

というわけで

悪いはずがなかろう

というわけですが

「バロックの音響理念」に

かなっているだけあってなのか

いっそうオペラちっくに感じられる

演奏になっているように思います。

 

もっともそれは

器楽合奏だからかもしれませんけど。

 

 

《お願いだ、もうやめてくれ》RV684の

第2アリアは、聴けばすぐ

ヴィヴァルディだろうと分かるような

疾走感のあるパッセージが

心地よいですね。

 

RV684には

第1アリアのみ異なる

RV684a という稿がありますけど

器楽パートの一部だか何だかが

不完全な形でしか残っておらず

演奏される機会はないみたいです。

 

少なくとも録音したCDを

見つけることはできていません。

 

 

なお《愛よ、お前の勝ちだ》RV683は

エマ・カークビーなどが歌った

ソプラノ用のものと

同名異曲になります。

 

第1、第2アリアとも

ひとつの言葉を引き延ばして歌う

コロラトゥーラ風の歌唱が

印象的ですけど

イタリア系の歌い手なら

もっと表情豊かにやっちゃうかも。

 

そこらへんは

好みが分かれるところ

でしょうけれど。

 

 

ジョヴァンニ・ボノンチーニは

ヴィヴァルディと同時代の作曲家で

1720年にロンドンに渡ってから

ヘンデルとライバル関係にあったそうです。

 

本盤には、ロンドンで出版した

Cantate e Duetti(1921)から

Siedi, Amarilli mia

(座っておくれ、私のアマリッリ) と

Care luci del mio bene

(いとしい人の優しい瞳)という

2曲のカンタータを収録。

 

こちらの伴奏は

シギスヴァルト・クイケンと

ルシー・ファン・ダールのヴァイオリン

ヴィーラント・クイケンのチェロ

ロベール・コーネンのチェンバロという

キラ星のような面々です。

 

録音は1979年10月。

 

 

Siedi, Amarilli mia は

フランス序曲風な感じの

歌のないプレリュードが

第1楽章になっていて

ちょっと珍しいのかも。

 

第1アリアも

レチタティーヴォ風で

ヴィヴァルディのように

流麗な旋律を聴かせるという感じが

あまりしませんでしたけど

第2アリアは

イメージ通りの感じでした。

 

Care luci del mio bene の方は

ヴィヴァルディと同じ

アリア - レチタティーヴォ - アリア

という形式のものです。

 

 

ところで本盤は

新宿のディスクユニオンで

見つけたものですが

かつて、ジャケット・デザインが同じ

Colectio Argentea[シルバー・コレクション]の

CDを1枚(新譜で)購入したことがあるため

ちょっと懐かしかったり。

 

統一感のあるデザインだと

1枚だけ持ってても

他のCDとのバランスが悪い

という感じがするだけに(自分だけ?)

これでようやく2枚になって

なんとなく嬉しい。(^^ゞ

 
 
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