摂津巡礼23(神戸市灘区)
EVに乗って4Fのコレクションギャラリーで同時開催のYokoo Tadanori Collection Gallery Part2 「風景考」を拝見します。
絶賛開催中の「横尾忠則 ワーイ!★Y字路」展に関連づけ、横尾の個人コレクションのなかからギュスターヴ・ドレ(1832-1883)やマン・レイ(1890-1976)、クリスト(1935-2020)ら西洋の近現代美術の巨匠による、「風景」に関連した作品を特集しているが、自身所有の作品なので13点なるも印象的なコレクションです。
「もう飽きちゃってるんですよ。もう、ずーっと子供の頃から、絵しか描いてませんからね」
日本を代表する美術家、横尾忠則さん。昨年10月、文化功労者に選ばれた。大胆な色使いに奇抜な構図。横尾さんの作品は日本にとどまらず、世界を魅了し続けている。御年87歳。いまも東京・世田谷のアトリエに自転車で通い、制作に取り組んでいる。
それでも描くことに「飽きた」という、その真意は。
テレビにありがちな演技を強要するような質問を受けるうちに、普段の自分を見失うところが、嫌なのだという。
今回のような過去の業績ですか。それに対する評価ですよね。具体的な、あの作品と、この作品というもんじゃないですから。非常に抽象化されてしまってるわけですね。もっと若ければ、それを励みにしてですね。『また明日から頑張るぞ』という意欲があるかもしれないけど。だから、期待されているような答えがなかなか出てこないんですね。やはり与えられている時間がないからですかね。
やっぱりね。この年齢になるとですね。先の時間がそんなにあるわけじゃないので、そのことを自分の大問題として僕の中でそれをとらえようとしている、そういう気持ちは、いささか冷静というか不思議に安定していますね
もうこの年になると、夢とか希望というのは、もう、いまの状態と同質化してしまっているので、そういうものは持てないんです。だから、きょう1日無事に終われれば『あ、きょう1日は生き延びられた』っていう、そういう感覚なんですよね。
(文化功労者に選ばれたことについて)確かに社会的な現実に対して個人的現実を考えた場合は、もっと重要な問題が僕のなかに、あるわけです。それは人間の形成です。残された時間中で、それが達成するとは思えませんが、そうありたいですね
3Fに降りようとしたらスタッフの方から、「鏡の廊下」はいかがですかとお勧めいただき、窓際の細長い通路に潜入する。三面鏡みたいのがいくつも並べられた通路は横尾に「キュミラズム・ツー・アオタニ」と名付けられた異空間。
窓に映る摩耶山系や王子公園の景色の中に移る自分の姿が万華鏡の中に入った気分にさせられます。