シモーネ・ステッラの
『パッヘルベル鍵盤音楽全集』全13枚
聴き終わりました。
(蘭 Brilliant Classics: 95623、2019)
自分にしては
異様に速いペースでの完聴でして
どんだけ渇望してたんや
という感じ。( ̄▽ ̄)
まず、オルガン編から聴き始め
次いでチェンバロ編を聴いたのですが
ちょっと確認してみたところ
チェンバロ編で1曲(1組曲)
収録されていないものがある
ということが分かりました。
パッヘルベルの
オルガン以外の鍵盤音楽
要するにチェンバロ曲は
現在、20曲ほど確認されています。
以前、当ブログで紹介した
出版譜の表紙に
Organo pnevmatio, vel clavato cymbalo
と書かれており
オルガンないしチェンバロの
いずれで弾くのも可
という扱いなのですが
(ステッラはチェンバロで弾いています)
これを除いて20曲ほどあるようでして。
その内の一部は
ドイツの音楽学者
マックス・ザイフェルト
Max Seiffert(1868〜1948)によって
まとめられたもののようで
第2次世界大戦時に
原本となる筆写譜は失われたみたいですね。
幸い、1901年に
公刊されているようなんですけど
その中に含まれている
第25、26、28、29番、
第32、33、33b、34、36番の
全部で9曲が
Jean M. Perreault が作成した
パッヘルベル作品目録に含まれています。
なぜ20曲ほどあるのに
ザイフェルトの作品番号が
36番まであるのか
ちょっとした謎なんですけど
チェンバロ曲だけでなく
オルガン曲も含めて公刊された
ということでしょうかね。
このうちの第25番から第34番までは
ステッラの全集に収められているんですけど
なぜか第36番のみ
収められていないのでした。
古楽の研究というのは日進月歩で
常に新しい成果が加わったり
定説がひっくり返ったりしますから
第36番は偽作ということに
今では、なっているのかもしれません。
でも、だとしたらそれについて
ライナーにひと言書いてくれてもいいのに
と思わざるを得ないのですけどねえ。
もっとも、問題の第36番は
実は手許にあるジョセフ・ペインの
パッヘルベル鍵盤組曲集に収録されており
聴くだけなら聴くことはできるのでした。
(瑞 BIS: BIS-CD-809、1995/1996)
1995年はマルCの
1996年はマルPの表示年ですが
なぜか1年のズレがあるので
併記しておきました。
BIS は
バッハ・コレギウム・ジャパンが演奏する
バッハのカンタータ全集をリリースした
スウェーデンのレーベルです。
日本では
キングインターナショナルが
日本流通盤を販売していますけど
Amazon で検索してみたら
ペインのCDは1996年の12月に
『パッヘルベル:チェンバロ組曲』
という邦題で
リリースされたようです。
出ていると知ってれば
日本流通盤を買ったはずですが
先に直輸入版を見つけて
取るものも取りあえず買った
というところでしょうか。
もはやずいぶん前のことなので
買ったときの意識は
記憶にありませんけれど。
日本流通盤の日本語解説なら
ザイフェルトについても
書かれてあったかもしれませんが
しょうがない。
もっとも、ペイン盤には
第36番が演奏されてるわけですから
ステッラが同番号の曲を削った理由なぞ
分かるはずもないわけですけど。
組曲 イ長調 第36番の扱いは謎のままですが
いつか分かる時が来るでしょうか。
それはともかく
ペイン盤を持っていて初めて
全集になるというのは
予想外であったとともに
買っておいて良かったと
つくづく思った次第なのでした。
蛇足ながら
パッヘルベルのカノンの
オーケストラ・バージョンは
先のザイフェルトが編曲し
1929年に公刊したものを
基にしているみたいです。
カラヤンが録音しているものには
(たとえばこちら↓
https://ml.naxos.jp/work/4404485)
ザイフェルトの編曲だと
記されているみたいですね。
1929年公刊というのは
『パッヘルベル・ストリート』
というサイトにアップされている
「パッヘルベル関連年表」に拠りました。
また、直筆譜などがないことなどは
以下の Yahoo! 知恵袋の回答で
詳しく説明されています。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11142062836
以上、御参考までに。