(リマスター版)
ロック自叙伝 1
サンフランシスコ西部ハイトアシュベリーにある”ToneTubby”は
サンタナのキーボードグレッグ・ローリーの父親が経営する楽器店でアシュベリーに住むミュージシャンが出入りすることで知られて
いる。先週もジャニスのホールディング・カンパニーにいたバンドの連中を見かけた。
その夏、ジミヘンドリックスはハイト通りにあるレッドハウスに戻っていた。そこで日本のメーカーが開発したMiniKORG1というコンパクトなシンセサイザーのプロトモデルがTubbyに届いたことを聞きつけ立ち寄っていた。
そのころのジミは、様々なエフェクターを駆使したギター奏法に限界を感じ始めていて、自ずと新たなインスツルメントとして登場したシンセサイザーに興味を抱いていた。
当時シンセはMOOG社のモジュールが一般的なシステムで、その取り扱いが面倒だった。
そんな中、MiniKORGはポータブルにハンドリングできる画期的なアイテムであった。
ジミはMiniを体験するや即座に入手したいと申し出た。
Miniをキーボードではなくギターに組み込んだギターシンセを着想
したのだが、残念なことにMiniKORGが北米にリリースされるのは彼がこの世を去った後のことだった。