百舌鳥古墳群20(大阪府堺市)2024年1月19日
土師ニサンザイ古墳周辺で区画整理事業が行われる前に、内濠の
外周は、末永雅雄先生が提唱した「周庭帯」の典型例であると確認
されており、外濠の存在が予想されていました。
周庭帯とは、航空写真を用い古墳を観察することで、古墳周濠の
外側に古墳を取り囲むように広範囲で人工的な平坦地帯を確認できる場合があり、その部分に外濠など遺構がある可能性が高く、その部分を狭山池で生まれ育った考古学者の末永雅雄先生は「周庭帯」と提唱していた。(拘置所で使用されていたとされる、周庭さんの貞操帯とは関係ない)ちなみに末永先生は森浩一の師匠にあたる。
そのため、外堀の位置や深さを把握するために、掘削ボーリングなどの調査が行われた結果、多くの箇所で外濠が確認された。地山を削り外濠の内肩斜面と内堤を広範囲に確認し、斜面の途中で平坦面がある2段落ちに築造されていた。 この調査から本古墳は、二重の濠を構える前方後円墳であることが判明したが、外濠は後円部側では濠が完周しない、もしくは浅くなっていた可能性が高いと考えられています。
その不完全で浅い外壕からは遺物として、円筒埴輪、家、動物、盾などの形象埴輪が出土したという。また、別の調査では円筒埴輪の他に、瓦器、瓦質土器が出土したことから、鎌倉時代には外壕は埋没していなかったと考えられています。
外壕跡と思われる湿地帯には、「御陵山公園」として古墳のお堀に沿う形でウォーキングコースが整備されており、隣のニサンザイ古墳を眺めながらウォーキングを楽しむことができます。
はにわを模した車止めや、勾玉の形をした園名板など園内の各所には古代日本の遺産をモチーフにした施設が設置されており、太古のロマンを感じさせる公園のつくりになっています。