映画感想 インド発復讐のバイオレンス「KILL 超覚醒」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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インド製のアクション映画で、めずらしく歌も踊りもありません。
怨みと復讐の連鎖を描いたバイオレンス・アクションで
ハリウッドリメイクも決まっているそうです。

特殊部隊員の軍人アムリトは、トゥリカと相思相愛の仲です。
ところがトゥリカは、高名な実業家である父バルデフに勝手に婚約相手を決められてしまいました。
アムリトはトゥリカを追って、戦友ヴィレシュとともに彼女とその家族が乗る特急列車に乗り込みますが、
その列車が強盗集団の襲撃を受けてしまいます。

とまあスティーヴン・セガールが主演した「暴走特急」(1995)のインド版かなくらいに考えて見ていると、ストーリーはどんどんエスカレートしていって、かなり濃い内容になっていました。

強盗団の中でも特に凶悪なファニは、バルデフ一族を見つけ身代金で大もうけできると喜びます。
アムリトはトゥリカを守るため戦いを開始しますが、
ファニは列車の屋根を伝わって移動し、
アムリトがかくまっていたトゥリカたちを捕らえてしまいました。

一方、強盗団には驚異的な体力とパンチ力を持つ男シッディがいて、
さすがのアムリトも圧倒されてしまいます。
アムリトが意識を失いかけたとき、
彼に助けを求めようとしたトゥリカがファニに惨殺されてしまいました。

目の前で愛する者を殺されたアムリトは覚醒して立ちあがり再び戦いを開始、
容赦なく敵を倒してとどめを刺していきます。

強盗団は一族郎党で構成されていて、総勢40人という大所帯、
誰か殺られるたびに「親父~」とか「叔父貴~」とかなるので大騒ぎです。
一族のリーダー格ベニは、バルデフを敵に回したらまずいので皆殺しにしようとか、
やっぱり逃げようとか、判断が迷走し、ファニの暴走を止めることができません。

鬼神の如くなった主人公の活躍が見ものでした。
ハリウッド映画のスマートさはないので、
スカッとする作品ではありませんが、
見ごたえのあるアクションの連続です。

再び倒されかけたアムリトが、親友の死で再覚醒という終盤の展開は、
しつこく感じられてしまい無くてよかった気がしました。
襲撃開始時、トイレに行っていたため孤立したトゥリカの妹アハナが無事救出されるのかというエピソードもありますが、
それほどハラハラする展開がなかったのでシナリオにもうひと工夫ほしかったところです。
覚醒したアムリトでさえ倒せないシッディを誰が倒すのか、
という部分は楽しめました。

ラストはトゥリカの思い出とともに生きていくアムリトの姿なのか、
それともアムリトの命がついに燃え尽きて天国で結ばれた姿なのか、
見る者の判断に任せる描写になっていました。
実はアムリトはシッディとの戦いですでに死んでいて、
トゥリカの魂と融合して覚醒し復讐を成し遂げたという見方もあると思います。