原題;THE MUNSTERS
製作年;2022
監督;ロブ・ゾンビ
脚本;ロブ・ゾンビ
音楽;ゼウス
出演者;シェリ・ムーン・ゾンビ、ジェフ・ダニエル・フィリップス、ダニエル・ローバック、リチャード・ブレイク
(ネタバレあり)
ロックミュージシャンにしてホラー映画監督のロブ・ゾンビによるリメイク作で、
ハーマンの誕生からリリーとの結婚、ハリウッドのモッキンバードハイツに移住するまでを描いた、いわゆるエピソードゼロ物になっています。
ですから息子のエディと姪のマリリンは登場しません。
孫がいないのでおじいちゃん(グランパ)も伯爵という呼び名になっています。
ロブ・ゾンビ監督作品はこれまでR15以上の指定を受けていましたが、
今回はテレビのシットコム・コメディ・リメイクとあってPG指定となっています。
「マンスターズ」の登場人物設定等につきましては当ブログの記事「ホラーコメディ「マンスターズ」の思い出」を参照ください。
マッドサイエンティストのウルフガング博士(リチャード・ブレイク)と助手のフループ(ジョージ・ガルシア)が墓荒しのため墓地の霊廟に忍び込む。
高名なピアニスト、フランツ・ペニーワッカーの死体から手と脳を盗んで、人造人間を造ろうというのだ。
ところが棺はカラ、そこにゾンビ化して徘徊していたペニーワッカーが襲ってきた。
二人はペニーワッカーの脳天を攻撃して何とか動きを止めるが、別の脳を探さなければならなくなる。
一方、ヴァンパイア族名門の令嬢リリー(シェリ・ムーン・ゾンビ)はノスフェラトゥ・タイプの吸血鬼オーロックとお見合いデートをしていた。
ネズミ好きということで意気投合し、オーロックはペットのネズミの写真を見せたりする。
怪しげなジプシーの老婆ゾーヤ(カトリーヌ・シェル)が、リリーの義兄にあたる息子で狼男のレスターを呼び寄せる。
ゾーヤは元夫である伯爵(ダニエル・ローバック)への復讐を企んでおり、カジノで借金を作ったレスターを利用しようというのだ。
伯爵のトランシルバニア城を売り払い、カジノを建設する計画を立てていた。
ゾーヤは、レスターに伯爵へ電話をかけさせるが、レスターを見限っている伯爵は話も聞かずに切ってしまう。
食事を終えたオーロックは、リリーにサプライズを用意したと言う。
それは自分のさえないディスコダンスだった。
あきれ果てたリリーは、自己陶酔して踊り狂うオーロックを置いて足早に立ち去るのだった。
ウルフガング博士は、死亡が報道された世界的に有名な天体物理学者シェリー・ヴァン・ラスボーンの脳に目をつけ、
フループに盗んでくるよう命じる。
だが、フループは間違えて同日に死んだ売れないコメディアン、シャッキー・ヴァン・ラスボーンの脳を盗んでしまう。
雷鳴がとどろく中、ウルフガング博士は人造人間に命を吹き込む実験を開始。
人造人間が動かず、実験は失敗かと思えた。
博士が嘆いていると人造人間が動き出す。
リリーと伯爵が朝食をとりながら、昨日のデートや城を売りたがっているレスターのことを話している。
テレビではトークショーが放送され、ゲスト出演したウルフガング博士が、人造人間の創造に成功した自慢話を披露していた。
映しだされた人造人間の姿に、リリーは一目ぼれしてしまう。
博士は人造人間に話をさせようとする。
学者の知的な会話を期待したのだが、
脳が売れないコメディアンなのでベタなギャグを発したうえ踊り始めてしまった。
それを見た伯爵はあきれるが、リリーには大うけだった。
テレビ出演で恥をかいたウルフガング博士は破滅だと嘆く。
人造人間の、自分は手品やジャグリングもできるという言葉が追い打ちをかけた。
博士は人造人間を見限り、フループが面倒を見ることになった。
フループはかって飼っていた蜘蛛の名にちなんで、人造人間をハーマン・マンスターと名付ける。
ハーマンは、フループをマネージャーにしてパンクロッカーになり、ステージに立っていた。
それはゾーヤの店で、レスターの案内でリリーが来店する。
そのころハーマンとフループは、未来の展望で意見が食い違っていた。
ハーマンは真実の愛を求めるようになっていたのだ。
ハーマンは楽屋を訪ねてきたリリーにに一目ぼれ、城でのディナーに招かれて有頂天になる。
後日、花束を手にウキウキとやって来たハーマンを伯爵が迎え入れる。
リリーを吸血鬼と結婚させたい伯爵は機嫌が悪い。
ハーマンとリリーはデートを重ねる。
半魚人のギルバートおじさんと出会って、三人でレストランに行ったり、カウチで「大アマゾンの半魚人」を見たりする。
ピクニックに行った悪魔島でハーマンは、リリーにプロポーズした。
伯爵はハーマンとの結婚を妨害しようと、召使のイゴールが止めるのも聞かず、魔導書をひもとく。
リリーにふさわしい結婚相手を召喚する秘薬を作ろうというのだ。
だが、秘薬で現れたのはチンパンジーだった。
材料の一つ、ターザンの胸毛と間違えてチータの毛を使ってしまったのだ。
ハーマンとリリーは、カラスが鳴く墓地で結婚式を挙げる。
レスターがやってきてハーマンをだまし、城の権利書にサインさせてしまう。
ブリキ人形の牧師の前で指輪が交換される。
伯爵はこの結婚に異議を唱えようとするが、リリーの魔力に操られてしまい賛成させられた。
レスターはゾーヤに権利書を渡す。見返りはわずかな金額だった。
レスターは、この金をラスヴェガスで増やすと言って旅立っていく。
ハーマンとリリーの新婚旅行先はパリだった。
ハーマンの姿を見て逃げ出す者もいたが、二人は気にしない。
ひろった新聞でパリに謎の大型爬虫類が出没していることを知った二人は、パリ地下水路の探検におもむく。
ハーマンは、この爬虫類の捕獲に成功し、スポットと名付けてホテルのバスタブに入れる。
このスポットは、テレビシリーズ中でもシルエットや尻尾のみでしか登場せず、全身が描かれることはありませんでした。
火を吹いたりすることからドラゴンと推察されます。
そこにゾーラからの立ち退き要請を受けた伯爵がやって来る。義理の息子のしくじりに激怒していた。
トランシルヴァニアに戻ったリリーは弁護士に連絡するが対策はなかった。
一方、テレビでゾンホというホラーメイクのコメディアンを見たハーマンは、自分もハリウッドに行けば成功できると言い出す。
さすがのリリーも故郷を離れることには戸惑うが、結局ハーマンの意見を受け入れる。
ハーマンたち三人はハリウッドの不動産業者バーバラ・カー(カサンドラ・ピーターソン)に家探しを依頼して旅立つ。
到着したのはハロウィン当日だった。バーバラも魔女のコスプレをしている。
早速、物件を見に行くことになった。
街ゆく人々もホラーのコスプレで、ハーマンたちはなんて良い町なんだと大喜び。
バーバラは、しゃれてきれいな家を紹介する。
しかし三人は朽ちて荒れ果てた屋敷を見つけて気に入ってしまう。
2年間買い手がつかない事故物件なのだが、三人はバーバラが売り惜しみしていると考えて、この屋敷に決める。
理想の住処が見つかったが一家は破産状態、ハーマンはルックスを生かした仕事を探すと言う。
その夜は街をあげてのハロウィンパーティ、ホラーメイクした集団に三人は大盛り上がり。
ハーマンたちを見事な仮装と思い込んだ街の人々は、三人をハロウィンパーティのチャンピオンに選出する。
ハロウィンを知らないハーマンはビューティコンテストに優勝したかとかと勘違い、とにかく賞金1500ドルをもらうことができた。
ハーマンが求職中と聞きつけた三人の男が声をかけてくる。
彼らは葬儀屋で、大きな死体でも運べるパワフルな人材を探していたのだ。
夜が明けて街の人々は、のどかな日常を取り戻していた。
早速葬儀屋に出勤しようと表に出たハーマンは、一変した街の様子に戦慄して屋敷に逃げ帰る。
表はフリークショーだとわめくハーマン。
最初は信じなかったリリーと伯爵も、街の変わりように震え上がる。
ノックの音がして、リリーが意を決して出てみると、そこにいたのはレスターだった。
レスターはラスヴェガスで大もうけしたので分け前をくれるという。
渡された小切手を見た三人は、自分たちが大金持ちになったことを知って大喜びするのだった。
Wikiによればロブ・ゾンビ監督は昔からの「マンスターズ」ファンで、当初はリスペクトをこめて、この作品をモノクロで撮りたがったそうです。
プロダクションに反対されて断念したとのことですが、
モノクロだと序盤がメル・ブルックス監督の名作「ヤング・フランケンシュタイン」(1974)に似てきてしまうので、結果的には正解だった気がします。
わりと良くまとまっていると感じたのですが、評価は賛否両論とのことで、本記事作成時点でIMDbの得点も4.5とやや低めです。
オリジナルのテレビシリーズと整合しない部分があるからかもしれません。
特に違うのがハーマンの生い立ちで、テレビシリーズでは英国のマンスター家に養子として迎え入れられて成長したことになっています。
姪のマリリンはマンスター家の血筋という設定なので、
もし今回の作品に続編が作られても登場できないことになります。
奥さんのシェリ・ムーン・ゾンビをはじめ、メインキャストはロブ・ゾンビ映画の常連で固められていますが、マニアックな俳優のゲスト出演もあります。
一人目はゾーヤ役のカトリーヌ・シェルで、「スペース1999」(1973~)の第2シーズンでサイコン星の王女マヤを演じました。
もう一人はバーバラ役のカサンドラ・ピーターソンで、ホラー映画放送番組のホストとして演じたエルヴァイラ役で大ブレイクを果たしカルト的人気を誇っています。