製作年;2007
監督;デヴィッド・ベヌロ
脚本;デヴィッド・ベヌロ
音楽;ニール・アクリー
出演者;ジェイミー・アレクサンダー、ブライアン・マクナマラ、イーサン・フィリップス、クロエ・グレース・モレッツ
(ネタバレあり)
子役時代のクロエ・グレース・モレッツが「キック・アス」(2010)以前に出演したビデオスルーのホラー作品です。
1890年、アメリカの片田舎にあるホープという町で生贄の儀式が行われていた。
十字架に磔(はりつけ)られた男は命乞いするが、牧師と信者たちは無視して祈り続ける。
周囲には過去の生贄の死体と十字架が、トウモロコシ畑のあちこちに立っているのだった。
現在、ドライブ旅行していたリズ(ジェイミー・アレクサンダー)の車が故障してしまう。
なんとかホープの街に辿りついたリズはガソリンスタンドで修理を依頼する。
両親と旅行しているぬいぐるみを抱えた少女(クロエ・グレース・モレッツ)が手を振ってきた。
車を預けたリズがダイナー入ると、カウンターにいた女が向かいに席に移動して話しかけてくる。
女はサラといい、この街に昔いた狂信的な牧師ハサウェイについて調べているタブロイド紙の記者だった。
ハサウェイ牧師は悪魔から収穫を守るため生贄が必要だと唱え、罪人を生きたまま磔の案山子にした。
逃げ出した少女が近隣の町に訴えたことから事件が発覚し、ハサウェイ牧師はリンチにあい磔にされ火で焼かれた。
だが、炎はハサウェイ牧師の魂を解放したので、彼はいつか蘇ると言い伝えられている。
サラに誘われたリズはトウモロコシ畑に同行する。
スクープになりそうな物が無いと、二人は十字架と案山子を作ってしまう。
案山子を磔にして立たせ、サラが写真に撮る。
その間に周辺を散策していたリズは、ガソリンスタンドで見た少女が持っていたぬいぐるみを拾う。
写真を撮り終えたサラがリズを呼ぼうとしたとき、案山子が襲いかかってきた。
サラの頭を木材から突き出た釘に突き刺す。
戻ってきたリズは、サラの死体が磔にされているのを見つけた。
リズも案山子男に襲われ、なんとか逃げ出してパトカーを見つける。
話を聞いた警官があたりの様子をうかがっていると、背後から案山子男に鋤(すき)で刺し殺されてしまう。
さらに案山子男はパトカーのフロントガラスに鋤を突き立てる。
リズはパトカーを発信させてなんとか逃れた。
保安官事務所に逃げ込んだリズは事情を説明。
オコーナー保安官(ブライアン・マクナマラ)が武装して出動する。
残った若い保安官も、無線の応答がないことから出動、残されたリズはショットガンに弾を込めて待機する。
そこに案山子男が襲撃してきた。ショットガンで撃っても倒すことができない。
リズは事務所から逃げて教会に駆け込み牧師(イーサン・フィリップス)に助けを求める。
だが、牧師こそカルト集団のリーダーだった。
一味はハサウェイ牧師の復活を企んでいる。
そこにオコーナー保安官が駆けつけ、威嚇射撃してリズを救出した。
二人はパトカーで逃げるが、追ってきた車両に追突され、パトカーは畑に突っ込んでしまう。
若い保安官もカルト集団の一員だった。
二人は捕まってしまう。
そこに案山子男が現れ、信者たちはひれ伏す。
殴られて気絶したリズが目を覚ますとベッドの上だった。
ハサウェイ牧師の生まれ変わりを妊娠させると言って牧師が襲いかかってくる。
リズは枕を牧師の顔に押しつけて窒息死させ、窓に張られた板を蹴破って逃げ出す。
トウモロコシ畑を逃げるリズは、いつしか土蔵のようなシェルターに入り込んでいた。
そこにはガソリンスタンドで見た少女・サブリナが隠れていた。
両親は殺されてしまったが、サブリナは父親のおかげで逃げることができたのだ。
リズはサブリナに隠れているよう言いつけると、助けを求めに町へ向かう。
町には人気がなく、公衆電話は回線が切られていた。保安官事務所の電話も使えない。
事務所の中では他の保安官たちが殺されていた。
そこにオコーナー保安官が戻ってきた。安堵するリズ。
リズはサブリナのことを話し、助けに行こうとする。
だが、保安官の様子がおかしい。彼はすでに体を乗っ取られていた。
リズはパトカーを飛び出し、逃げようとするが捕まってしまう。
リズが処女でないことを知った保安官は、狙いをサブリナに変えていた。
信者がシェルターを見つけるが、リズの叫び声を聞きつけたサブリナはすでに逃げ出していた。
サブリナはリズに渡されていたライターで教会に火を放つ。
燃え上がる教会。カウチのイスに座ったまま動かなくなっていた案山子男も燃えていく。
騒ぎに乗じてリズも逃げ出す。
サブリナを見つけた保安官が銃を向けるが、リズが背後から飛びついて防いだ。
保安官は暴れながら発砲し、次々と信者たちが倒れていく。
リズを投げ飛ばした保安官は引き金を引くが弾が尽きていた。
ハンマーで襲いかかってくる保安官をリズは鋤で貫く。
生き残った信者たちが集まって来たので、リズとサブリナは逃げ出す。
信者たちは保安官の死体を燃え盛る教会に投げ込んだ。
夜が明けリズとサブリナはトウモロコシ畑を走り続ける。
サブリナは磔にされた父親を見つけた。
死んでいたはずの父親が目を開け、サブリナに語りかける。
リズは這いよったツタに絡まれ身動きできなくなった。
いける死体となった父親は、打ちつけられた釘を強引に引き抜いて地面に降り立つ。
一瞬喜ぶサブリナだが、父親の手のひらに突き刺さった釘を見てたじろぐ。
サブリナに迫ろうとした父親は、シェルターの天井を踏み抜いて落下してしまう。
その時、空にカラスの大群が現れた。
カラスが父親に襲いかかる。
別の場所では信者たちもカラスの襲撃に、次々と倒れていく。
ようやくツタを抜け出したリズはサブリナと抱き合う。
町もトウモロコシ畑も死体だらけになっていた。
リズとサブリナは、通りかかったトラックに乗せてもらい、ハッピーの街を去っていく。
その頃、シェルターに倒れていた父親の死体が再び動き出すのだった。
クロエ・グレース・モレッツは、ブレイク前なので冒頭だけの出演かと思いきや、
後半は大活躍でさすがは名子役という印象です。
主演のジェイミー・アレクサンダーはドラマ「ブラインドスポット タトゥーの女」(2015~)が代表作で、
マーベルの「マイティ・ソー」シリーズにもレギュラー出演していました。
監督・脚本のデヴィッド・ベヌロはジャッキー・チェンが主演した「80デイズ」(2004)の脚本に参加しています。
内容的には明らかに1984年に始まったスティーヴン・キングの「チルドレン・オブ・ザ・コーン」シリーズの影響を受けています。
なぜトウモロコシ畑の地下に町の住民も知らないシェルターがあるのかとか、
クライマックスの唐突なカラスの大群は何だったのかとか、
理解不能な部分もありますが、
全体的にテンポも悪くないし演技もわりとちゃんとした俳優が揃っているので、
ビデオスルーの低予算作品としてはそれほど悪くない出来だと思いました。
途中から案山子男が身動きしなくなってしまうのは、
牧師、保安官、サブリナの父親と次々乗り移る相手を変えていくことを表現しているのだと思います。