質の高い演奏(たぶん)を
廉価で提供しているレーベルのひとつ
オランダのブリリアントから
ヨハン・パッヘルベルの
鍵盤音楽全集が出たことを知り
ちょっと興奮。
ちょうどタワレコのポイントが
そこそこたまっており
半値以下で買えそうだったので
思わず購入してしまいました。
(蘭 Brilliant Classics; 95623、2019)
演奏はイタリアのシモーネ・ステッラ。
録音は2016年から2017年にかけて。
チェンバロ演奏が4枚、オルガン演奏が9枚の
全13枚を収めたボックスで
オルガンはイタリア、フェラーラにある
サン・ジョルジョ聖堂のオルガン
(クラウデオ・ピンチが2013年に修復?)
チェンバロは1638年製リュッカースのコピーを
それぞれ使用しています。
パッヘルベルといえば
通称「パッヘルベルのカノン」が
誰でも一度は耳にしたことがあるんじゃないか
というくらいのチョー有名曲。
でも、それ以外の楽曲は
あまり知られていません。
自分のCD収集の指針となった
皆川達夫の
『ルネサンス・バロック名曲名盤100』では
(音楽之友社 オン・ブックス、1992.2.10)
上記の有名なカノンを紹介したページで
しかし大作曲家パッヘルベルを
この作品だけで評価するのは重大な誤りです。
とくにそのオルガン作品には
是非ともふれていただきたいと思います。(p.205)
と述べてから
『バロック・オルガン大全集』の第2巻
「南ドイツ・オルガン楽派」に注目せよ
と書かれてあるのですが
当の紹介した商品は廃盤であってみれば
聴こうにも聴けるわけがなく。
まあ、仮に廃盤でなくとも
10枚組の新譜CDなんて
当時の懐具合では買えるわけもなく。
そんなこんなで
輸入CDの棚を眺めている時に見つけたのが
ゲルト・ヴァホウスキ Gerd Wachowski の
『ヨハン・パッヘルベル:オルガン作品集』でした。
(独 MD+G: L-3273、1987)
レーベル名の MD+G は
リリース元である
Musikproduktion Dabringhaus und Grimm の
頭文字を取ったものです。
実はこちら
自分が初めて買った直輸入盤CDで
それだけに思い入れが
深かったりする1枚です。
当時はまだ初心[うぶ]だったので
演奏者が書いたライナーの文章を
ドイツ語を訳した英文から重訳し
買ったばかりのワープロで印字して
お手製の日本語版ライナーを作り
悦にいっておりました。
今なら Wikipedia を参照し
ネット翻訳を利用すれば
簡単に出来てしまいますけど
当時は辞書と首っぴきで訳してましたね。
読み返してみると
ここはこうした方が、と
思うところがなくもないものの
なかなか良く訳せてるじゃない
と自画自賛してみたり。(^^ゞ
ポジティフ・オルガンなるものを意識したのも
このCDで知ったからではなかったかしらん。
皆川達夫が紹介する
「南ドイツ・オルガン楽派」は
10枚組とはいっても
パッヘルベルは、せいぜい
その内の1枚でしょうから
ヴァホウスキの1枚でも充分なわけですが
それ以来、パッヘルベル単独で1枚
というCDを見かけるたびに
買うようにしてきました。
アメリカのセントール Centaur
というレーベルからは
ジョセフ・ペインの演奏による
オルガン作品全集も出てまして
これで揃えられるかと思ってましたが
(左、vol.1:Centaur Records: CRC-2304、1996
右、vol.2:Centaur Records: CRC-2306、1996)
第3巻以降は見かけなくなってしまい
完結したのかどうかも分かりません。
(さっきネットで検索してみたら
11巻で完結してるみたいです)
そんなこんなで幾星霜
ようやくパッヘルベルの
オルガンだけでなくチェンバロも含めた
鍵盤作品全集を入手できるとは
実に実に感無量。
というわけで思わず知らず
長々と書いてしまいました。(^^ゞ
ちなみに
『パッヘルベル:オルガン作品集』の奏者
ヴァホウスキ Wachowski は
英語読みするとウォシャウスキー。
これは映画の方の表記で
翻訳小説ではウォーショースキー。
なんと、自分も読んだことのある
アメリカの女性ミステリ作家の作品でお馴染みの
女性探偵の名前と同じだったとは!
なお、ヴァホウスキのCDは
1996年に再発されたようで
まだ買えるみたいです。
これにもびっくりでした。