神田財務官負のスパイラル現象
4月26日、日本銀行の金融政策決定会合で政策の現状維持が発表されたあと、それまでドル円が150円台半ばで取引されていた為替市場では円売りの勢いが増し、同日午後の植田和男総裁会見を経て29日には一気に160円を突破しました。
その後、2回にわたり9兆円規模と推定される為替介入でドル円は151円台までいったん押し下げられたあと、再び150円台半ばまで戻ってきています。
結局、往って来いの末に元の水準に戻ったわけだが、ドタバタ劇の背後には円安に対する政府と日銀の認識に大きなギャップがあることがうかがわれます。
10日のドル円は反発して週末を閉じた。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.50%台まで上昇すると円売りドル買いが先行。米ミシガン大学が公表した5月米消費者調査で、消費者態度指数は
予想を下回ったものの、同時に発表された消費者の期待インフレが予想を上回ったことが分かるとドル買いがさらに進み、一時155.90円と日通し高値を付けました。
10日のVIX(恐怖指数)は12.59と前営業日の清算値12.69から0.10ポイント低い水準まで低下しています。
いずれにしても、今週はGW明けの本邦実需の買いが連日目立つ
相場展開となっているわけですが、イエレン米財務長官をまたまた怒らせてしまった、FOMC直後のあからさまな押し下げ介入が引き起こした無秩序な動きが、あべこべ潜在的な実需の買いを作り出してしまっているといったところ。市場では、年初来高値の160円台にノックアウトを付帯したリバースノックアウトオプションが新たに次々と設定されているなど、kanderventionが残した、いわゆる負のスパイラル現象が続いています。
一時は9兆円介入のドル円相場急落の煽りを受け、連休中3日には1400%を割り込んだ筆者口座維持率も、徐々に回復を続けて10日
には1472%と過去最高値で引けています。
わが心のメキシコペソ円。このペアは金利差が大きく、今や個人投資家にも大人気となっているが、最近興味深い動きを見せた。
4月19日にイスラエルがイランに対してミサイル攻撃を行った際、メキシコペソ円は一時8.5円程度まで急落した。
結局はすぐに戻ったのだが、リスクオフの動きのときは一時的ではあってもかなりの影響を受けることが分かった。一方、日本政府がドル売り円買い介入を実施したときは、当然、メキシコペソ円も下落はしたが、下落幅はリスクオフのときほどではなかった。
最近では9円を下に割り込まなくなってきた。何度も下値の堅さを確認したので、今後もこの通貨ペアは堅調に推移すると思う。一気に9.5円というわけにはいかないと思うが、スワップがかなり稼げるので、少なくともトランプがマジトラ化するまでは買いポジションを継続してキープしていいと考えています。
一方、アキレス腱のトルコリラは、ドル・リラ相場が4月19日に付けた32.66リラを最後に、最高値(リラの最安値)の更新が途絶ている。リラは昨日8日まで13営業日連続で安値更新を回避しており、これは昨年9月以来8カ月ぶりの長さとなる。
なお、10日時点で32.2リラ台で推移しており、堅調とまでは言えないものの、ドル高地合いにも関らず底堅い動きとなっている。
一方、リラ・円は円安地合いの中でじりじりと下値を切り上げており、10日時点で4.8円前後で推移。3月に付けた最安値4.490円前後から7%あまり上昇しています。
トルコのファンダメンタルは確実に改善していると観られ、大手銀行から散発的にリラ買い推奨が出ているほか、3日には大手格付け会社S&Pが、トルコの格付けを「B」から「B+」に引き上げた。
S&Pは、トルコ当局がインフレを抑制し、リラの信認を回復して経常赤字を縮小させれば格付け引き上げを検討する可能性があるとして格付け見通しは「ポジティブ」を維持した。
OECD は、2024年のトルコ経済のGDP成長率を、従来の2.9%から3.4%に引き上げた。2023年の地震後の復興が進んでいることもあり、投資活動は引き続き堅調に推移すると予想している。
ここにきてリラに好材料が目立ち始めただけに、10年以上も続くリラの下落に終止符を打って上昇に転じることができるか、今後の展開に注目したい。