『アメリ』DVD(その2)
(パンド PAND-1111、2002.8.2)

映画の原題は
Le fabuleux destin d'Amélie Poulain
直訳すると
「アメリ・プーランの素晴しい運命」
となります。


先に書いたような経緯で
ついに観たわけですが
これが実に面白かった。

黒川さんは
ラジオ番組ですすめていたとき
色づかいがいいというようなことを
言っていたような記憶があります。

確かに独得の色づかいというか
DVDジャケットの
アメリの顔のトーンからして
想像できるのではないか、と。

そしてブログでも
『アメリ』に出てくる場所を
(カフェ・ドゥ・ムーランとかを)
聖地巡礼したというようなことを
書いていたかなあと
今、思い出しました。

そのブログを読んだときはもちろん
ラジオを聴いたときも
ふーん、という感じでしたが
映画を観た今は
カフェ・ドゥ・ムーランに行ったのか
羨ましい
とか思ったり。

現金なものです。( ̄▽ ̄)


黒川さんのブログにアップされてた
アメリのポスターが貼ってある
ガラスの仕切りは
アメリが
カフェ・ドゥ・ムーランを訪れた
二ノの後ろで
本日のおすすめを書いていたガラスでしょう。

カフェ・ドゥ・ムーランを
(ちなみにドゥは
 アン・ドゥ・トロワのドゥ
 要するに 2 Moulan です)
ニノが訪れた際
心臓がバクバクなアメリが
二ノが別の女性に目を向けるのを観て
水になったかのように崩れる
というシーンのSFXは
ものすごく印象的でした。

このシーンは
劇中曲である A quai
(プラットホームにて)の
ミュージック・ビデオにも
引用されてました。

ミュージック・ビデオは
下に掲げた『L'absente—日本企画盤』に

『L'absente—日本企画盤』
(東芝EMI VJCP-68441・42、2002.9.11)

CD-ROMで収録されていますが
YouTube にもアップされているので
簡単に観ることができます。




ニノというのは
スピード写真のボックスの下に捨てられた
失敗した証明写真をコレクションしている
ポルノ・ビデオ・ショップに勤めている青年で
アメリは彼に出会った途端
一目惚れしてしまいます。

最初に映画を観終わった後の感想は
これは、アメリとニノの恋の成就を描いた
少女まんがだなというものでした。

そもそもニノに再会して
心臓バクバクなシーンを
ドキドキする心臓のアニメーションを
重ねて映すというあたり
すでに表現が
まんが的だと思います。

上にふれた
水になって崩れるシーンも。


アメリがニノに接触する際
公衆電話で会話したり
地面に「→」書いて辿らせたり
なんかいろいろしてましたけど
あんな「→」なんて、いつ描いたんだ!
と突っ込み出すと
始まらないというか野暮なわけで
そういうノリって
まんがだよなあ
と思ったわけです。

いや、でも、この映画を
岩館真理子とか大島弓子とかに
あるいは岡崎京子でもいいですけど
(岡崎は少女まんがではないかもしれないけど)
コミカライズさせたら
ドンピシャでハマると思いますね。


好きなシーンはいろいろありますが
(最初に書いたSFXのシーンもそう)
ミステリ者という視点からいえば
証明写真でいつも失敗して捨てられている
はげ頭の男の正体が分かるところ。

アメリが
その男に遭遇したシーンを見たときは
なるほどー! と思ったことでした。

これは
いわゆる日常の謎系のミステリとしてみても
秀逸な解決だと思った次第です。


好きなシーンというか
大笑いさせられるのは
煙草売り場のジョルジェットが
ウェイトレスのジーナの
ストーカーともいうべき常連客ジョゼフと
トイレで何をいたすシーン。

カフェ・ドゥ・ムーランの女主人や
他の常連客が
何事とか思いつつも
なるほど、と納得して
平然としているのが
いかにもフランス映画という感じ。


あと、アメリの
少女時代のエピソードが
語り口も含めて
好きですね。

金魚のエピソードは
ペーソスあふれてますし
(監督の実体験らしい)
意地悪な隣人へ復讐するエピソードは
笑えます。

どうやって屋根に上ったんだ、
なぜタイミング良く切れたんだ、
アメリ(笑)

この復讐のエピソードが
後年の
おせっかいというか
ご近所の快傑ゾロ的なふるまいに
つながっていくわけですね、たぶん。

フローラ・ギエ演じる
少女時代のアメリが
実に可愛らしいというか
いい味出してるんですが
この娘、他に出てないのか知らん。


劇中にアメリが観るテレビで
尼僧なのかボランティアなのか
アメリ・プーランという女性の
葬儀の模様が描かれますが
あれはシャレというか
アメリの深層心理なんでしょうか。

テレビというのは
この映画では重要な役割を果たしていて
ダイアナ妃の事故を告げるニュースとか
自転車レースを見ていた馬が
突然、車道に出て
選手たちと一緒に駆け出すニュースとか
まあ、意味は分からないけど(笑)
象徴的に使われている気がします。


今回取り上げたDVDでは
日本語吹替版を選択することもできます。

『アメリ』では
主要キャラクターを紹介する際
ナレーションが入るのですが
日本語吹替版では
野沢那智がナレーションを担当していて
これにはびっくり。

テレビ放映時にあてたのかどうか
分かりませんが
晩年の仕事のひとつではないでしょうか。

なっちゃんの声を聴きたくて
字幕版で観た後
日本語吹替え版でも観てみました。


ちなみに
アメリの声を当てているのは
ご存知、綾波レイを演じた
林原めぐみでした。

アメリが観客に語りかけるといった
前衛的なカットがありますが
そのカットでの
林原めぐみの口調が好きというか
心地よいです。


DVDは2枚組で
特典映像には
フランス公開時の舞台挨拶とかが
収録されてます。

向こうの舞台挨拶は自由だなあ
とか思いましたが
その他の映像では
何といってもアメリ役
オドレイ・トトゥの
役のために髪を切る前の
ロングヘアーがステキでした。

アメリの髪型は髪型で
トトゥのくるくる変わる表情がよく分かって
すごくいいんですけどね。

『アメリ』DVD(その3)

難をいえば
この特典DVD(上掲の写真右)
各映像へのアクセスがめんどくさい。

いちおうDVD封入のライナー(上掲の写真左)に
ガイドは載ってますけど
最初はそれをアテにしてなかったから
大変でした。


あと本DVDの特典には
監督のコメンタリーが付いてます。

コメントの字幕も入りますが
そうすると本編は
フランス語で観なくちゃいけない。

ストーリーや台詞を把握してないと
たいへんだということもあり
まだ観てません。

コメンタリー付きで観ると
また印象が変わるかもですけど
とりあえずはこのへんで。


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