戦争映画中 の三船敏郎! 2作品紹介 「太平洋の嵐」、「太平洋の翼」! 特撮物! | Old James Bond 通信

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―― 大学教授・宇賀神大介の熱血講義録!――

戦争映画中の三船敏郎!

 

「太平洋の嵐」(1960年)!

 

 

 

 

「太平洋の嵐」中の三船敏郎(山口司令官役)!

 

 

 三船敏郎の出演した戦争映画は、作品数も多いですが、ここでは

2作品のみをご紹介します。

 

 東宝映画、「太平洋の嵐」また「太平洋の翼」です。

 

 「太平洋の嵐」は、松林宗恵監督、円谷英二特技監督の作品。

 

 脚本は、橋本忍+国弘威雄。

 

 「太平洋の嵐」の正式な作品名は、「ハワイ・ミッドウエイ大海空戦

太平洋の嵐」です。

 

 ストーリーはまさしく題名の通りですが、ミッドウェイ海戦に重点が

大きく置かれています。

 

 ミッドウェイ海戦で、最後まで残り、奮闘した第二航空戦隊旗艦の

空母飛龍から眺めた視点です。

 

 松林監督は旧海軍出身ですから、リアリティ は十分にあります。

 

 ディテールでは奇妙な点が幾つもありますが、戦後たった15年で

よく 作ったと評価します。

 

 東宝はこの映画のため、砧(きぬた)撮影所に100m×100mの

巨大プールを造りました。

 

 私も、本作品で使用した実物大ゼロ戦模型を十分観察しましたが、

もろにベニヤ板でした。

 

 この映画のフィルムは、後年、「連合艦隊司令長官 山本五十六」

(1968年)、「連合艦隊」(1981年)で多く 流用されました。

 

 加えて、アメリカ映画「ミッドウェイ」(1976年)でも流用されており、それだけ出来が優れた作品であることを証明しています。

 

 

 

「太平洋の嵐」撮影風景!

 

※空母(航空母艦)飛龍の実物大オープンセット!

 

 

 この映画のストーリー構成は、松林監督お得意となる前半は勇壮、

後半は悲壮 といった展開です。

 

 前半の勇壮が、後半の悲壮感をはっきりさせます。

 

 その悲壮感たるや、半端ではありません。

 

 勇壮な「軍艦行進曲」、「敷島艦行進曲」が流れた後は‥‥。

 

 映画中では、三船敏郎は第二航空戦隊司令官、山口多聞少将の

役を好演しています。

 

 例によって、多少「老け役」です。

 

 三船が軍人を演じると、映画がグッと引き締まります。

 

 映画の終盤、沈んだ空母飛龍の艦橋では、山口司令官(三船)の

亡霊? の声がします。

 

「上手くいえんが‥‥、われわれは何かこう、とんでもない間違いを

犯したような気がするのだが‥‥」

 

 印象的なシーンです!

 

 松林監督 (橋本忍)の「反戦」のメッセージと受け取るべきでしょう。

 

 戦争映画 嫌いの方こそ、ぜひご覧ください!

 

 

 

「太平洋の嵐」予告編!

 

 

 

「太平洋の嵐」真珠湾攻撃シーン!

 

 

 

「太平洋の嵐」ミッドウェイ海戦シーン!

 

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

 

「太平洋の翼」(1963年)!

 

 

 

 

「太平洋の翼」中の三船敏郎(千田中佐役)!

 

 

 「太平洋の翼」も、松林宗恵監督、円谷英二特技監督の作品。

 

 脚本は、旧海軍航空隊出身の須崎勝彌。

 

 大東亜戦争(太平洋戦争)も末期、四国の松山に実在した旧海軍

第三四三航空隊(紫電改部隊)の活躍を描写した映画です。

 

 新鋭戦闘機、紫電改(紫電二一型)は、ゼロ戦(零式艦上戦闘機)

よりも図体、エンジンが一回り大きな戦闘機です。

 

 旧海軍も、ゼロ戦に代わる戦闘機をもっと早く開発し、投入すべき

だったと悔やみます。

 

 紫電改のスケールモデルを使った空戦シーンも、現在の CGでは

余り醸し出せない「味」です。

 

 映画の終盤、三四三空とは関係ない戦艦大和が登場します。

 

 私は「連合艦隊」中の 1/20スケールの戦艦大和の模型は見て

いますが、 本作の 1/15スケールの大和は見ていません。

 

 前者から察するに、後者もよく出来ているはずです。

 

 逆に、紫電改の編隊飛行の撮影に使った 紫電改の小さな模型を

た際は、余りにもチャチなので驚きました。

 

 

 

「太平洋の翼」撮影風景!

 

※1/15スケール(全長約18m)戦艦大和模型!

 

 

 この映画のストーリー構成も、松林監督お得意の前半勇壮、後半

悲壮という展開となっています。

 

 ただし、「太平洋の嵐」に比べて、大幅に娯楽性も加味されていて、

「太平洋の嵐」ほど戦史に忠実ではありません。

 

 特に、南方戦線各地から、紫電改の搭乗員が集結してくる逸話は、

冒険映画さながらです。

 

 「寅さん」の渥美清も、搭乗員役で「いい味」を出しています。

 

 この映画の中では、三船敏郎は 三四三空司令、千田中佐の役を

演じています。

 

 颯爽として渋い役柄です。

 

 千田中佐は、実在の源田実(實)大佐(後年、自衛隊 航空幕僚長、

参議院議員)がモデルです。

 

 私が シンクタンク研究員時代、その会社社長は 紫電改の搭乗員

でしたし、源田氏のご子息とも 同僚でした。

 

 映画の最後、漁船団が平和に船出する 場面に重ね、平和を祈る

千田中佐(三船)のナレーションが聞こえてきます。

 

「太平洋は平和であれ、その名のごとく‥‥」

 

 深く、胸に沁みます!

 

 ご紹介した2作品は、決して悲壮感だけで泣かせる戦争映画では

なく、勇壮は畢竟 悲壮という戦争の矛盾を問う映画です!

 

 さらに、失礼ながら、「平和ボケ」、「お花畑」などの方々にとっても、

有効な刺激剤になる映画です!!

 

 

 

「太平洋の翼」予告編!

 

 

 

「太平洋の翼」ティーザー予告!

 

 

 名優、三船敏郎を追想しながら‥‥!

 

 世界に戦争がなく、平和であらんことを!!

 

 

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 都合で、記事の投稿をしばらくお休みします!

 

 気が向いたら、投稿を再開します!!

 

 

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