映画感想 迫真のドールホラー「ドールハウス」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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矢口史靖監督久々の新作は本格ホラーでした。
矢口史靖監督作品はテーマに関わらずユーモラスな味付けがなされていることが多いのですが、
今回は謎と恐怖に徹底しています。

 

 

事故で娘を亡くしたヒロインは心を病んでしまいますが
青空市で見つけた日本人形を娘代わりにすることで心のバランスを取り戻していきます。


序盤における長澤まさみの心を病んでやつれた演技が見事で
人形によって快活さを取り戻す描写を見てほっとさせられました。
その分中盤からの恐怖感が盛り上がっていて作劇の上手さを感じます。

やがて二人目の娘が生まれ人形は押し入れにしまわれますが、
5歳になった娘が人形を見つけて愛玩し始めたことから事態が動き始めます。

 

 

このあたりから矢口監督のミステリアスな演出が冴えていて
はたして人形が異常なのか、それとも狂気と幻覚に襲われた母親の犯行なのかが
分からずハラハラさせられ、
人形の由来が明らかになっていく後半からラストまで一気に見せていきます。

B級ホラーには事件が連発しても警察が登場しなかったりして、
説得力をなくしている作品がありますが、
本作は警察や医療を巧みに織り込んでいるし、
演技力の高い配役の効果もあって、
ストーリーの迫真性が増しています。

人形のCTスキャンというアイデアは面白かったし、

その結果にも驚かされました。
めちゃくちゃ頼りになりそうな田中哲司演じる専門家がクライマックスであっさり離脱して
素人任せにしちゃうのはちょっと御都合主義な印象ではありますが。

タイトルにあるドールハウス=人形用のミニチュア模型は一切登場せず、
タイトルはヒロインの家庭そのものを指しているのだと思います。

余談ですがクレジットの後とかにオカルトレンジャーズの末路が描かれていたら
もっと満足度が上がった気がしました。