「椿三十郎」と三船敏郎!
―― 痛快! 娯楽時代劇映画!――
映画「椿三十郎」ポスター!
「てめぇらのやるこたぁ、危なくて見ちゃいられねぇや!」
江戸時代も中期、とある藩の話‥‥。
大目付の菊井の他、藩幹部の汚職を摘発しようとする若侍たちを
手助けするはめになった、素浪人の「自称」三十郎。
若侍たちは、皆、危なっかしくて、頼りない。
菊井は、汚職を見抜いている城代家老に、汚職の罪を着せようと、城代家老を捕まえてしまう。
しかし、若侍たちには、城代家老を救い出す手立てがない。
ヘマを繰り返す 若侍たちであった。
そこで、三十郎は自ら敵中に入り込んでゆく。
三十郎の画策、機転によって、捕まった城代家老を無事に救出。
そして、最後は、三十郎と 菊井の懐(ふところ)刀、室戸半兵衛の
壮絶な果たし合い!
三十郎の「逆抜き不意討ち斬り」の刀身が、ギラッと光った!!
三十郎と室戸の果たし合いシーン!
※女性の方は、卒倒しないよう、よく お気を付けください!
いや~、痛快、痛快、面白い、実に面白い!!
三十郎が使う刀は、「同田貫」(どうだぬき)と呼ぶ剛剣で、居合刀
ならば私もそれを持っています。
「椿三十郎」は、「用心棒」(1961年)に続き、1962年公開された
黒澤明監督の作品です。
脚本は、菊島隆三+小國英雄+黒澤明の黒澤コンビ。
椿三十郎を演じた俳優は、「用心棒」の桑畑三十郎と同じく、名優、
三船敏郎!
室戸半兵衛を演じたのは、これも「用心棒」以来の仲代達矢!
黒澤監督一流のユーモアも、随所に見られます。
映画の終盤、椿の花がある役割を果たしますが、椿そのものには
深い意味はありません。
私は、「椿三十郎」が黒澤映画の最高傑作だと評価しています。
城代家老の家来がその後どうなったかなど、アラを探せば幾つか
あるものの、素直に楽しめる完成度の高い作品です。
終盤では、城代家老が捕まっている 黒藤(汚職の一味)の屋敷を
なぜ「空」にしたのかも、気になるところです。
ただし、本作を観る要諦は、余り深読みをしないことだと思います。
「七人の侍」(1954年)は、どうにも間延びしすぎです。
黒澤+三船コンビの映画は、数多いですが、1965年公開された
「赤ひげ」が最後になりました。
「赤ひげ」より後、制作された黒澤作品には、「影武者」(1980年)
「乱」(1985年)を含め私は感心しかねます。
なお、黒澤監督は、長い間モノクロ映画に拘りました。
「椿三十郎」中では、赤い椿は実はモノクロに映える黒色に塗って
撮影してあります。
2007年、織田裕二が演じて、「椿三十郎」はリメイクされましたが、あの映画はどうも論評に値しません。
一つだけ述べれば、オリジナルのスピード感とメリハリが台無しで、
また三船敏郎と織田裕二とでは全く「貫禄」が違います!
映画「椿三十郎」予告編!
「椿三十郎」ティーザー予告!
三船敏郎(1920~1997年)は、国内外の映画、TVドラマ、実に
数多くの作品に出演しました。
私も何本観たか、数え切れません。
私が映画館で最初に三船敏郎を観たのも、「宮本武蔵」の三部作
(1954~1956年)でした。
三船の身長は、170cm あるかないかぐらいなのですが、堂々と
していて大きく見えます。
「椿三十郎」で、黒澤監督は三船が堂々と見えるよう、下方からの
アングル撮影を相当活用しています。
それにしても、三船は多種多様な役柄をこなしました。
侍、軍人の役が多かったように思います。
若い頃から「老け役」が多かったので、実年齢よりは歳取っている
ようにも見えました。
三船敏郎という人は、とりわけ器用な俳優でなく、代わりに人一倍
役作りには努力をした模様です。
得意の殺陣も、人知れず練習したと聞いています。
三船敏郎は、まさに堂々とした「日本人」を体現しました。
そのような企画ですが、「椿三十郎」の魅力は 三船自身の魅力に
負うところが大きいです。
三船プロダクションの維持にも、おそらくかなり苦労したでしょう。
普段の生活では、「スター」ぶったところが余りなく、比較的地味で、
三船プロの前を自ら掃除するフツーのオジサンだそうです。
何しろ、私が小学生から大学教授になるまでの長い年月観てきた
俳優ですから、大きな思い入れがあります。
時代の変遷とはいえ、名優、三船敏郎をほとんど知らない世代が
増えたのは、嘆かわしい限りです!
追憶の「世界のミフネ」、永遠に!!
名優、三船敏郎!(1954年=34歳時と推定されます)
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「椿三十郎」無料フルムービー(2部構成)!
「椿三十郎」を無料でご覧になりたいなら、前後半2部構成ですが、
下記の動画が宜しいと思います(全94分)。
Dailymotion「椿三十郎」
⇒ ⇒ ⇒ Dailymotion「椿三十郎」前半部分!(50分)
※「椿三十郎」の後、洋画「A Man Escaped」が続いています!
※オープニング・クレジットが僅かに省略されています!
⇒ ⇒ ⇒ Dailymotion「椿三十郎」後半部分!(44分)
※「椿三十郎」の後、同じく 黒澤作品「どん底」が続いています!
※丁度よいストーリー の区切りで、前半と後半が分かれています!
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遅まきながら、記事の編集を新版エディタに変更し、大きい画像と
YouTube画面をアップできるようにしました!
酷暑、記事の投稿をしばらくお休みします!!
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