カルト的人気ホラー第1作・事件記者コルチャック/ナイト・ストーカー | 隅の老人の部屋

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原題;THE NIGHT STALKER
製作年;1971
監督;ジョン・リュウェリン・モクシー
脚本;リチャード・マシスン
音楽;ボブ・コバート
出演;ダレン・マクギャヴィン、サイモン・オークランド、キャロル・リンレー、クロード・エイキンス

(ネタバレあり)

「Ⅹファイル」の原点といわれるホラー・ドラマ「事件記者コルチャック」のパイロット版第1作です。
1970年代に放送されたTVムービーの中で最高視聴率の番組となったそうです。
「魔界記者コルチャック/ラス・ベガスの吸血鬼」というタイトルでもビデオリリースされました。

クラブのダンサー、シェリルがラスヴェガスの裏路地で襲われ、翌朝ゴミバケツに突っ込まれた死体となって発見される。
第一の犠牲者だった。

休暇を終えて職場に戻ったデイリーニュース社の事件記者カール・コルチャック(ダレン・マクギャヴィン)は、上司の編集長ヴィンチェンツォ(サイモン・オークランド)からこの事件の調査を命じられる。
シェリルの死体は血が抜かれた状態で発見されていた。

次の犠牲者はウエイトレスのボニーだった。
やはり血を失っていた。
さらにウエイトレスのキャロルがアパートの自室で殺害される。
ルームメイトの女性が眠っていたが、犯行は静かに行われ彼女が起こされることはなかった。
病院で保管されていた血液が盗まれるという事件も発生する。

郡庁舎で事件について記者会見が行われる。
出席者は保安官のウォーレン・ブッチャー(クロード・エイキンズ)、地方検事のトーマス・ペイン、ラスヴェガス警察のエドワード・マスターソン署長、FBI捜査官でコルチャックの旧友バーニー・シェンクス(ラルフ・ミーカー)、検視官のロバート・マーカージという顔ぶれだ。
ロバート医師の見解では、被害者は何らかの吸引装置で血が抜かれ、首筋の傷は中型犬の噛み傷に似ていた。
しかし傷口から検出されたのは人間の唾液であり、確かなのは大量の失血によるショック死ということだけだった。
盗難に関しては病院の看護士が冷蔵保管エリア付近に怪しい痩せた男がいたという目撃情報があった。
コルチャックは吸血鬼説をとなえるが、すぐに否定される。
そういう噂が広まればパニックを呼び、捜査や市民生活だけでなくビジネスにも影響が出るというのだ。
コルチャックが書いた「ラスヴェガスの吸血鬼」の記事はヴィンチェンツォによってボツとなる。

コルチャックがガールフレンドのゲイル・フォスター(キャロル・リンレー)と過ごしているとき、新たな事件の知らせが入る。
今回は目撃者がいた。
犠牲者はショーガールのマリー・ブランドン。
目撃者は母親で、娘がキスしていると思って見ていたら、突然倒れ込んだというのだ。
新聞には犯人の似顔絵が掲載された。

犯行は続き、次の犠牲者シェリー・フォーブスは番犬を連れていたが、
犯人は飛びかかる犬を一撃で殺し、彼女に襲いかかる。
シェリーは行方不明となった。

コルチャックは、情報源にしてる庁舎の交換手へレンから、目撃情報によって犯人の使っている車両が絞られてきたという情報を得る。

ゲイルが吸血鬼に関する書物を集めてきた。
コルチャックは、吸血鬼が十字架に弱く、太陽光にさらすか心臓に杭を打ち込むことによって滅ぼせることを知る。

犯人が病院に忍び込み、保管されている血液を盗もうとする。
看護士に発見されるが、集まってきた看護士たちを投げ飛ばして逃げ出す。
病院前には警官隊が駆けつけてきた。
犯人は警官たちの銃撃にもひるまず逃げ去った。

スコットランドヤードやインターポールからの情報により、容疑者がヤノス・スコルゼニイと判明した。
スコルゼニイはルーマニア出身で1899年生まれ、70歳を超える老人ということになる。
イギリス滞在時はポール・ベラスコ医師と名乗り、カナダ、アメリカと移り住んでいた。
スコルゼニイは、どの国でも殺人容疑をかけられている国際的な逃亡犯なのだという。

コルチャックは70歳以上の老人が、銃撃をものともせず、パトカーを追い抜くなんてありえないと、
吸血鬼説をとなえ続ける。
だが、誰一人としてコルチャックを支持する者はいなかった。
 

コルチャックは警察無線を盗聴して、スコルゼニイのステーションワゴンが発見されたことを知る。
スコルゼニイの車両をパトカーが取り囲む。
車外に出たスコルゼニイは、取り押さえようとする警官たちを投げ飛ばし、銃で撃たれても立ち上がって逃げ去った。

コルチャックは、十字架、木の杭、木づちをカバンに入れて持ち歩くようになっていた。
あきれ果てた議会のメンバーは、コルチャックが12時間以内に自説が正しいことを証明できなければ、ラスヴェガスから追放するという決定をする。。

コルチャックの情報屋がスコルゼニイの隠れ家を突き止めてきた。
コルチャックは、その家に忍び込み、冷蔵庫に保管された血液や変装道具、さらに土の盛られた棺を発見した。
証拠写真を撮るコルチャック。
行方不明のシェリーも囚われていた。
そこにスコルゼニイが戻って来る。
コルチャックは身を隠して様子をうかがうが、見つかってしまう。

コルチャックは十字架で威嚇する。
だが、階段で転倒し十字架を落としてしまい、吸血鬼に襲われる。
そこにFBI捜査官バーニーが駆けつけ、吸血鬼に飛びかかるが、怪力で簡単に倒されてしまう。
コルチャックはバーニーが落とした銃を拾って吸血鬼を撃つが、効果はない。

追いつめられたコルチャックが窓を覆っている暗幕をはがすと、すでに陽が昇っていた。
陽光を浴びて苦しむ吸血鬼。さらにバーニーが十字架で追いつめる。
コルチャックが吸血鬼の心臓に杭を打ち込みとどめを刺した。
そこにウォーレン保安官率いる警官隊が踏み込んできた。

コルチャックは事件の原稿を仕上げ、意気揚々とヴィンチェンツォに見せる。
しかし地方検事が、沈黙を守らなければ殺人容疑で逮捕すると脅してくる。
スコルゼニイは警官隊との銃撃戦で死亡したことにされ、コルチャックはラスヴェガスを追放された。
ゲイルも当局に脅されてラスヴェガスを去り消息を絶つ。
被害者の遺体は早急に火葬されたということだった。

テレビ用作品ということもあってショック描写は弱めですが、
当時の吸血鬼ホラーとしてはまずまずの出来だと思います。
ただコルチャックが序盤から犯人が吸血鬼であると断定しているのは説得力に欠ける気がします。
吸血鬼の退治法も知らなかったので、神秘主義者というわけでもないようですし。
序盤にコルチャックだけが犯人を吸血鬼と確信できる現場を目撃するという展開にすればよかった気がします

 

 

以降レギュラーとなるヴィンチェンツォ役のサイモン・オークランドは名バイプレイヤーで、
「ウエスト・サイド物語」(1961)のクラプキ巡査役が短い出番ながら印象的でした。
同じロバート・ワイズ監督作「砲艦サンパブロ」(1966)にも出演しています。

 

 

ゲイル役のキャロル・リンレーは「ポセイドン・アドベンチャー」(1972)の歌手役が有名です。(歌は吹き替えだったようですが)
H.P.ラヴクラフトの原作を犯罪サスペンスにアレンジした「太陽の爪あと」(1966)でも印象的でした。
何の役だか覚えてませんがZ級SFホラー「人喰いアメーバの恐怖2」(1972)にも出ていたようです。
劇場未公開のこの作品がテレビで放送されたときには、シリーズの前作「絶対の危機」(1958)で主演した
スティーヴ・マックィーンが今回も出ているというのをウリにしていましたが、
劇中のテレビ画面に「絶対の危機」が一瞬映るだけでした。

 

 

バーニー役のラルフ・ミーカーもバイプレイヤーですが主役を張ることもあって、
ミッキー・スピレーンの原作に異色のアレンジを加えた「キッスで殺せ」で演じたマイク・ハマー役が当たり役です。
ちなみにダレン・マクギャヴィンの代表作の一つもテレビシリーズ版「マイク・ハマー」(1958~)だったりします。

 

 

保安官役のクロード・エイキンズも数多くの映画やテレビドラマに出演した名バイプレイヤーで、
「リオ・ブラボー」(1959)や「西部開拓史」(1962)などに出ています。