佐伯日菜子as最強の黒井ミサ「エコエコアザラク第1話;黒魔術の少女」 | 隅の老人の部屋

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製作年;1997
監督;清水厚
脚本;小中千昭
出演者;佐伯日菜子、北川悠仁、三田あいり

(ネタバレあり)

スマッシュヒットとなって続編も作られた「エコエコアザラク」(1995)。
この2作で黒井ミサを演じた吉野公佳を引き継ぐ形でテレビドラマ版で主演したのが佐伯日菜子でした。

レトロなタイプのセーラー服に身を包み、
手にはドクターズバッグと呼ばれる大型カバンを提げた黒井ミサ(佐伯日菜子)が、とある街にやって来た。
その脳裏には校舎から首吊り状態でぶら下がる男子生徒や体育館の床に倒れる女子生徒の姿がフラッシュバックしている。

真夜中の私立聖ヶ丘高校。
息を切らせながら一人の男子生徒が階段を駆け上っている。
見下ろすと階下には怪しい人影がゆらめく。
屋上に達した生徒は何者かに足首をつかまれて転倒した。
恐怖に叫び声をあげる。怪しい人影が迫っていた。

いつもと変わらない登校風景。
棟丘丈人(北川悠仁)始まる聖ヶ丘高校のものとは違う古風なセーラー服を着た黒井ミサが気になっていた。
「黒井さんて、いつからうちのクラスにいたんだっけ」丈人は声をかけてきた待井博美(三田あいり)にたずねる。
「ええと、夏休みの後でしょう」あいまいな答えだった。
丈人は記憶があやふやになっていることを感じた。

柳郁夫(小林正苦)も加わり、3人で学校に着くと、
校庭の一部にバリケードが張られ警備員が立っていた。
昨夜、3年生が飛び降りたのだという。これで3人目だ。
バリケードの中に入り込み植え込みを調べていたミサが、警備員に注意されているのが見えた。

ホームルームが始まり、担任教師が自殺について話している。
丈人は、ミサがノートに何かを書き込んでいることに気づく。
丈人には見覚えがあった。記憶をたどっていく。

休憩時間、丈人は廊下の壁に同じ書き込みを見つける。
一ヵ所だけではない。体育館の壇の側面にも2ヵ所あった。
思い当たった丈人は無人となったバリケードの中を調べる。
石だたみの一つにも同じ書き込みがあった。

「これがなんだか知っているな」放課後、丈人は書き込みを写したメモをミサに突きつける。
「サトールの方陣」ミサはこともなげに答えた。
「これが学校中に落書きされてるんだ。黒井が書いているのか」
丈人の言葉にミサは怪しい笑みを浮かべる。
「落書きなんて学校だったら、どこにもあるものでしょ」立ち上がったミサは窓から遠くを見つめる。「どこだって、いつだって、そうだったわ」

日が暮れて教室を出た一人の女生徒が何かに気づく。
「私、こんなことになるなんて思ってなかったの」女生徒は叫んで廊下を走りだす。
突然、昨夜と同じ人影が現れた。
叫ぶ女生徒は見えない力によって廊下を引きずられ制服を引きちぎられる。
断末魔の叫びが校舎に響く。
やがて、襲われた女生徒は血まみれになって教室で息絶えていた。

翌日、緊急の職員会議が行われ、授業は自習となる。
昨夜死んだのは博美のバスケの先輩だった。
絶対に自殺するような人ではなかったという。
博美は学校が呪われているのではないかと言い出す。
死んだ4人の共通点は、博美にも心当たりがない。
クラブも別なはずだ。
放課後、丈人と博美は3年生にも聞いてみるが、4人の関係は分からない。

博美との会話の中から、丈人は入学以前に関係があったのではないかと思い当たる。
丈人は担任教師を説得して生徒の身上資料を閲覧、死んだ4人が同じ中学の出身だったことを知る。
担任教師の話によると、この中学出身で死んだのは5人。
夏休み前にも一人自殺していた。高山という生徒だった。
しかし、この生徒の資料は帳簿からやぶり取られていた。
残った切れ端にはサトールの方陣が書かれていた痕跡がある。
この中学の出身者にはもう一人、通学拒否で引きこもっている田中という生徒がいた。

ミサはカバンを落としてひっくり返してしまう。
「何だこれ」丈人はこぼれ出た短剣を拾い上げる。
「ロータスの剣(つるぎ)」ミサは答える。
「なにに使うの」
「生贄の血を捧げる儀式」こともなげに言う。
「冗談だよな」
「うん。ありがとう」ミサは短剣を取り上げカバンにしまう。

立ち去ったミサと入れ替わりに博美が話しかけてきた。
ミサの転校時期についてだ。
先日の会話から考えていたが、ミサが来たときの記憶は博美もあいまいなのだという。
丈人も、ミサがいつの間にか、自然にこのクラスにいた気がしていた。

郁夫も含めた3人で田中の家を訪問して最初に死んだ高山について聞く。
「あいつは死んでないよ」田中は話す。「あいつは確かに屋上から飛び降りた。でも死んでないんだ。いまでもあの学校にいるんだ」
田中の妙な言葉に顔を見あわせる丈人と博美。
「だから俺は行かないんだ」それが引きこもりの原因だった。
高山の自殺の原因は中学時代のいじめが原因だったという。
田中は、高山が3年間復讐の方法をずっと考え続けていたのだと思っている。
中学時代からオカルトマニアだったという高山は、サトールの方陣を知っていてもおかしくなかった。

丈人たち3人は学校に書かれたサトールの方陣を拭き消すことにする。
全て消し終わって博美がトイレに行くと個室の奥の壁にサトールの方陣が書かれていた。
博美はバケツで水をかけ方陣を消す。
ようやく消し終わって一息ついた博美が物音に気づいて見上げると、
トイレに仕切りの上から高山がのぞき込んでいる。

博美が丈人と郁夫のいる体育館に逃げ戻ると、高山が宙から忽然と現れた。
「方陣は全て消したはずだ。お前はもう死んでいるんだ。人を道ずれにするな」丈人が叫ぶ。
高山が襲いかかろうとしたとき、その足元にロータスの剣が突き刺さった。
「エコエコアザラク、エコエコザメラク」壇上に立つミサが呪文を唱える。
「黒井、お前が呼び出したのか。方陣は全部消したはずなのに」丈人はミサを疑っていた。
「ひどい勘違いだ。こいつは亡霊なんかじゃない」言い放ってミサは床に飛び降りる。「半端な知識で呼び出されてしまった下級の悪魔」

ミサは悪魔の名を呼び悪魔を従わせようとするが、悪魔は従わない。
悪魔はミサに襲いかかり首を絞める。
博美が床に刺さったロータスの剣を抜く。
ミサは悪魔を倒すにはサトールの方陣が必要だと叫ぶ。
丈人はポケットに以前書いたメモが残っていることを思い出す。
メモを床に置くよう指示してミサは呪文を唱える。


方陣が光を放ち、悪魔が苦悶を始めた。

丈人は床を滑らせてロータスの剣をミサに渡す。


「地獄へお帰り」解放されたミサが悪魔の脳天にロータスの剣を突き立てる。
悪魔ははじけるように液体となって滅びた。

「黒井、君は何なんだ」丈人の問いにミサは初めてほがらかな笑顔を見せる。
「魔女なんかじゃないからね」そう言ってミサは立ち去ろうとする。
「もうこの学校いなくなっちゃうの」
「私はこの学校の生徒の一人よ」丈人の問いに答えて去っていくミサの脳裏にエコエコアザラクの呪文が浮かぶのだった。

テレビシリーズ第1話では黒井ミサは謎の存在として描かれ、
クラスメイトが事件の謎を追うミステリー調の展開になっています。
クライマックスではミサがやや不用意でピンチに陥るのがご愛嬌ですが、
瞬殺ではドラマとして盛り上がらないということなのでしょう。
低予算の深夜ドラマですが、けっこう濃い内容になっていて高視聴率だったことも理解できます。

歴代の黒井ミサの中でも神秘的な雰囲気を持つ佐伯日菜子が一番似合っていた気がします。
わりと最近のヴァラエティ番組で佐伯日菜子が「らせん」(1998)の貞子役が成功してからオファーがホラー作品ばかりになったという話をしていましたが、
やっぱりこの作品による下積みがあってこそだったのではないでしょうか。

 

 

「エコエコアザラク」の新作が製作されて、敵対する魔女役を佐伯日菜子演じたりしてくれたらうれしいですね。

DVDソフトはデッキを買ってすぐに購入した懐かしいものですが、
画像が現在のワイドテレビでは拡大表示しなければならないレターボックス式の収録で
メニューもないというスペック的には最低な出来です。
ぜひ4Kレストアでスクイーズ収録のブルーレイを発売してほしいところです。

 

 

 

ゲストの三田あいりはSFパロディドラマ「スターぼうず」(2000)の上官役が印象的でした。
内容的には敵キャラとかがスターウォーズよりもガンダム寄りだった気がします。
円谷英二生誕100年記念作品をうたって製作されましたが、
大人の事情からかVHSビデオ以外のソフト発売がありません。
こちらも円盤化してほしい作品の一つです。