映画感想 菅野美穂主演ホラー「近畿地方のある場所について」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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菅野美穂はテレビドラマ初期の代表作がホラーとはいえないまでもファンタジー色の強い「イグアナの娘」(1996)、
映画では準主役の「エコエコアザラク -WIZARD OF DARKNESS」(19995)を経て、
伊藤潤二原作の「富江」(1999)ではタイトルロールを演じ、
「催眠」(1999)でもヒロイン役で、
ホラークイーンと呼ばれてもおかしくない活躍でした。
そんな菅野美穂久々の本格ホラー作品として期待が高まる作品です。

 

 

 

オカルト雑誌の編集者が突然失踪し、
秘密に取り組んでいた記事の内容を、
若手編集者・小沢悠生(赤楚衛二)とベテランフリーライター・瀬野千紘(菅野美穂)が探っていきます。

序盤は残された動画を二人が確認していく展開で、
短い心霊現象の動画が次々と再生されていきます。
フェイク・ドキュメンタリー手法を用いたホラーを得意とした白石晃士だけあって
なかなか怖い動画がそろっていました。

作品全体もドキュメンタリー・タッチで出来ていて、
主人公二人以外は有名俳優を起用しないキャスティングが効果を上げています。

中盤からは動画の共通点が見つかっていく探偵趣味的な魅力とともに、
小沢が憑かれた状態になったり、
瀬野の過去が明かされたりしてドラマ的にも盛り上がっていきます。
原作者が協力しているだけあってなかなか完成度の高い脚本と感じました。

終盤は二人が”ある場所”を突き止めるべく近畿地方に向かいますが、
クライマックスにはクトゥルフ神話を連想させる描写もあって
個人的にはものすごく楽しめました。

入場特典として原作者の書下ろし短編が読めるようになっています。
短編というよりショートショートくらいのボリュームで
小説というより失踪した編集者が残した資料と書き込みという内容で、
やっぱりクトゥルフ神話指向があるんじゃないかと思わせる部分があって興味深いものでした。