マスカットのドラゴンズ
昨夜は倉敷マスカットスタジアムで久しぶりに公式戦の阪神中日戦をナイター観戦しました。
今度の倉敷の阪神戦は息子がチケットを取ってくれたのですが、悲しい思い出があります。あれは12年前にも同じカードがあって、タイガーフリークの妻とバックネット裏の席を取っていました。
そこにあの6月1日の悲劇です。詳細はリハビリエッセイの6号をご覧いただくとして、プランはあえなく消え去りました。
因縁の倉敷は10日前から雨模様に予報が出ていて覚悟はしていたが、朝から曇り空でなんとか持ちそうな雲行き。備中でお泊りしている息子夫婦とお昼を食べるので、9時過ぎに出発。
裏山の三頭トンネルで阿讃山脈を抜け1時間で坂出ICに入り、PAで休憩し30分で早島ICを降りる。2000台ある球場駐車場も確実に満車するらしいので状況確認に立ち寄れば、通常ベースの駐車場はほぼ満車状態。飯を食ってからでは間に合わないと判断して、先ずは中庄駅前の店をチェックしたら自分の脚でも歩ける距離。
球場に戻って障害者駐車場に車を置いて、歩いて昼飯に往復することにする。15分ほどで店に着き、知らせてあった息子たちも昼前には車を置いて歩いてやってきた。
ゆっくり2時間ほどかけてランチを済ませ、2時半ごろ球場に戻るとゲートに並んでいる人がいる。年に一回の開催なので気の早い人が多いなあ。とすることがないので車で4時まで待つことにする。
1時間もすると早く行ってタイガーグッズを買いたいと言い出し
並んで待つことにする。ところが開門まで間があるのに各ゲートは長蛇の列。外野自由席のみならず内野指定席まで長蛇の列。並んでいる人も指定席にこんなに並んでいるのは見たことないと言いつつ並んでいるのもおかしな話。
途中でマイクを持った人が外野ゲートからでも入場できるというので行ってみれば内外野は分離しているので行ける筈もない。係員も混乱して混乱に拍車がかかる。息子たちは車に帰って行った。
半時間以上かかって入場したが試合開始前に一戦終わった感じ。
スタンドは半分くらいの入りで、あんなに並んでいたのは何だったのという感じ。それでも開始前にはほぼ埋まってくる。
先発は小笠原慎之介に対して才木と劣勢が予想される。慎之介は
週頭の当番なので相手がいつもエースなのできまって先に失点して
味方の援護がほとんどなく負ける。なにせ慎之介登板試合の援護点は一試合平均で1点を切るという見殺し状態。
予想では9回まで1対1で頑張るも最期はサヨナラ負けが見込まれ
最期まで見届けていたら駐車場を出るのがいつになるかわからないので、8回の攻撃が終われば出ると宣言する。
案の定、この日も気合の投球を見せるが援護はなく、才木が制球を乱して2アウト満塁と責めた4回も加藤匠馬という安牌で凌ぎ切られ後半に入る。バックスクリーン裏で花火が上がったのが一番の盛り上がり。7回表の「燃えよドラゴンズ」に続いて、「六甲おろし」が
あるかと思いきや風船飛ばしのファンファーレみたいのしかない。
妻によれば「六甲おろし」は勝った後にしかやらないようになったという。そんな勿体ぶるようなものではなかろう。そもそも7回表裏の応援歌は、6大学野球の校歌斉唱をまねたものだから、勝たなければ歌わないというのは相手への敬意を失している。
阪神の応援スタイルは6大学野球と広島東洋カープの二番煎じなので、かつて岡田のテーマソングは早稲田の「コンバットマーチ」だったから恐れ入るが伝統はしっかり守ってほしいですね。
両投手の投げ合いは8回に慎之介の代打大島で終わる。大島と続くカリステが倒れ2アウトになったところで、勝負ありと観て席を立てば、火災発災の放送があり、手洗いに行っていた家内が飛び出す。
息子たちは最期を見届けるというのでお先に失礼します。
発災は誤報であったが手洗いの水が何処も流れないらしいと大急で屋外のトイレを探す。外で待つ間に場内から大歓声が起こる。
タイガーの責めかと思えば、暫くするとレフトスタンドのドラゴン応援席から絶叫がとどろき、つづいて「燃えよドラゴンズ」の斉唱を耳にして、初めて異変に気付いた。レフトスタンド最上段の一角に押し込められた応援団とは思えない圧倒的なボリューム。実際には3塁側全体にドラゴンフリークが潜伏していたのだ。
タイガー一色と思われるマスカットに一定割合ドラゴンフリーク
がいることは駐車場の人の流れから感じてはいた。その少ない応援の歯切れの良さは妻も認めるところだ。
さて、トイレを出ると妻は、試合が終わると大変だと暗がりの中を筆者をおいてどんどん突き進んでいく。真っ暗で訳が分からないがどうも方角が違うような気がする。山陽道の高架が見えてくるに至り引き返す。テニスコートのような一帯に迷い込み、通行する方にお尋ねすれば、全く反対地点にいることは判明。
闇をどんどん突き進む妻を追ってどうにか車にたどり着いた時には大汗ダラダラ。疲れ果てました。エアコンガンガン聞かせてABCラジオをかけると9回表が終わり、守護神ライデル・マルティネスがコールされた。
静まり返った駐車場を出て早島ICに入れば9回も2アウト。勝って
しもたと安心すると、サト輝にヒットを許す。流石サト輝は阪神では最強打者。代走に盗塁されるとライデルは四球を出して1、2塁のピンチ。しかあし、代打糸原を三振に仕留めゲームセット。
どうやらあの8回表は、2アウトから小兵非力田中ミキヤが一塁線を3塁打して、つづく板山祐太朗がライト前に痛打して先制した。
3番に抜擢された元阪神の板山雄太郎は去年解雇され、ドラゴンズで育成契約から這い上がった苦労人です。恩返しですね。
坂出ICを降りて満濃町に入ったたりで息子に電話すると、駐車場で一時間近く待っているがまだ動けないという。感動を味わうにはそれなりの代償を払わなければならないということでしょう。