穴薬師古墳3(阿波市土成町)2023年10月26日
穴薬師の玄室は天井石が斜めになっていて「忌部山石室」もしく
は「段の塚穴型石室」のようになっていますが、実際は直方型石室
だったようです。
全長5.5mほどの石室で側壁は砂岩、天井石は緑泥片岩からできて
いて、玄室は左側が少し幅が広くなっている感じ。一番奥の天井石が斜めになっている感じはこれ「段の塚穴型」ではないのか。ただ天井石に後世の補修跡があるようです。
「段の塚穴型石室」とは、筆者の自宅裏山の河岸段丘上に営まれた
古墳群のひとつ「太鼓塚古墳」の石室は全長13mで県内最大規模。
玄室の平面形は中央部が膨らむ胴張り形であって、玄室天井部は天井石7石が階段状に持ち送られることによるドーム状の形態とし、玄室奥壁には石梁を付す独特の風味をなし、「段の塚穴型石室」と
呼ばれます。
吉野川流域には、従前にもお伝えした石室の平面形は隅丸長方形で天井部は石材を前後に持ち送って、中央部を高く作り出す構造を持つ「忌部山型石室」が中心のエリアもあります。
上流部に「段の塚穴型石室」、中流部に「忌部山型石室」エリア
下流域に直方型の「畿内型」が中心の地域と、3つの大きな地域に
分かれることから、3つの「クニ」があったのではないのかと指摘
する向きもあります。
近畿型とは形態の異なる「段の塚穴型石室」や「忌部山型石室」
がまかりとおった粟国とはどういう「クニ」だったのでしょうか。