先日、令和2年度の審判講習会(Web講習)を受講致しました。
前編と後編、合わせて2時間40分に及ぶ本編に加え、コンプライアンス講義、活法講義と盛りだくさんでしたが、動画の実例を交えた興味深い内容で一気に見終わりました。
現在、柔道の試合は一般的に、国際柔道連盟試合審判規定(IJFルール)に則って行われていますが、IJFルールは結構短いスパンで変更されるので、競技者にとっても最新のルールを熟知するのは意外と大変だったりします。
今回は、個人的に講習の中で新たに知った情報や、今まで誤った理解をしていたルールを挙げてみたいと思います。
返し技を施す際、先に自分の背中が着いた場合は技として認められない。ただし、相手の技を凌ぎ、そこから捨身技を施す場合は、先に背中が着いてもOK。
返し技なのか、相手の技を凌いだ後の捨身技なのか、見極めが難しいところですが、
・相手の技をそのままの勢いで返す場合には、自分の背中が先に着いてはダメ。
・相手の技を一旦凌いだ後であれば、背中が先に着いても捨身技として認められる。
という判断基準だと理解しました。
当時、一部で話題となった、ロンバルド選手が阿部選手の技を返したと思われたシーンは、ロンバルド選手が阿部選手の一本背負投を凌ぎ切れていなかった(ので、先に背中が着いたから無効)という判定だったと思われます。
いわゆる「シバロック」は、相手の腕に覆いかぶさっているので、抑え込みとして認められる。
シバロックは、以下の動画のような技。
一方、
上のようなケースは抑え込みと認められないと聞いていたのでシバロックもダメなのかと思っていましたが、シバロックの場合は相手の体の一部に覆いかぶさっており、抑え込みとして有効みたいです。
逆に「肩三角固め」や「船久保固め」は、そのままの形だと相手に覆いかぶさっていないので、NGと思われます。
(追記)補足ですが、判断基準は「体の一部でも相手に覆いかぶさっているかどうか」なので、「肩三角固め」や「船久保固め」でも、その条件を満たす形になっていれば抑え込みとして有効みたいです。世界柔道選手権ブダペスト大会でも、「船久保固め」は抑え込みとして認められていました。
肩三角固め
船久保固め
巴投で投げる気が無く、最初から腕ひしぎ十字固で取る事を前提とした「巴十字」は「指導」。
これも近年のルール変更により、立ち技での関節技が禁止となりました。
これに伴い、競技柔道から「腕返し」や「飛び十字」など魅力的な技術が失われ、個人的には残念な気持ちしか無いのですが、小生の嗜好に関係無くルールはルールなので、競技者としては従う必要があります。
飛び十字
このルール変更の流れで、腕ひしぎ十字固に入るために相手を前のめりさせる目的で掛ける(投げる気の無い)巴投も、「指導」の対象となりました。