リハビリエッセイ 33号 大塚美術舘2 | ロック古典主義

ロック古典主義

ジミヘンからプリンスまで
ロックミュージックの黄金時代を
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70年代古典ロックの物語をはじめ
卑弥呼の古代ロマンを求めて
古墳探訪の巡礼紀行などを
フレックスにお届けします。

(仮称)リハビリテーション・ミュージアムⅡ

 

 最後の審判を描いたシスティーナホールに入るとほぼ満席状態まで埋まり、B2の吹き抜けから見下ろす人も大勢います。

 ホールの真ん中あたりの通路側に空きがあったので座って待てば

高橋さんというガイドが現れてシスティーナホールの話を始める。

  

 ローマ教皇の公邸であるバチカン宮殿にあるシスティーナ礼拝堂の前後の壁面と丸天井のミケランジェロの絵画を原寸陶板画で再現して環境展示されている。

 2007年、開館10周年を記念事業として、この三次曲面の再現に取り組み、陶板を割らずに曲げることは非常に難しいものでしたがガラスなどが高温で溶けて曲がっていく原理を応用し、試行錯誤の末に実現したといいます。

 まず天井画のサイズは奥行40.5m、幅14m、天井は礼拝堂主要部の床から20mの高さに立ち上がる。かまぼこ型天井部は複雑な構造になり、天井は青色に塗られ、金色の星をちりばめた、パドヴァのアレーナ礼拝堂にあるジョットのフレスコ画に似た設えという。

elisabetta raineri - The Creation of Adam 

 天井の装飾の中心をなすのは、『創世記』に取材した9つの場面であり、中でも『アダムの創造』が著名です。父なる神の指とアダムの指とが触れ合おうとする場面は、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』と並んでよく知られた画像です。 

 さまざまな主題を含むこの天井画は、祭壇壁の『最後の審判』の巨大なフレスコ画(これもミケランジェロ作)や、ここの横壁には何もないのだが、他の画家たちによって制作されたフレスコ壁画、ラファエロの原画によるタペストリー群などと、システィーナ礼拝堂全体の装飾計画の一部をなすものであり、これらは全体として、カトリック教会の教義を絵画化したものです。

 欲を言えば横壁も複製することでシスティーナ礼拝堂全体の装飾がはじめて完成するような気がしてならない。

 それでは祭壇壁の『最後の審判』もミケランジェロが依頼を受けて作成したものですが、同時に描かれたわけではなく、天井画の『創世記』は1512年に完成したのに対して、『最後の審判』が完成したのは1541年です。つまり、この2つの作品の間には、約30年もの隔たりがあるということになります。建築家 ミケランジェロ・ブオナローティを知ろう!カンピドリオ広場など - SUMUKOTO.COM
 まず驚くべきことは、ミケランジェロは1475年に生まれ1564年に亡くなっており、15~16世紀の人としてはかなり長生きだったという点です。『最後の審判』が完成した際にミケランジェロは66歳だったという計算になるので、かなりの高齢で作業を行っていたということがわかります。老齢で天井を見上げる作業は苦行です。

 システィーナ礼拝堂の『最後の審判』の主役は、なんといってもイエス像です。中世までのキリスト教政界ではイエス像は決まってやせ細った身体に長く伸びた髪とひげが特徴でした。ミケランジェロの「最後の審判」を徹底解説!日本でも見れるって本当? - アートをめぐるおもち

 しかしミケランジェロの『最後の審判』に描かれているイエスは若々しく筋骨隆々です。これは、後述するようにミケランジェロが「人体の美しさ」の表現を追求していたためです。
 ミケランジェロの描いたイエス像には、実はモデルがいます。
 モデルと言っても実在した人物というわけではありません。
2023 Vatican museums virtual tour provided by Nearstation
 ミケランジェロは当時のローマで発掘されたばかりであった古代の彫刻『ヴェルヴェデーレのトルソー』をモデルにしたと言われています。五体を失ったトルソーは生きてはいけない。

 ミケランジェロは本来彫刻家であり、自身を画家とはあまり捉えておらず、フレスコ画の作成はシスティーナ礼拝堂の『創世記』が初めてでした。彫刻が芸術の最高形式と考えていたミケランジェロは、この古代の彫刻から着想を得てイエスの身体をデザインした。この『ヴェルヴェデーレのトルソ』はヴァチカン美術館の中で実物を見ることができると説明されました。「ヴェルヴェデーレのト…:「丸ごと世界遺産」世界最小の国家バチカン 写真特集:時事ドットコム
 ヴァチカンを訪れることがあったら、システィーナ礼拝堂に入る前に、ぜひこの作品の形をよく見ておきたいものです。 

システィーナ礼拝堂までLED導入の時代に | システィーナ礼拝堂, ミケランジェロ, ヴァチカン市国

 陶板による複製画は、オリジナル作品とは違って2000年以上にもわたりそのままの色と姿で残るので、これからの文化財の記録保存のあり方に大いに貢献するといわれています。

 現にオリジナルの礼拝堂の天井画は近年劣化に悩まされており、現在では入場制限も検討されているというから貴重な歴史遺産なのかもしれません。

 館内の全体像をお聞きしたところで、まずは一日の休憩スポットをフロアマップで当りをつけるとB2の「モネの大睡蓮」のテラスと

1F庭園のテラスが浮かび、下見をする。いずれも傍にテイクアウトがありWIFIも入る。

 1F庭園は周囲の展望がいいが日陰が乏しいのとレストランの値が張る。B2は展望範囲は狭い半面、日除けが付いているのとカフェがあるので、こちらのテーブルに席を構えました。

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