VAMOS MEXICO清算衝動消滅
年初から再三にわたりメキシコペソの清算衝動を訴えてきましたが、どうやら時期尚早のようです。
4月9日に年初来高値の9.33円をつけた。週末に大統領選挙の候補者でディベートあり、失業率が大幅改善他の指標もまずまずの対米ドルでは動きなく、結論を先に言えば「ペソは歴史的にまだ安い」ということです。
1994年末から1995年初頭にかけて発生したメキシコ通貨危機「テキーラ危機」とも呼ばれるペソの暴落から30年。
当時30円を超えていたペソは、2020年4月には4.25円まで下落
6円前後で参戦した筆者もロスカット直前まで追い詰められた。
この間、ようやく日経平均株価が最高値更新したことを見れば、
ペソ円の逆襲もまだ道半ばともいえる。
ペソは2022年、23年と12通貨中最強通貨、今年もここまで最強だ。ただペソは21世紀、2000年代となってから主に円安の時代と言われているが、実はそれでもペソは対円で安い。2001年のペソ円始値は12.16、現在9.32で約3%安だ。ではいったいいつから上昇し始めたかというと、2020年5月からだ。当時のペソ円は4円台で現在の半分以下だ。ここから急回復が始まりました。
当時はコロナ禍が始まりウクライナ紛争と続いた。その間、米国の輸入関税引き上げを始め米中経済摩擦が強まっていった。
サプライチェーンにも支障が出て物流が混乱、米国の物価も急騰した。米国は経済の安全保障問題もあって、メキシコを中心とした経済安保が保証されるニアショアリング体制構築を計画、今もその途上にあり、まだまだこれからだといえます。
米中デカップリングと米国経済そのものの強さがメキシコの成長を強く促している。この動きは今後も続くのだろう。トランプ氏が大統領になっても、強い米国を目指すには、このニアショアリングという体制が必要、また米中関係の改善はなかなか見込めないので流れは変わらない。ただサプライチェーン構築の流れにメキシコのインフラ整備がついて行かない場合もあり、それは嬉しい悲鳴なのではないでしょうか。
米国務省は3月28日、メキシコと連携して半導体分野のサプライチェーンでの機会を模索すると発表した。バイデン政権は半導体の中国や台湾への依存を減らそうとしています。
2022年に成立した「CHIPS法」の一環として進める、同盟国やパートナー国との連携を通じて、半導体のサプライチェーンを発展させるため5億ドルの基金が創設された。 国務省は声明で「自動車や医療機器など必要不可欠な製品の製造は半導体サプライチェーンの強さと回復力に依存している」と述べた。
つまりは、アメリカ経済が崩壊しない限り、メキシコペソの屋台骨はゆるがない。アメリカ経済=世界経済だとすればメキシコ通貨は世界通貨ともいえます。
実体経済では自動車輸出、郷里送金は快調。中国BYDもメキシコ進出をもくろみ、米政府はメキシコからの中国車輸入を阻止しそうだが、メキシコは世界の輸出国のトップ10へ名乗りを上げました。大統領も強いペソを賞賛。2023年のGDPは前年比3.1%増加、IMFの2024年成長見通しは2.7%とみている。
気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大のほか、国境の壁発動のトランプ大統領が誕生すればメキシコにも一波乱ありそうです。
東京時間を9.30円で閉じたペソ円は限りなく10円をターゲットの
視野に入ってきた。お陰で筆者口座維持率も1440%まで上昇して、
ペソ円に限定すれば1900%に達し、10円でシミュレーションすると2000%を大きく上回ります。
500%の足かせになっているトルコリラ円も3月12日の4.37円を大底に4.7円まで反転している。トルコにも復調の兆しがあり、今は
清算すべき時期ではないというのが直感です。あるいは思い切って利確ができないただの弱腰でしょうか。
次回政策金利決定は5月10日(金)である。