ロック自叙伝22
あの有名なリフが鳴り響いた。
ポール・コゾフの印象的なパワーコードのカッティングリフと
サイモン・カークのタイトな8ビートが刻まれる。
「”All Right Now”」とアンジーが叫ぶ。つられて辺りは総立ちとなる。
突然、隣にいた背の高い男が彼女を肩車した。アンジーは身をよじり抵抗するが
放してくれない。小さなアンジーはそのまま男の肩で揺れていた。
間奏に入る前のカークのマーチングスネアとアンディのリフがかっこいい!
最後は”All Right Now”の大合唱となりFreeが終わった。
午前中の二つのバンドは音楽的には似ているようでも比較はできない。
いえるとすればFreeがロンドンのバンドでGilsはアメリカのバンドだと
言う事だけだ。
ふと俺はこんなことを考えた。
ブルーズとR&Bなどの黒人音楽を母体に白人のロカビリーを揺りかごに
ロックンロールは出現したといわれるが、
ロックになるにはジャズのエッセンスが不可欠だ。と
子供のころTVで見たクレージーキャッツのお笑い番組でよくは解らないが
彼らはジャズ的な演奏をしていた。
それを聴いた俺は適当にやっているように見える音楽に引きつけられていた。
その後、TVを席巻するGSにはどこか違和感を覚えた。
そこにはR&BとR&Rの要素しかなくジャズの欠片もなかった。
もちろんジャズプレーヤーがアルバイトで参加していたはずだがジャズは
押し隠していた。
一方でロックには多くのジャズプレーヤーが進出する。
彼らはジャズの地平にロックを見ていたのであり、自ずとエッセンスが滲み出た。