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柔道が足りてない!

昨今、柔道人口の減少が深刻みたいなので、皆様にちょっとでも興味を持って頂けるような柔道ネタなど書いて行ければと存じます。

柔道の醍醐味の一つとして、「柔よく剛を制す」という言葉が使われますが、レベルが高くなるほど、これを体現するのは難しくなっていきます。

 

逆に言うと、トップレベルでこれをやってのけるのは、大変貴重で難易度の高い事です。

 

その貴重な「柔よく剛を制す」を見られる最大の機会が全日本柔道選手権大会

 

昨年末に開催された大会では、佐々木選手の活躍が話題となりました。

自分より身長で15cm、体重で60kgも上回る相手に、この試合!

 

さて、ここから、ちょっとだけマニアックに話を進めます。

 

組み手で一般的によく言われるのは、「二本持て」。つまり、引手で相手の袖、釣り手で相手の襟をしっかり持って勝負しろ、という事です。

 

しかし、上の動画を見ても、佐々木選手が投げを極めているのは2回とも釣り手(佐々木選手は右組なので右手)のみ持ち、引手は持っていない状態からです。

 

ここで注目すべきポイントは王子谷選手の釣り手(右手)。

 

王子谷選手からすると、佐々木選手の動きを封じるために釣り手で奥襟を持って引き付けてしまいたいのですが、佐々木選手はそれをさせないために敢えて引手を持たず、王子谷選手の釣り手をブロックできる状態にしているという事かと思います。

 

大きい相手と対戦する場合、小さい者にとっては相手に奥襟を与えない事が生命線になるため、敢えてガッチリ持ち合わない状態で勝負するという戦略は、体重無差別という条件下では意外と暗黙的に多用されている気が致します。

 

「二本持つ」柔道は、いわば横綱相撲。

体格やパワーで劣る者がそれに付き合っても不利なので、相手に横綱相撲を取らせないために何とか二本持ち合っていない状況を作り出し、一瞬の隙を突いて技を極める。

上の動画からは、そういった戦略的意図も垣間見られます。

 

 

 

最後に補足ですが、上記はあくまで試合の戦略として「大きい相手に対しては二本持たない事が有効であり得る」という話であり、柔道の地力向上を目的とする場合には、大きい相手と敢えてガッチリ組み合って稽古するといった事も大切だと考えます。

とりあえず、あまり計画も立てずにブログを始めてみました。

 

一応、柔道経験の無い方にも興味を持ってもらえるような内容にしたい、との思惑はありますが、かと言って漫然と柔道の魅力を列挙しても、読んでいて面白味が無い気もしますので、多少マニアックな路線で行きたいと考えます。

 

理想としては「細かすぎて伝わらないモノマネ」的な、よく分かんないけど面白そう、という感じの微妙なラインを狙って行きたいです。

 

 

なお、小生、競技実績は無きに等しいので、技術論に関しては間違った事を申す可能性が大いにある旨、ご承知おきください(可能な限り、経験や学んできた内容に基づき、正しいと思われる内容を書くように致します)。