映画感想 ミッキーマウス・ホラー「SCREAM BOAT スクリームボート」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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ミッキーマウスのデビュー作となったアニメ「蒸気船ウィリー」(1928)のホラー版で、
「プー あくまのくまさん」(2023)の成功以降急激に増えた
著作権切れ作品を勝手に使ったホラーの1作です。
製作・監督のスティーヴン・ラモルテの出世作はグリンチのホラー版らしいので
「~あくまのくまさん」スタッフと同じ穴のムジナということなのでしょう。
ちなみに今回のキャッチコピーで
この手の作品をパブリックドメインホラーと呼ぶようになったらしいことを初めて知りました。

ちなみに「蒸気船ウィリー」のパクリホラーは5作品以上作られていて、
日本でもすでに「マッド・マウス ミッキーとミニー」(2024)が公開済みです。
単にミッキーマウスのキャラクターだけ利用していた「マッド・マウス~」に比べれば
本作はオリジナルのパロディー化に工夫が感じられはしました。

舞台となるのはニューヨーク湾の本州とスタテン島をつなぐフェリー、
冒頭で90年間閉じ込められていたウィリーが解き放たれます。
蒸気船の時代から船体を再利用していたという説明には説得力のかけらもありませんが、
目くじら立てるほどのこともないでしょう。
続くフェリーに5人のパーティピーポーがはしゃぎながら乗船してくる場面で、
ああこの作品はおバカ映画だったんだと納得させられました。

メインとなるのは夢をあきらめて郷に帰ろうかと悩んでるセレナ、フェリーの乗組員ピート、
救命士のアンバーです。
ただこれらキャラクターの中途半端にまじめなエピソードは全体から見ると浮いて感じられました。
セレナはクライマックスでおバカ魂にめざめて似合わないコスプレを披露したりしますが。

深夜便とはいえフェリーはそれなりの人数が乗っているので、
非難した地下の船室でまとめて感電死させて一気に登場人物を絞り込む荒業を見せてくれました。
このあたりはなかなかの手際です。

ストーリーはあってないようなもので、
見せ場となるのはウィリーによる惨殺ゴア描写とゆるいおバカギャグなのですが、
全体的にグダグダな印象になってしまったのが残念です。
ゴア描写のほうはけっこう取り揃えてありました。
さすがはR15+レート指定作です。

個人的には小さくて邪悪なイタズラ者という設定と顔の造形から「レプリコーン」シリーズ(1992~)に近い印象を受けました。